■[ラノベ]少年少女の淡い青春物語「大嫌いな君に、サヨナラ」
大嫌いな君に、サヨナラ
出版社:PHP研究所
作者名:筏田かつら
作者twitter:筏田かつらさん (@ysk1120e) / Twitter
DMM通販:大嫌いな君に、サヨナラ
筏田かつらさんの新作ですが、名義が「いかだかつら」と平仮名になってますね。
主要人物が小学六年生だし、児童向けの作品だからでしょうか。
それにしても本屋を何件巡っても置いてないしAmazonも送料かかる所しかなかったので、
結局ヨドバシ通販で購入してやっと読んだ次第です。
児童向けだからなのか電子書籍版がないのがちょっと不便でした。
主人公の末長嵐は瀬戸内海を望む愛媛県肱川沿いの田舎町に住む小学六年生。
ちょっと怒りっぽいけど優しいところもある、ちょっと身長の低さが気になる男の子。
5歳の時に海外の交通事故で亡くなった父の月命日の墓参りに行って出会った、
東京から来た転校生の都波かれんとの衝突しまくりの日々の物語です。
舞台が肱川の河口近くということは伊予長浜のあたりですね。
平成の大合併の前ということは2005年以前なので今から20年前くらいでしょうか。
私は松山出身ですが南予方面にはそれほど行く機会はなかったですが、
それでも何度か行ったことがあるので大体の地理はわかります。
ちなみに数日後に新刊が出る「熱帯魚は恋に焦がれる」の舞台もほぼ同じ場所です。
作中に出てきた赤い橋もこの作品でも出てきますので、
舞台が気になった人は読んでみると良いかもしれません。
それと愛媛出身者だと色々とわかる箇所がありましたね。
西日本だと多いらしい学校の標準服の存在とか、
四国山地から吹き下ろす風が強いので、風に強い里芋を作る農家が多いとか。
流石に読みやすくするためか方言は少なめでしたけど。
(実際の長浜のあたりは結構方言が強かった憶えがあります…)
嵐くんとかれんちゃんの衝突っぷりも小学生らしい青臭さでゾクゾクしちゃいましたね。
自分が素直なのと経験値が少ないため言葉の裏を読むことができない嵐くんと、
度重なる転校で傷つきやすくなってるかれんちゃんのツンデレっぷりが、
上手いこと噛み合わなくなってすれ違ってしまうところはモヤモヤしましたが、
それ故に、最後のシーンはグッとくるモノがありましたよ。
うーん、このカタルシスを感じるのが物語の醍醐味だよなぁ。
あと、地味に良いと思ったのは嵐くんの幼馴染みの文人くんですね。
嵐くんにとっての一番の幼馴染みなんだけど、優しいだけの少年ではなく、
見栄を張ることがあるし、独善的なところもあるところが、
とても人間らしく、子供らしくて可愛かったです。
そんな文人くんを責めるのではなく、受け止めることができる嵐くんはイケメンやで…
私のリアルの幼馴染みは数ヶ月だけ一緒だった転校生と20年以上経っても未だにメールで連絡取り合ってるので、
嵐くんはとてもいい子だし、インターネット環境も整ったので、
かれんちゃんとメル友になっていつか会いに行ってくれても良いと思うんだ…!
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