■[漫画]将棋とホームドラマと…「3月のライオン」2巻
3月のライオン 2 (2) (ジェッツコミックス)
著者/訳者:羽海野 チカ
出版社:白泉社( 2008-11-28 )
定価:¥ 510
コミック
ISBN-10 : 4592145127
ISBN-13 : 9784592145127
作者サイト:羽海野チカ________umino*chika
ハチワンダイバーのように熱さと勢いがメインの将棋漫画ではなく、
若くしてプロ棋士になった桐山零の人生とその孤独の痛みと、
それを癒す東京下町に暮らす川本3姉妹の物語です。
喜怒哀楽が感じられて心の傷に染み、そして癒されるんですよね。
幼くして両親を亡くし、亡き父の親友でプロ棋士の内弟子として育った零が、
その環境故に必死でプロとなり自立するも人生はそれで終わりではなく、
果てしなく続く人生の苛酷さに絶望し、怠惰を受け入れようとしてしまう―
この場面が心理描写の巧みさも相まって凄く共感できてしまうんですよね。
そこから下町育ちの川本3姉妹や自称親友の二海堂といった他人との触れ合い、
また、次女ひなたの片思いの相手で野球少年の高橋くんという知己の獲得、
そういった人と人との交わりが孤独を癒し、零の人生を豊かにし、
そしてこの物語をより一層深みのある面白さにしてくれます。
ただ人生という名の辛苦は間断なく襲ってくるもので、
姉弟子であり、零に恋愛のトラウマを植え付けた香子が現れることで傷を抉り、
対戦相手となる先輩棋士の姿に哀れみや同情だけでなく、
どこか深く感じ入る所を見付けることもあれば、
自身の怠惰による失敗を他者に当たる人にどうしようもない怒りを感じ、
叫ばずにはいられないその荒々しさもまた零なんだなぁ、と深く感じ入ります。
深い作品なのでじっくりと読んでいきたい作品です。
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