■[ラノベ]あぁ、素晴らしき恋と音楽と革命の物語「さよならピアノソナタ」4巻
さよならピアノソナタ〈4〉 (電撃文庫)
著者/訳者:杉井 光
出版社:アスキーメディアワークス( 2008-12-05 )
定価:¥ 620
文庫
ISBN-10 : 4048674293
ISBN-13 : 9784048674294
作者サイト:杉井光・公式サイト NEET TEEN
絵師サイト:FancyFantasia
主人公の直巳を中心とした真冬、千晶、神楽坂先輩が奏でる恋と音楽と革命の物語も遂に最終楽章。
たった4冊と短いながらも充溢した内容で読後も素晴らしかったです。
この物語はこれで終わりですが、あとがきにも書かれているように作品内の世界はまだまだ続き、
直巳や真冬たちの今後の歩み方を考えていると心の中で優しく愉しげな旋律が流れていくかのように思えます。
どんなに希望の芽が小さくとも不屈で、卑怯な手を使ってでも恋を成就しようと奮戦する神楽坂先輩は、
客観的に見ると他人の恋を邪魔しているんですけど、その結果の責任の取り方の毅然とした態度といい、
最初から最後まで一貫した姿勢だったので嫌悪感を抱くどころか好きでした。
千晶もその想いが報われないことに気付きながらも直巳を支え、真冬に心を砕いており、
木に登って直巳の家に押し掛ける豪快な行動とは裏腹にいじらしく可愛かったです
そして直巳と真冬がお互いが好き合っていることを予感しながらも言葉に出来ずに居たのはもどかしく、
すれ違い、傷付け合い、苦悩していく様は王道なんですけど、だからこそ面白かったです。
二人とも意気地無しで頑固だったりするもんだから、ハッピーエンドになるのか不安だったのですが、
音楽で出会い、音楽で繋がった二人が音楽で再会するという流れは当然かも知れませんが、
それでも感動したし、早く続きが読みたくてページを捲る手を止められませんでした。
「心からの願いの百貨店」で幕が開け、そしてその場所で物語の幕が下りた構成は見事でした。
ロックとクラシックといった音楽で彩られたボーイミーツガール作品としての傑作です。
音楽に造詣が深くなくとも充分面白い内容ですし、4巻という手に取りやすい巻数ということもあるので、
より多くの人に読んで貰えたらと思います。
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