■[ラノベ]マーズ・ホライズン「火星の人」
火星の人 (ハヤカワ文庫SF)
著者/訳者:アンディ・ウィアー
出版社:早川書房( 2014-08-22 )
「オデッセイ」が劇場公開される前に小説家になろうっぽい内容というので買って読んだんですよね。
「宇宙兄弟」とかも好きだし近未来SFとかも好きなんで。
で、読んだ感想としては「宇宙兄弟」や「小説家になろう」よりも「鉄腕DASH」が近いよね、
というわりとありきたりな感想でした。(笑
NASAが有人火星調査ができるくらいの近未来。
火星調査中のアレス3クルーが火星の嵐に巻き込まれて調査を断念し、
帰還しようとする途中、折れたアンテナがマーク・ワトニーに刺さり吹き飛ばされ遭難。
ギリギリまで捜索をした船長だったが断腸の思いで諦めて火星から脱出したんだけれど、
実はワトニーは生きており、ひとりぼっちで火星で生きていくことになり…
悲壮感があるのは最初の数ページだけであとは基本的にコメディなんですよね。
もうね、ワトニーが超ポジティブな上にユーモアたっぷり。
まず、一人きりの状況なのにこれですよ。
さてと、ひと晩ぐっすり眠ったら、状況はきのうほど絶望的ではないような気がしてきた。
いやいや、絶望的だろと!
普通はこんな絶望的な状況に投げ出されたら自殺しても不思議はないだろと!
お前どんだけポジティブなんだよ!(笑
また、ジャガイモ栽培に必要量の水が欲しいと思っている時に、
高校時代にハマったD&Dの神官魔法の”水をつくる”を思い出してるユーモア。
アメリカ人が原作を書いたとは思えないほどに日本人にも馴染みやすいんですよね。
しかもワトニーはポジティブでユーモア溢れるだけではなく、
かなりの冒険野郎なんですよ!
水を作り出すのに水素が足りないという結論に達したら、
ロケット燃料のヒドラジンから水素を取り出すんですからね!
ヒドラジンは分子式N2H4とアンモニアのNH3と似ていますが、
アンモニアなんかよりもかなり毒性が強いですからね。
他に手段がないとはいえ、普通は絶対にこんなことしませんよ!(笑
それと映画では結構カットされていましたが、
原作ではもっと試行錯誤してるんですよね、ワトニーって。
ハブが壊れた時にヘルメットは完全に壊れてエアロックにも穴があいてたり、
MAVに行く為の工作中にパスファインダーが壊れてNASAと交信出来なくなったり、
交信が出来ないから3200kmの旅の途上で嵐に遭遇してからくも回避したり、
それら全ての問題を仮説、検証、実験、考察と科学的な手順を踏んでクリアしていくんですよ。
原作にはそういった面白さが詰まっているのでエンジニア畑の人には是非読んで欲しいですね。
ただ、ラストの演出は映画の方が盛り上がったなぁ。
アイアンマンやってるのもそうだけど、
その後のエピローグもしっかり描いているのが良かったです。
そういった意味でも映画は観て損はないと思いますよ。
最後に余談なんですけど、
ノートPCのLCDが火星の地表に持っていったら使えなくなったというユーザーレビューは、
メーカーの人間としては勘弁して欲しいです。(笑
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