■[漫画]お気楽コメディが一周回って真面目なミステリー「外天楼」
外天楼 (KCデラックス)
著者/訳者:石黒 正数
出版社:講談社( 2011-10-21 )
コミック ( 234 ページ )
作者サイト:おかんの家4
このミステリーは凄い!
正直言って、石黒正数さんとメフィストという組み合わせは全然思いつきませんでした。
探偵志望でミステリー好きの嵐山歩鳥が主人公の「それでも町は廻っている」はありますが、
それにしたって石黒正数さんはコメディが得意という印象がありましたからね。
しかしそれが蓋を開けてみたら、ミステリーで伝奇でSF要素もあるという、
まさにメフィストらしい内容になっていて本気で驚かされました。
冒頭の話がエロ本をゲットしようとする3人の子供たちのアレコレで、
これだけ見ると面白い短編だな、で終わってたんですが…
次の短編を見ると登場人物が続いていて、更に次を読むと何か関連性があることに気付き、
次へ次へと進むうちに初回の何気ない描写が伏線だったことに気付かされ、
最後にはやるせない終わり方を見せて呆然とさせられましたよ…
いやー、これは本当に凄い!
冒頭の2,3話はコメディ色を強くして読者を油断させたと思ったら、
中盤以降はその油断させた中にある伏線の数々で読者の度肝を抜いてきますからね!
「それ町」も伏線が多い作品ですが、これがミステリーだと綺麗なくらいにハマりますね!
帯で新房監督が絶賛するのも納得ってものです。
ちなみに物語の中核的な舞台であり、タイトルにもなっている外天楼ですが、
その増築を重ねたマンションという設定から沢田マンションを連想しますね。
実際モチーフにしたのかは判りませんが、
その特異的な構造はそのまんま常識が通じない迷路でワケありな話ばかりが混在している、
この作品のことを指していたのかも知れませんね。
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