■[漫画]かつて恋した私の気持ち「忘れられない」
忘れられない (マーガレットコミックス)
著者/訳者:谷川 史子
出版社:集英社( 2012-05-25 )
コミック ( 184 ページ )
少女漫画が苦手な私がほぼ唯一追いかけている少女漫画家、谷川史子さんの新刊が発売されました。
表題作である「忘れられない」前後編と「つまさきで踊る」「エンドレスマーチ」「春の前日」「告白物語」
と5本の作品が収録されていますが「告白物語」は1Pの近況漫画みたいなものなので、
恋愛漫画としては実質4作品といったところでしょうか。
「忘れられない」はその名の通りの作品で、忘れられない恋心の話。
毎年一日だけ奈良に旅行している母が数日帰ってこないことに不安になった智花が、
元カレの暁にその話をして、という導入から入る物語なんですが…
若さ故に失敗した智花の恋の話よりも母親の智子さんの話がじんわり来たなぁ。
母になる前にあった人生、というコンセプトはもちろんのこと、
智子さんの今までの人生を思うとそれだけでこみ上げてくるものがあります。
そしてそんな智子さんを心配しつつも信用して待ち続ける旦那さんにもほっこりしたりも。
「エンドレスマーチ」の杏とお祖父ちゃんの話でもそうでしたが、
家族との関わりに感じ入ってしまうのは、
何というかそういう年齢なのかなぁ、と思わされます…
お祖父ちゃんを淋しそうにさせてしまった自責の念を持ち続ける杏と、
そんな杏を心配していたお祖父ちゃんのフトコロの大きさにほっこりさせられましたね。
もちろん、それを結びつけた恋の予兆的な出逢いにも満足させられましたが。
また、29歳イケメンで今まで恋を知らなかった敏腕編集の青年が、
恋に堕ちてしまう「つまさきで踊る」や、たった数ページながら、
遅すぎる恋の自覚を描き切なくさせる「春の前日」も本当に良くて、
これでこそ谷川史子さんの作品は病み付きになるんだよなぁ、と思わされる逸品ばかりでした。
いやはや、やっぱり谷川史子さんの作品は素晴らしいです。
最近のコメント