■[ラノベ]一歩一歩、少しずつでも前へ。「ココロコネクト アスランダム 下」
ココロコネクト アスランダム下 (ファミ通文庫)
著者/訳者:庵田 定夏
出版社:エンターブレイン( 2013-03-30 )
文庫 ( 414 ページ )
絵師サイト:enfance
最終巻に相応しい、素晴らしく青臭い、そして何よりも面白い傑作でした!
正直、中盤までは読んでて辛いほどにストレスフルでした。
「分かって貰えないもどかしさ」がどんどん積み重なって、
間違った方法に訴える香取生徒会長のやり方を止められないフラストレーションが凄く溜まりましたが、
クライマックスではそれをちゃんと解消しているのが爽快でしたね。
『孤立空間』に閉じ込められてグループ毎に現象が発現する100名超の集団と、
”詳しい事情が言えない”文研部が、立場が違う故に疑いの連鎖を生んで、
何とかリーダーシップを取ろうとする香取の思惑と絡み合って不審スパイラルに陥ったのを、
今まで培ってきた信頼をもってゴールに突き進む姿が格好良かったです。
この手の青少年の閉鎖空間での殺伐としたシチュというのは昔からあります。
「無限のリヴァイアス」でもそうでしたが悲劇的な展開になる事が多くて、
今回もそういった方向に進むのかと思いましたが、
太一がみんなを”群衆”ではなく”一人ひとりの個人の集まり”と認識を変えることで、
文研部みんなが身近な人たちに真摯に向き合うことで結果として劇的に状況を改善していく、
という当たり前なんだけど難しい発想の転換で乗り切ったのが素晴らしかったです。
その中でも今まで物語に深く関わってきた藤島さんが良いポジションでしたね。
スーパーマンには成れないけれど、ウルトラマンには成れるという会話から、
「三分間で世界を変えてやるわ」
というくだりは最高に輝いていて、まるで主人公のようでしたね。
『孤立空間』から出た後も一騒動あったけど、こちらはまぁ「文研部なら何とかするだろう」
という割と安心感を持って読むことが出来ました。(笑
流石にハッピーエンドになるだろう、という確信もあったと言えますが。
今回で「ココロコネクト」シリーズは完結ということで、
ラストエピソードとして綺麗にまとまりましたねー
シリーズ通して、人と人とのコミュニケーションの重要さと青春の青臭さが漂ってきて、
良い作品だったと思います。
一応この後、番外編的な短編集が出るみたいなので、
エロゲのファンディスク的に楽しみに待ちたいと思います。(笑
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