■[ラノベ]新天地でも安心のゆゆぽ節「知らない映画のサントラを聴く」
知らない映画のサントラを聴く (新潮文庫)
著者/訳者:竹宮 ゆゆこ
出版社:新潮社( 2014-08-28 )
絵師サイト:technofuyuno
絵師twitter:ふゆの春秋 (technofuyuno)さんはTwitterを使っています
「とらドラ!」「ゴールデンタイム」とデビュー以来ずっと電撃文庫だった竹宮ゆゆこさんが、
新創刊された新潮文庫nexで短編を発表!
新潮文庫nexはラノベレーベルではないらしいので、メディアワークス文庫と似た立ち位置なんでしょうか。
まぁ、どちらにしろ竹宮ゆゆこは竹宮ゆゆこだった訳で問題ないのですが。
主人公の錦戸枇杷は23歳の家事手伝い。
というかぶっちゃけ就職活動に失敗した無職であり、鉄股処女のロンリーガール。
ある日夜道で変態女装男に襲われ大事にしていた写真を奪われて以来、
奪い返すために深夜の徘徊を日課とするようになったぷち引き篭もり状態の彼女が、
如何にして道を踏み外したか、そしてもう一度進むようになったかの物語。
今回は1冊で完結するということで、中盤からフルスロットルのジェットコースターでしたね。
枇杷が小三の時に出会った帰国子女の朝野と親友になり、その親友を唐突に失ってから、
その喪失感と罪悪感と悔恨から右往左往して懊悩して、更には家を追い出されて…
という、枇杷の心情的には濁流に呑まれるかの如く物語が展開していき、
面白さも加速していって読むスピードは加速する一方でした。
それにしても朝野の元カレの昴とのラブやん的同居生活にも驚いたけど、
昴の性癖というか、罪悪感の奇妙な結実っぷりには驚かされましたけど、
よく考えたら「あの花」のゆきあつと似たような着地点と言えなくもない気が…
中途半端に頭が良い真面目くんはそっちの方向にアクセル踏み込む傾向があるのかな…
何にしても竹宮ゆゆこらしさが凝縮した一冊ではありましたが、
少なくともラブコメ作品ではなかったと思います。
というか、恋愛パートに入る前の序章で終わった感がしないでもないです。
続きを読んでみたい気もしますが、それをやったら別作品になっちゃう気がするので、
これはここで終わったのが正解だと思います。
最近のコメント