■[漫画]峻烈にして苛烈にして激烈な天才「響 ~小説家になる方法~」2巻
響~小説家になる方法~ 2 (ビッグコミックス)
著者/訳者:柳本 光晴
出版社:小学館( 2015-07-30 )
作者サイト:TTT
Kindle版:響 ~小説家になる方法~ (1)
最近では芸人が芥川賞を取ったことで注目度が上がった純文学の世界ですが、
売れない小説家は本当に厳しいという話はよく聞きます。
この作品はそんな厳しい純文学の世界に革命を起こせる天才、鮎食響の物語です。
この2巻で一番印象的な話はどれかというと、
やはりアラサー小説家の中原愛佳さんのエピソードですね。
純文学が好きで学生の頃から書いてきて、何とかプロになるも売れなくて。
同世代が子育てをしていることに焦りを見せてしまうところはとてもリアルです。
それでも今まで頑張ってきた努力を無駄にしたくなくて、
「小説家」というものにしがみついてしまう、下手に才能があるが故の悲劇。
こういったことは小説家に限らずあるんでしょうけど、
衰退している純文学の世界だとより一層の世知辛さがあってキツイですよね…
そんな中原さんが図書館で文芸部の部誌に響が書いた短編を読んでしまったがために、
歴然とした才能の差を感じてしまい、スッパリと小説家を諦め、
そして諦めてからの人生が幸せだったというところも更にツラい…
あるいは中原さんにとっては幸せな出会いだったのかも知れません。
その後の人生を幸せに過ごすことができたし、
何より自分に引導を渡す圧倒的な天才が自分の作品を知ってくれていて、
読んでくれていて、ファンでいてくれたんですから。
小説家である自分を肯定された感動と、
小説家としての才能の差を知った絶望。
それをもたらす響の自覚なき圧倒的な天才性がすさまじく面白いです。
そしてその天才性の理由に血筋が全く関係ないのが、
先輩であるリカにとってよりツラいものになっているのがなぁ…
この2巻ではリカがもう一人の主人公のように思えましたね。
彼女は自信を持つだけの文才もあるし、そのバックボーンもある。
後輩たちの前では自信満々のように見せているけれど、
編集のふみちゃんの前ではチョロいところがあったりと、
まだまだ子供らしさが抜けないところも可愛いと思います。
しかしなぁ… リカが第二の中原愛佳にならないとは限らないんだよなぁ。
響が意外とリカに友情を感じているっぽいので、
今後どうなるのかが読めないのもまた焦燥感を煽りますね。
ホントどうなってしまうんだろう。
それとリカの父親の件とかは早めに気付いてました。
伊達にミハルさんの漫画を同人誌の頃から読んでないですよ!
ただ、ふみちゃんと花代子ちゃんの件は引っかかりました。
いやー、うん… ふみちゃんインパクトあるわー…
そりゃ響も爆笑するってなもんだわなぁ。
ふみちゃんの今後のコスプレにも期待ですね!(笑
最近のコメント