■[ラノベ]狂気で正気で本気な主人公「ウロボロス・レコード」1巻
ウロボロス・レコード1 (ヒーロー文庫)
著者/訳者:山下 湊
出版社:主婦の友社( 2015-11-30 )
作者サイト:山下湊
絵師サイト:シノノノート
絵師twitter:しのとうこ(@touco_shino)さん | Twitter
ヒーロー文庫の新作は例に漏れず小説家になろうからの書籍化ですが、
この作品は今までの小説家になろう作品とは一線を画します。
確かに異世界転生だし幼馴染みヒロインはいるし学園で俺SUGEEE的な要素はありますが、
主人公の性格と目的と手段が常軌を逸しているのです。
一度死に、魂が消えていく恐怖を文字通り心の底から味わった主人公トゥリウスは、
二度とあんな恐怖を味わってなるものかと、
生まれ変わった剣と魔法の世界で賤業と言われる錬金術を用いて不老不死を目指すんだけど…
目的のためならどこまでも冷酷で合理的になれるのはFate/Zeroの衛宮切嗣みたいで、
そのための手段として人体実験を厭わず、平然となしてしまう倫理観はジル・ド・レェのよう。
それくらいに狂気に染まった主人公なのです。
まず、齢8歳にして親に命じられて買うことになった死にかけの少女奴隷で人体実験をし、
そこから腹心のユニを育てていく過程も中々にクレイジーでしたが、
ユニの心の中もそれに染まったかのごとくモンスターになっているのが凄い。
トゥリウスに信頼してもらうために自ら脳改造を志願するとか、
狂っているという言葉すらも生ぬるいですよ。
留学先の学園で行ったという実験の内容も残酷すぎて凄い。
「生体としての脳機能と生命としての魂の相関」というテーマはともかく、
仮説を証明するために奴隷を脳改造してから殺して降霊させるとか、
その手段を発想できてしまうこと事態がおかしいんですよ。
マッドサイエンティストな教授と意気投合しているところからしてもアレですしね。
生まれた時からして実の母が亡くなってしまいましたが、
そこからトゥリウスの狂気に染まれなかった人たちが、
次々と不幸になっていく様子を見ているとどんどんSAN値が下がりますね。
特にラストのエミリーのくだりはクるものがあります。
今までにない面白さがある作品ですが、
万人に勧められる作品ではないので覚悟を持って読んでください。
少なくともFate/Zeroを読んで大丈夫じゃない人にはお勧めできません。
しかもこの1巻はまだまだ序盤ですからね。
これからどんどん酷くなりますよ…?
最近のコメント