■[漫画]苺 ~女性プロ棋士に成る方法~「龍と苺」1巻
中学2年生の女子、藍田苺。
学校での休み時間中にいきなりいじめっ子を椅子で殴る暴行事件を起こす。
その動機は義憤とか復讐とかではなく、命懸けの勝負をしたいというキチガイみたいなもの。
スクールカウンセラーをしている元校長の宮村は、
その異常性と天才性に将棋の対局を通して気付いたため、
翌日にアマチュアの大会に連れて行ったところ連戦連勝で…
「響~小説家になる方法~」のミハルさんこと柳本光晴さんの新作です。
ミハルさんは同人作家時代から少年誌というメジャー誌志向でしたから、
夢の階段を更に踏み出した感がありますね。
今回も響と同じくキチガイだけど天才な女子が主人公ですが、
少年誌なので14歳の中学生にしていますし、
必ずしも不敗ということはないのも前作とは違ってます。
歳を取るとわかるのですが、人と会う経験を積み重ねると、
初対面の人と会ったら、まずどのタイプの人かを型に嵌めて考えるようになるんですよね。
将棋風に言い換えると人の個性という定跡を覚えているので、
それに当てはめるだけで考える必要がなく、とても楽なんです。
しかし藍田苺はそんな定跡をぶっ壊してくれるのですよ。
「暴行事件を起こすくらいヤンチャな80年代にいた生徒」
「女の子の棋士」「子供」「癇癪持ち」
そんな色々な属性を見て個性という定跡に当てはめようとして、
見事に一撃を食らって負けるおっさんたちを見ると爽快感があります。
ただ、どんなに才能があっても誰が相手でも俺TUEEEできるほど将棋の世界は単純ではありません。
実際に宮村には二歩というルールを知らないところを突かれてるし、
定跡を知らないという弱点も突かれてるし、
トッププロには力押しで負けてしまうんですよね。
ただ、それで簡単に諦めるとは思えないんですよね。
普通の少年漫画だとここから奮起して、プロと戦うためにプロになると思うんですよ。
同じサンデー連載の「MAJOR」とかそんな感じだったし。
でも、この作品の作者はミハルさんですからね…
そんな普通の展開にならないだろうし、実際にサンデー本誌ではそうなってないし…
先が読めないだけに、藍田苺がどんな奇想天外なことをしてくれるのかワクワクしちゃいます。
藍田苺は現時点でも奨励会で良い成績を取れそうですが、
単純に既存のルールに則ってプロになるとは思えないので、
何かしらクレイジーな、ルールの盲点をついたプロの成り方を見せてくれると思いますので、
2巻以降の展開が楽しみです。
最近のコメント