本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 短編集3 12月14日発売!
特典SS他、新規短編&中編も多数収録!

:: 2023/5/13 土曜日::

■[ラノベ]王族への糾弾と神々のやらかし「本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第五部「女神の化身 XI」」

(注)メチャクチャ長いです。

ランツェナーヴェ王ジェルヴァージオとそのシンパであるラオブルートとの戦いも、
ローゼマインがメスティオノーラをその身に降臨させるという驚天動地の事態が起こったため、
国境門を使ったツェントレースで平和的に競い合うことになったと思いきや、
悪辣な手段でフェルディナンドはジェルヴァージオを廃するのだった…!

プロローグはフェルディナンド視点で書き下ろされているんですが、
ここにもWeb版では知らなかった情報が沢山有って驚きですね。
アーレンスバッハに残っている貴族にディートリンデ派が残っているのは理解できるのですが、
そいつらがまだ諦めずリーゼレータたちを攫って脅迫しようと企むとか、頭が悪るすぎて呆れました。
まぁ、ディートリンデなんてアホの子に味方しているから、
当然その支援者も状況把握もできないアホの子なんだな、と考えると納得です。
リーゼレータを人質にされたら自分や親族のメダル破棄で脅迫されても文句言えないんやで…?

フェルディナンドがディートリンデのアホっぷりが知られてないことを懸念して、
これを機会にしっかりと格の違いを知らしめるために儀式をやるのは流石ですね。
そして、ローゼマインの言動の僅かな差異で女神の降臨の副作用に気付いたハルトムートも流石です。
メスティオノーラとのやり取りがフェルディナンドの回想で語られてましたが、
状況把握能力とローゼマインの思考トレースっぷりも流石の一言でしたねw

それにしても女神の降臨とか、フェルディナンドにとっては完全に予想外だったはずなのに、
それの影響を組み込んで、王族たちに思い知らせる手段とするのは凄いですよね。
そりゃ魔王として恐れられるのも、さもありなんって感じですよ。
それでいて名捧げ側近たちにはちゃんと自らが名捧げすることに了承を取るんだから、
命を預かる主としてちゃんとしてるなぁ、と思いますね。

王族との会議はWeb版から細かい部分が加筆修正されていて、より分かりやすくなっていましたね。
許可証として渡されたジギスヴァルト王子からの求愛の魔術具を見事に金粉化するシーンも、
少し加筆されたことで分かりやすくなっていました。
魔力量の差に気付けないままに求愛した身の程知らずなジギスヴァルト王子…w
目の前で「私が贈った魔石の髪飾りは金粉化していないぞ?」と見せつけるフェルディナンドは、
とても良い顔をしてただろうなぁ、と思いますね!
このシーンに挿し絵がないのは残念でした。

色々と失伝してしまっていて無知すぎる王族への通達ですが、細かく修正されてますね。
王族が全ての原因だと断定することで罪深さを思い知らせて、
次々と要求を突きつけるローゼマインを見ていると胸がすく思いです。
正にタイトル通り、下剋上で身分が逆転したことで、
今まで無茶苦茶な要求をしてきた王族を逆にやりこめる展開なのは、
とてもざまぁ!感が有って気持ち良いのです。

ちなみに加筆部分である、

「本は二冊が良いですか?」
「いえ、違います」

のところはメッチャ笑いましたねw
とてもローゼマインらしいセリフでしたw

それとフェルディナンドが意図していた「王族がグルトリスハイトを得る」ということですが、
おそらくは、ツェントとして君臨するからにはグルトリスハイトを王族が取るように心掛け、
それによって生まれる軋轢は王族として責任を持って対処する…、
ということだったのではないでしょうか?
王命で無体な婚約を強いるくらいなら、
それくらい最低限の責任を取るだろうと思っていたのに、
実際は
”ローゼマインにグルトリスハイトを取らせてエーレンフェストから奪い、美味しい権力だけ貰って責任は全てエーレンフェストに押し付ける”
という愚かで恥知らずなことをしようとしたんですから…
そりゃキレられても仕方ないよなぁ、と思うのです。

それにしてもトラオクヴァールに脅しつけるフェルディナンドの姿は、
商人聖女のローゼマインがジギスヴァルト王子に脅しつけていたのとそっくりで、
二人はとても似たもの師弟というか、似たもの夫婦だな、と思うのです。

身分差が逆転したことに気付いてない愚かなジギスヴァルト王子をアドルフィーネが止めなかったのは、
やらかして汚点を着けることで離婚しやすくなるのを狙っていたのかな? と考えています。
まぁ、まさかここまで愚かだとは思ってなかったかもしれませんが…

あとがきからジギスヴァルト王子はちゃんと礎を守っていたつもりだったと知って納得しましたが…
アナスタージウス王子から、国の礎が貴族院にあると聞いてなかったんでしょうか?
まぁ、自分に都合の悪いことは聞こえない耳を持っている親子ですからね…
聞いてたとしてもスルーしている可能性は非常に高そうです。
どちらにしろ、礎の位置という最重要項目を失伝している時点で王族失格なんですけどね。

感情を揺らしたローゼマインが父さんとの記憶を僅かに思い出しているシーンはとても切ないです。
早く記憶を取り戻して欲しくなります。
あと、不安定になってしまうローゼマインを気遣って言葉を尽くすグレーティアが良い子すぎるし、
ノリノリのクラリッサには笑っちゃいますねw

ジギスヴァルト王子のクズっぷりとトラオクヴァールのダメっぷりが露呈するシーンですが、
これでもまだ序の口なんですよね…
書店特典SSのアドルフィーネ視点ではもっと酷いところが見えてくるんですよ…!
トラオクヴァールは本当に隙あらば責任から逃れようとするし、
ラルフリーダ王妃はラオブルートを推薦した元凶の一人なのに被害者ムーブだし、
ジギスヴァルト王子はローゼマインに散々思い知らされているのに、
アドルフィーネやアナスタージウス王子相手には強気に出て身勝手な要求を押し通そうとするし…
本当に王族はクズだし、全く反省していないんだな、というのがよく分かります。
無責任なクズたちに、強制的に責任を取らざるを得ない立場につかせるフェルディナンドは、
彼らのクズっぷりをよく理解しているなぁ、と感心しまくりです。

エグランティーヌが(消去法で他に選択肢がなかったとはいえ)ツェントに立候補していますが…
私は前巻でトラウマから離宮で震えている姿の印象が強く、
守られるお姫様気質が抜け切れてないと勘違いしてました。
だから、今回も仕方なくツェントに立候補したのだと思っていました。
ですが、書き下ろしSSの「始まりの庭と誓い」を読むと、
ちゃんと責任感と覚悟を盛っているのがわかって驚きました。
ローゼマインのことを意外と的確に把握しているし、
中継ぎとしては期待できるのではないでしょうか?

とはいえ、ローゼマインが考えている通りに、争いが起こらないことを優先している上に、
ちょっと視野が狭いというか、近視眼的ではあるんですよね。
実際、エグランティーヌがグルトリスハイトを得ていたらラオブルートの裏切りも不発だったろうし、
アーレンスバッハやエーレンフェストの貴族に犠牲が出なかったでしょう。
この後、ジェルヴァージオの記憶を読むことで色々なことに気付くことでしょうが、
そこから成長することを願うばかりです。

それとヒルデブラント王子ですが、可哀想だけど自業自得なんですよね。
Web版よりもフェルディナンドの優しさが感じられる諭し方だな、と思った直後に、
泣いている子供は邪魔だと放り出すあたり、とてもフェルディナンド様だと思いました…w

領地の線引きを決めたのは主にフェルディナンドでしょうけど、
旧ベルケシュトックをトラオクヴァールに押し付けたのは英断ですよね。
エピローグによると一応側近たちの意見も募ったみたいですが、
旧ベルケシュトック貴族がエーレンフェストに侵攻したから、
エーレンフェストとの今後の関係を考えると抱え込みたくないでしょう。
それに、政変の粛正をやらかしたトラオクヴァールに強制的に責任を取らせるという意味でも、
とてもアリだと思います。

エグランティーヌをアダルジーザの離宮の住まわせるというのは、
日本の江戸時代で考えると、五摂家の姫を吉原に住まわせるようなもんでしょう。
まぁ、それを良しとしたジギスヴァルト王子が全部悪いんですけどね。
そりゃアナスタージウス王子も特典SSで兄を見限るよなぁ、と思うのです。

エグランティーヌは新ツェントとして女神の化身の都合を最優先にするように、
責任から逃げないようにと今からフェルディナンドに躾けられてますが、
本来は言われるまでもなく出来るべきなんでしょう。
それも手本となるべきトラオクヴァールが責任から逃れてばかりという、
見本として悪すぎたのも一因じゃないのかな、と思います。

それにしても特典SSでもそうですが、機を見るに敏なアドルフィーネは頼もしいですね。
フェルディナンド様も考慮できていなかったドレヴァンヒェルの損得も、
しっかりと主張して確保しているし、とても有能だと思います。
フェルディナンドとローゼマインを怒らせるような迂闊なこともしないでしょうし、
(あくまで貴族としてですが)良い関係を築けそうな気がします。

奉納舞に挿し絵が有るのは嬉しかったですが、
その直後にローゼマインが痛い目に遭うのはキツいですね。
Web版から加筆されたことで、より痛くなったので尚更です。
神々のやらかしっぷりが凄いですけど、
それに報復するフェルディナンドも凄いな、と書き下ろしSSで思い知ったのでした。
いやはや、フェルディナンドは本当に悪辣でえげつない…!

国の礎への魔力供給ですけど、エグランティーヌは染め変えが大変そうですね。
とはいえ、ローゼマインは身食いなので今までの経験上染め変えやすいはずなので、
回復薬を大量にがぶ飲みすれば季節一つ分もあればなんとかなるのではないでしょうか?
とはいえ政務を考えるとあまり余裕はないでしょうね…
最優先は礎の染め変えで、次に古語の勉強をしつつ、中央神殿の神殿長としての勉強もして、
祈りを捧げて暇を見て祠巡りをして、魔力も圧縮して伸ばさないといけないでしょうから…
続編である「ハンネローレの貴族院五年生」の時点で、
まだメスティオノーラの書を得ていないのも当然でしょう。
それだけ忙しいのも歴代の王族の怠慢の結果なので先祖を恨むしかないんでしょうけども。

魔力枯渇計画で加筆された外傷を前提にした薬ですが、
渡した相手というのはおそらくジェルヴァージオでしょうねw
前巻で確かに薬を渡してましたが、普通の薬なはずがないとは思ってましたよ!
てっきり効果が低いだけだと思ってたけど、そんな程度ではなかったよ!
流石はフェルディナンド様! 本当に悪辣でえげつない!w

冬の到来を早めるという意味を知らされて赤面するローゼマインは可愛かったけれど、
フロレンツィアはもっと早く教えてあげるべきでしたね…w
性教育はエルヴィーラとフロレンツィアがお互いにやっているだろうと考えていたせいで、
放置プレイだったローゼマインが大変な目に遭ったよ!
うーん、悲劇。

それにしてもやはりフロレンツィアはローゼマインが平民だったと知らないみたいですね。
Web版よりわかりやすく加筆されてました。
まぁ、流石にこれだけ重要な情報がポロポロ出てきたら気付くんじゃないかな?
とは思うんですけども。

アーレンスバッハでの魔力枯渇計画ですが、脳天気なアーレンスバッハ貴族には怒りが湧きますが、
ハルトムートとクラリッサがきっちりと躾けようとしているのは安心しました。
ディートリンデのようなアホを推戴していたアホ共は、
全員洗脳して馬車馬のように酷使するべきですよ。
ローゼマインとフェルディナンドの半分でも努力してから意見を言うべき。

虹色の巨大なレッサーくんが空を飛ぶというのは挿し絵で見たかった気がしないでもないですが…
まぁ、いつか第五部がコミカライズされるでしょうし、何年か後には見られると期待しています!
それとローゼマインに魔力感知が発現していることがレオノーレには伝わったみたいですが、
正確には講堂の戦いの時には既に発現していたのでしょうね。
フェルディナンドの魔力を察知できなかったのはほぼ同質の魔力だったからでしょう。
今は神々に染め変えられたため、フェルディナンドと魔力の質が違っているので、
感知することができた、ということなのかな?

マイン時代から追い詰められたら早口で次々とアイディアを出してくるローゼマインですが、
それをフェルディナンドはちゃんと把握してたんですね。
そして、そのお陰で解決の糸口が見付かるんだから何が幸いするのかわかりません。
エアヴェルミーン様も髪の毛を切られた甲斐がありましたね!

大規模魔術を前に、記憶を断たれたローゼマインの家族感が貴族よりになっているのを知り、
フェルディナンドはとても悲しいだろうな、とは思ってましたが…
まさか死なば諸共とまで思い詰めているとは思いもよりませんでした。
うーん、中々に愛が重いですね…!

大規模魔術を行っている時のイラストがカラー口絵でありましたが、
まさかローゼマインたちの描写にも挿し絵があるとは思いませんでした。
ガスっと刺されたエアヴェルミーン様の枝が挿し木みたいで、
ここから生えてきそうだな、と思ってしまった…w

エピローグがグレーティア視点だと予告されてて意外に思ってましたが、
名捧げ側仕えだから身近で待機しているため適役だったんですね。
一緒に待っているユストクスの有能さと変態さの両方を感じているのを見て、
親族枠でエスコートを頼む伏線なんだな、と感じました。

それにしてもグレーティアは寡黙で真面目だとは思ってましたが、
予想以上に献身的で驚きました。
そして同時に嬉しかったです。
命を繋ぐため、今の状況から逃げるための仕方なくでの名捧げではなく、
救ってくれたからこそ、忠義を捧げる名捧げであることが伝わりましたから。

そして、彼女が置かれていた境遇もまた予想以上に酷くて驚きました。
女性らしい体付きになったローゼマインへの助言からある程度は察してましたが…
ここまで明文化されてしまったら、ね…
ギーベ・ヴィルトルとその長子は死んで良かったですよ。
そりゃギーベ・ヴィルトルの息子であるラウレンツやベルトラムへの当たりが強いわけですよ。
むしろ強い程度で済んでいるあたり、グレーティアは優しいとまで思います。

グレーティアは最後にローゼマインから教えられた祈りの基本を心から理解したシーンは、
とても印象的で素晴らしいものでした。
良いエピローグだったと思います。

ハンネローレ視点で書かれた継承の儀式ですが、
こちらもWeb版から加筆されている部分があって、そこがまた面白くなっています。
元々身長が低いハンネローレがローゼマインに抜かれて衝撃を受けたことが加筆されてましたね。
ハンネローレ様には申し訳ないけれど笑ってしまいましたw

それと、この時点ではメルヒオールが次期アウブだと認識されておらず、
ヴィルフリートが次期アウブのままだと認識されていないんですね。
それが続編の「ハンネローレの貴族院五年生」に続いていくんだなぁ。

それとジークリンデに睨まれるレスティラウトが挿し絵にありましたが…
本当にレスティラウトは困った次期アウブだな、と思いますねw
加筆された部分に婚約者のアインリーベのセリフがありましたが、
ダンケルフェルガーの女性らしい強さが感じられたので、
ちゃんと尻に敷いて欲しいものだと思います。
実際、レスティラウトってかなりの問題児ですから…

それと平民の漁師視点である「新しいアウブのすげぇ魔術」ですが、
平民はアーレンスバッハでもエーレンフェストでもあまり変わらないな、
というのが分かって少し嬉しかったです。

そしてやはりディートリンデは平民からも嫌われてたんですね。
まぁ、当然と言えば当然ですけど。
前がクズすぎるからこそローゼマインは歓迎されやすいので、
丁度良い踏み台だったんでしょう。
とはいえ、被害に遭っていた平民にとってはたまったもんじゃないですよね。

読者は間違いなくハルトムートだと確信できる声を聞いて、
ローゼマインを称えるように神に祈りを捧げ、
大規模魔術の結果を見て更に崇拝度を高めているのを見ると、
とても微笑ましくなりました。
最後はこの漁師の視点なのは、とてもよく話の構成が練られていると思います。

それとドラマCD9も通販で届いたんですが、
ジルヴェスターは本当にフェルディナンドを弟として可愛がってるのがわかって面白かったです。
そして、ジェルヴァージオを廃したやり方を悪辣だと感じたり、
リヒャルダにローゼマインの状況を尋ねるのは予想通りでした。

さて、次は遂に最終巻なんですが、今冬になるんですね…
三分の二が書き下ろしということなのでWeb版既読の私もメチャクチャ楽しみにしています!
領主会議の初チュー事件も書き下ろされると期待していますよ!
ドラマCD10にも特典SSが付くと思いますし、今から楽しみでなりません。

それと、完全に余談なんですが…
本好きの下剋上が好きすぎて待ちきれなくてSSを書き殴ってたらかなり溜まってしまい、
それをpixivに投稿したらルーキーランキング1位になってしまいました。

今はこの新刊とドラマCDを何度も読み返してますが、
来月になったらまた更新し始めると思うので、
暇が有ったらpixivの方も覗いてみてください。

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