■[ラノベ]これぞ『とある飛空士』シリーズの真骨頂!「とある飛空士への恋歌」3巻
とある飛空士への恋歌3 (ガガガ文庫)
著者/訳者:犬村 小六
出版社:小学館( 2009-12-18 )
定価:¥ 660
Amazon価格:¥ 660
文庫 ( 360 ページ )
ISBN-10 : 4094511776
ISBN-13 : 9784094511772
絵師サイト:ALL GREEN
あぁ…、このシリーズを読んでいて本当に良かった…
1,2巻は緩めの学園ラブコメとして物語が進んでいき、
これはこれで好きなんだけど、追憶の面白さを期待していただけにギャップを感じていましたが、
この3巻では遂に本領を発揮してくれましたよ!
手に汗握る圧倒的な空戦の描写力にはただただ圧巻で、
2.5巻分を費やしてきた平和な日常があったからこそのスペクタクルに魅せられ、
胸からせり上がってくる熱いモノで目頭が熱くなってしまうんですよ!
これでこそ『とある飛空士』シリーズだよなぁ。
以下ネタバレが多いので格納。
もうね、ミツオの勇姿にはただただ感動ですよ。
逃げるように辿り着いたイスラで出会った仲間たちを守るため、
そしてチハルという恋した少女を守るため…、
その二つの想いに殉じたミツオを思うと胸が張り裂けそうです。
ミツオとチハルのペアが後方の索敵という安全なはずの任務中に見付けてしまった敵の大部隊。
イスラという愛する土地を守るために、学生であるにも拘わらず危険な触接機の任務をこなし、
自身と恋した少女を敵機の銃弾が降り注ぐ嵐の中に投じての更なる乾坤一擲の一弾。
これが感動せずにはいられようか!
2巻以上掛けてイスラでの平和で愛すべき日常を読んできたからこそ理解できる、
何物にも代え難い、あの日々を守るために、あの日々へ帰るために、恋した少女を守るために、
ただただそれだけに勇気を振り絞り、そして最期まで恋した少女を想うミツオは最高に格好良かったです…
そして主人公のカルエル。
今までヘタレだヘタレだと思っていましたが、やる時はやってくれましたよ。
作中でも自分で言ってましたが、子供時代にガキ大将に殴りかかったように、
自分にとって大切なモノを守るためになら本当に根性を見せてくれるんですよね。
普段は仲が悪かったけど、共に戦う内に戦友としての絆を深めていった矢先での死。
普段から仲良くしていて、共にアリーメンを作り絆を深めていた親友の散華。
そして普段から喧嘩ばかりしていた生意気な義妹に迫る永遠の別れという名の絶望。
覚悟していはずだけど、覚悟しきれていなかった戦争の非情の中、
大好きな義妹の命を繋ぎ止めるために飛ぶカルエルはまさしく主人公でした。
もう兎に角、後半から始まる空の一族との戦いは見応えバッチリで、
『とある飛空士』シリーズの面白さというのをこれでもかというほど味合わされました。
素晴らしいとしか言い様がないですね。
ガガガ文庫史上、いや、ラノベ史上に残る傑作と言って良いでしょう。
終盤に登場した最高の操縦技術を持つパイロットが駆る異国の飛空機に描かれていたイラストと、
ラスト1行に出てきた名前から『追憶』との繋がりを夢想できるし、
今から4巻が楽しみでなりません。
『追憶』も映画化が決まったようだし、『とある飛空士』シリーズの更なる飛翔を祈っています。
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