本好きの下剋上 ハンネローレの貴族院五年生 1巻、8月10日発売!
本好きの下剋上の待望の続編が早くも刊行開始!

:: 2024/8/13 火曜日::

■[ラノベ]時をかけるダンケルフェルガーの女「本好きの下剋上 ハンネローレの貴族院五年生」1巻

前世の本須麗乃時代に得ていた本に囲まれた生活と、
現世のマイン時代に得ていた家族愛に包まれた生活。
かつて持っていたけれど、家族を守る為に貴族のローゼマインになって失っていったものを、
最後にはついに取り戻して見事に完結した「本好きの下剋上」
本作はその後をローゼマインの親友であるハンネローレの視点から綴った外伝の1巻になります。

注:以下はネタバレ全開の感想になります。

プロローグはハンネローレの筆頭側仕えのコルドゥラ視点ですね。
子供の筆頭側仕えは両親の側近から選ばれることが多いのは知ってましたが、
コルドゥラは元々ジークリンデの側仕えだったんですね。
元主従の二人から見たハンネローレの問題点が列挙されていますが、
大人視点から見てみればハンネローレの未熟さは一目瞭然ですね。

ただ、ハンネローレを擁護することもできるのですよ。
エーレンフェストの祝勝会に参加した時は、
お友達のローゼマインが「王命で引き裂かれた想い人を助ける為に礎を奪う」という
愛読しているフェルネスティーネ物語以上の恋物語を見せられた直後な上に、
ずっと憧れていた恋物語の作者であるエラントゥーラ様に会うことができたため、
ハンネローレ史上、一番の恋物語フィーバーが起こっていると思われるのですよ。
だから自分の恋を何とかしようとは全く頭に思い浮かべられなかったんだろうな、と…w

ジークリンデは策士としての腕が見事なのでアドルフィーネを賞賛していますが、
コルドゥラが言うように、ハンネローレは魔力量と戦闘能力に適性があるのですよね。
これからコルドゥラが言うような事態が起こるんですから、
筆頭側仕えとして主のことをよく見ていると思います。

ジークリンデも母として、無責任で能力不足なジギスヴァルトとの婚姻を避けたり、
節操なしなアウブ・ドレファンヒェルの縁談から守る為に、
そして、ハンネローレが自分で選べるように婚約者ではなく、
婚約者候補を二人見繕っているあたり、とても親の愛だなぁ、と思うのですよ。
ヴェローニカのような独善的で一方的な親の愛の縁談押し付けとは違いますよ。
ジークリンデはとてもまともな母親だと思います。
それをハンネローレが気付けるのはいつの日なのかな…?

そしてハンネローレ視点で語られる入寮からの本編ですが、
前作からのファンにとっては知りたかった情報が色々と出てきてホクホクですね。
ローゼマインの親友だと自他共に認められたハンネローレが苦労を背負いこむことになってますが、
この世界の貴族は権利と責任はワンセットなので仕方が無いですよね。
責任だけ放棄しようとする愚か者はフェルディナンドがくしゃっと叩きつぶしちゃったので、
これからは多少マシになると思いますよ、ハンネローレ様。

ツェントとなったエグランティーヌは粛清の責任を取るべき実家のクラッセンブルクではなく、
功績が大きいローゼマインを重要視しているのには安心しましたけど、
そのせいでエーレンフェストとハンネローレに縁談が殺到しているのはとばっちりですね。
他領のアウブは神殿改革する必要性と切実性は領主会議で理解したのでしょう。
ただ、どうすれば良いのかは全くの知見がないので、知っている相手にやらせたいんだけど、
エーレンフェストは今後数年は嫁入り&婿入りのみと定められているので、
ハンネローレに縁談が殺到しちゃうのは本当に可哀想だな、と思います。

貴族院に入って早々にダンケルフェルガーのダンケルフェルガーらしさが全開で呆れましたけど、
「シュタイフェリーゼより速く!」
という言葉がローゼマイン発だということは知られてないみたいですね。
おそらくローゼマイン本人は特に気にしないでしょう。
むしろ、それで更に崇められてディッターを吹っかけられる方が迷惑するでしょうね。
エーレンフェストにはディッターを吹っかけないという約定は結ばれたけど、
アレキサンドリアとは結んでないですから…w

ラザンタルクが精一杯の求愛の言葉をハンネローレに捧げてますが…
全く響いてないのはちょっと可哀想ですね…
ハンネローレはラザンタルクがハイスヒッツェと似ていると評していましたが、
おそらくそれは正しいです。

ハイスヒッツェは自分の常識と十年前の記憶を根拠に動いたせいで、
結果としてフェルディナンドに盛大な迷惑を掛けました。
ラザンタルクも自分の常識と幼い頃の記憶を根拠に今のハンネローレを見ずに求愛したせいで、
ハンネローレは迷惑しているんですよ。
悪い子ではないんだけど、ちゃんと相手を見て、理解しないと、何事も上手くいかないと思うのです。
ダンケルフェルガーの騎士が持つ宿痾なのかもしれませn。

それに比べるとケントリプスはハンネローレのことをよく見ていると思うのです。
ハンネローレが幼かった頃の思い出はしっかりと大切にしていながら、
ローゼマインと出会ってどのように成長してきたのか、理解できていると思うのです。
ある意味、本人以上に理解できているのではないかな、とまで思います。

そして異母弟のラオフェレーグですが…
彼は前作では継承の儀式に出席を見合わせられたのも納得の馬鹿ですね。
幼い頃から最上級の教育環境を得られて10年間みっちりと教育してこれというのが…
身分を笠に着て他者に自分の傲慢を強要しようとするあたりは、
とてもレスティラウトに似ていると思いました。
ただ、レスティラウトの根底には一応他者への優しさもありましたけど、
ラオフェレーグにはそういったものが全く感じられないのがねぇ…

進級式と親睦会ではラザンタルクがTPOを弁えずに自分本位で口説いてますが、
そういうところがあかんのやぞ、と思ってしまいますw
ブルーメフェルトとコリンツダウムは二つの領地のアウブの性格が出ているのは予想通りでした。
そして一年も経たずに学生の心をつかむローゼマインはやはり規格外ですよね…
多分、歓迎のお礼としてフェシュピールを弾いて祝福を送ったり、
慈悲と利益を振りまいて、学生の成績を上げる方針を打ち出したり、色々とやったんでしょうね。
うーん、詳細を知りたいけど、続編で書かれたりしないのかな?

親睦会でのローゼマインの配置ですけど、
おそらくハンネローレの予想通りフェルディナンドが裏に居ると思います。
というか、エグランティーヌの施政はフェルディナンドの監視が常についていることでしょう。
魔石恐怖症のローゼマインのために魔石部分を覆い隠すように婚約魔石を装飾したりと、
フェルディナンドはとても過保護ですからね。

アナスタージウスは苦言を呈しているけれど、
ローゼマインもハンネローレも巻き込まれるだけなんですよ。
それでも大きな事態が起こってしまうのが困ったものなのです。
むしろ、そのような事態に巻き込まれながら、
色々と奮闘している二人を褒めてあげて欲しいくらいです。
巻き込まれる資格すら得ていない王族たちの無能さこそを反省して欲しいものです。

ヒルデブラントは今のところ大人しいですけど、
本人がどこまで反省しているのかは現時点で未知数ですね。
レティーツィアはとても反省しているように見えるし、
これからも苦労を背負い込みますから頑張って欲しいです。
ヴィルフリートは後述しますが、相変わらず脳天気に見えるのに比べて、
シャルロッテは中継ぎアウブを任されているので大変でしょうね…

座学の講義で会ったローゼマインのご機嫌さを即座に
「図書館か本について何か考えている」と察することができるとか、
ハンネローレもローゼマインの親友らしい理解度ですね!w
そして実技の講義で即座に動いたオルトヴィーンは本当に有能です。
本当に有能な領主候補生とはどういうものかという、お手本のようです。
ドラえもんにおける出木杉くんのような印象を受けます。

領地としての利をしっかりと押し出している上での求婚だし、
ハンネローレの実力と性向を把握しているし、
何よりもヴィルフリートへの恋心まで確信を持っているだなんて、本当にやり手すぎる。
それでいてついうっかりと本気の恋心を見せてしまうんだから、
そりゃもうハンネローレは大変ですよね…

しかしハンネローレもローゼマインと同じくらい殿方の気持ちに鈍感というのは、
ある意味正しいけれど、ローゼマインもハンネローレには言われたくないあろうなぁ…
と思うくらいに中々に酷いものでしたね。
まぁ、ラザンタルクが恋物語とか読んで勉強してこなかったのも悪いと思いますw

髪飾りの件については、ローゼマインとハンネローレの挿し絵が有ったのが一番助かりました。
一年前とは逆になった身長差もそうですが、
お揃いになった髪飾りとローゼマインの新しい色のマントに胸元を飾る婚約魔石と、
読者が見たかった箇所が全部描かれていて大満足でした。

来年の卒業式におけるローゼマインの展望は、言われて見ればその通りなんだけど…
学生どころか現代の貴族の常識では計れない心配をせざるを得ないとか、
ローゼマインは本当に規格外すぎますよね。
ただ、それも王族がまともに機能していたらこんな心配をする必要がなかったんですけどね。
次に奉納舞or御加護の儀式で始まりの庭に行けるのはメルヒオールかなぁ…?

それにしてもこそこそと小声で心配するのは良いんだけど、
下手に情報を零してしまったために周囲に邪推させる材料を与えてしまうあたり、
ヴィルフリートは本当に迂闊ですよね…
どうしても「そういうとこやぞ」と思ってしまいます。
悪い子ではないんですけども…!

ローゼマインとハンネローレがお茶会でお互いの領地の情報を小出しにしてやり取りするのは、
二人ともちゃんと領主一族してるなぁ、と感心しました。
何だかんだでローゼマインも教育の成果が色々と出ていると思うのですよ。

でも、特殊な環境で育ったので、自分を客観視できていないのは相変わらずで、
養子縁組を歌った曲が恋歌と誤解されているのに気付かないあたりは変わらないですね。
そう言えばフェルディナンドがアーレンスバッハで歌った曲も誤解されましたっけ。
遠回しに言う貴族文化は誤解されやすいということが多々あるのかもしれません。

ヴィルフリートに纏わる王命に関する噂と根回しが王族の領分というのは理解できますが、
おそらくエグランティーヌたちは要望されない限り動かないでしょうね。
勝手に動いて迷惑を掛けたらいけないし、それに他の仕事で多忙でしょう。
むしろ王族に要望を出さないヴィルフリートの方に問題があるように思えます。

ローゼマインは今だからと色々と内情をぶっちゃけてますが、
確かにヴィルフリートとの婚約はお互いにとっては苦痛の多いものでしたからね。
それを憧れの婚約だと誤解させていたのがフェルディナンドの過保護な贈り物だったあたり、
色々と罪深いなぁ、と思います。
まぁ、その婚約を大切にせず、魔力圧縮を必死にしなかったヴィルフリートの罪も大きいのですが…

ローゼマインが貴族院に来て寂しいと感じる理由ですが…
本当の貴族と会えないのは前と一緒だけど、一度再会できているだけに寂しさも一入なのか。
義理の兄妹が居ないから寂しさが大きいのか、
それとも心を通わせたフェルディナンドと離れているから寂しいのか…
うーむ、妄想が広がりますね。

そして喧嘩の事情聴取で語られたケントリプスの想いですけど、
彼は彼で色々と抱え込んでいることがよくわかりました。
文官という特性上からか、私はフェルディナンドと比較してしまうんですよ。
そして比べてしまうとどうしてもケントリプスの未熟なところが見えてきます。

大切な相手を守る為に魔術具を準備するという発想は同じでも、
フェルディナンドはローゼマインの心が壊れないように「相手が死ねない魔術具」を作るのに、
ケントリプスはハンネローレが絶対に負けないように「相手を殺せる魔術具」を作ってしまうんですよ。
それが故に肝心なところで使って貰えないんですよね…
守りたい相手への理解度の差が明暗を分けたのだと思います。

ただ、この2年で理解が深まったのか、これからの展望については予想は正確だと思います。
とはいえこの時点ではこの後にあんなことが起こるとは予想できないあたり、
まだまだローゼマインと関わった時の規格外さが理解出来ていないんですよね。
そしてそういった事態に対する処世の仕方や事前準備も、
フェルディナンドに比べると大きく見劣りするのが悲しいところです。

自分の恋心と領地へもたらせる利のバランスの袋小路に入っていたハンネローレだけど、
思いがけず異母妹とメルヒオールの縁談の話を聞いたことで、
一気にブレーキが壊れた暴走特急になりましたね。
本当に、一度決めたら止まらず譲らないという周囲の評は間違いでは無かったです。

それにしても思うのはヴィルフリートの脳天気さですね。
友人の恋を応援しようという気概は良いと思うのですが、
致命的なまでに情報収集が出来ていないのが露呈してしまった上に、
ローゼマイン以上に他領にエーレンフェストの内実をバラしまうのはどうなんでしょう…
ヴィルフリートはとても誠実ではあり、そこは美点だとは思うのですが、
それは領主候補生である上では致命的であると思うのです。

ただ、正しい情報を流すことでエーレンフェストの特殊な事情の理解が得られたのは幸いでしたね。
ヴェローニカがやったことは大領地からしても常識外れの非道なもので、
ヴィルフリートはその被害者というのは、ある意味で正しいです。
その影響は多岐にわたっていますが、まさかハンネローレの恋心にまで影響を与えるとはねぇ…
ヴェローニカは本当にどこまでも迷惑を掛ける毒親だと思います。

そしてここで唐突に女神が降臨するわけですが、
ドレッファングーアはメスティオノーラと違ってお願いに来ている立場もあってか、
マインではなく、ローゼマインと呼んでくれるし、
協力してくれたハンネローレにお礼をしてくれるあたり、とても良い女神だとは感じるんですが、
前作では怖いところもあるみたいなことを言っていたので、
今回は彼女が怒らなくて少し安心しました。

女神の御力で精神だけで一年前に戻ったハンネローレですが…
彼女が即座に動いてしまった事情はわかるんですが、
結果だけ見ると、情報を集めずに拙速に動いて失敗するダンケルフェルガーの典型例でしたね。

この時のヴィルフリートは尖ったところが有りまくりで、
周囲からは散々けなされて、側近が解任されたりとささくれ立っている真っ最中ですからね。
アウブ・エーレンフェストになって欲しいと言ってきたハンネローレは敵認定されたのでしょう。
いやはや、本当にこの時のヴィルフリートは本当に未熟だと思います。

それに比べてエグランティーヌはバランス感覚に優れているんですよね。
お互いの事情に理解を示した上で、やらせるべきことをきちんとやらせるあたり、
この頃からツェントとなる資質は充分にあるのだと思わせてくれます。
まぁ、本人はツェントになることを望んでなかったのでしょうが…

そしてコルドゥラからの冷静な指摘ですが、ある意味正しいです。
ヴィルフリートは結果として騙したようで申し訳ないから再戦したいと考えていたんですよ。
レオノーレたちに却下されただけなので、誠実ではあろうとしたのです。
ですが、次期アウブという言葉の重みを理解していない浅慮であるのは正しいです。

それにしても一年前はハンネローレはこれだけ苦労していたとは…
元凶は間違いなくレスティラウトの横暴な嫁盗りディッターだというのに、
それに対するケアは側近二人のケアだけ、というあたりがレスティラウトは傲慢だと思います。
大領地のお坊ちゃんとして育てられたから、そんなメンタルなのかもしれませんが、
そんなことだと、将来フェルディナンドにボッコボコにやられそうな未来しか見えないのですが…
大丈夫なのでしょうか?

ラストでは縁結びの女神リーベスクヒルフェが気を利かせたせいで、
多くの求婚者が列を成してやってくるという大変な事態に陥りましたね。
シチュだけみると乙女ゲームみたいですけど、
ハンネローレ当人にとってはそれどころではないでしょうw
神々と関わると大変なことになる、というのがよく理解できたと思います。
今後はローゼマインに対する理解も捗りそうですね!

エピローグはケントリプス視点ですが、彼も苦労性ですよね~…
ダンケルフェルガーの文官とはそういった性分の人が多いのかもしれません。
彼の視点で見る女神の降臨のアレコレでは、ヴィルフリートが有能に見えるから驚きますね。
ただ、ローゼマインがアーレンスバッハへ攻め込む時に背中を押した時もそうだけど、
緊急事態に動じず、果断に動けるのはヴィルフリートの得がたい資質だと思うのですよ。
問題はその資質を磨かず、欠点を放置していた彼の教育係の怠慢なだけで…

「閑話 アウブの定時報告」は前作のフェルマイファン向けの短編ですね。
フェルディナンドの説教臭さは相変わらずだけど、
優しさと過保護さがマシマシになっているあたりがニヤニヤできると思うのですよ。
側で見守っているリーゼレータは役得だと思います。
これがハルトムートとクラリッサにバレたら、
中央に一緒に来て欲しいとおねだしした時みたいに、めっちゃ嫉妬してきそうですよね…w

ラザンタルク視点の短編は、彼がただのディッター馬鹿なだけではなく、
ハンネローレのことが好きな馬鹿、というのがわかる内容で面白かったです。
おそらく2巻に収録される本編を読めば理解できるんですが、
1巻だけだとただのディッター馬鹿であるように思えてしまいますからね。
良いフォローだと思いますよ。

逆に金粉、もといジギスヴァルト視点の「コリンツダウムの執務室にて」は…
金粉はどこまでいっても無能な馬鹿だなぁ、というのが凝縮されていて酷かったです…w

まず、本人が今でも王族気分のままなのが酷い。
就任式の時にローゼマインに指摘されてたのに、まだ修正できてないし、されそうもない。
自分以外は全て自分に傅いて献上すべきだと考えている傲慢さに陰りが見えないから、
ジークリンデの思惑に全く気付けない馬鹿さ加減が読者に浮き彫りになっているんですよね。

ナーエラッヒェもジギスヴァルトに第一夫人を求める言葉を読む限りだと、
ジギスヴァルトと同じ「責任と苦労は背負いたくないけど、愛と実利は欲しい」
と言っているようにしか見えないんですよね。
ある意味似た者夫婦なのかもしれません。

ジギスヴァルトはローゼマインやアドルフィーネを配慮が足りず、無神経で非常識だと考えてますが、
客観的に見てその言葉はそのままジギスヴァルトに熨斗を付けて返すべきでしょう。
次期王の王子という立場だったからそれがギリギリ許されていただけで、
その立場を失った今だと糾弾されて当たり前なのに、そこに全く理解が及んでいない。

むしろ、女神の化身となったハンネローレならメスティオノーラも降臨させられ、
自分の為のグルトリスハイトを貰えるとでも思っているのかもしれませんが…、
本当に認知が歪んでいるなぁ…

そもそも未だに次期王だと思っている時点で超弩級の馬鹿だと思うのですが、
それを周囲が正そうとしていないあたり危なすぎますよ。
ディートリンデがそれをやったら、不敬だとして処刑される予定だったのを忘れたのでしょうか?
自分は王族だからその対象外と考えているようにしか見えませんが、
ジギスヴァルトは既に王族ではない、という理解すらできてないのが一番の問題ですよね。

とはいえ、グルトリスハイトがないままにツェントとして君臨しようとして、
政治力を磨いてきたのは間違いないので、根回しや都合の良い噂の流布の手腕は見事ですね。
ラオフェレーグというダンケルフェルガーの癌も既に把握していて都合よく利用とするあたり、
舐めてかかっては駄目な馬鹿だとは思います。

ただ、身内である父と弟はそういった特性を理解しつくしているので、
嫁盗りディッターでは各所に対策されて、ボッコボコにされそうだな、と思います。
ツェント・エグランティーヌが公式に裁くアウブ第一号にならないと良いね…!

特典SSはヴィルフリート視点でしたが、これもまた読み応えがありましたね。
バルトルトを放置していたことがいつか断罪されるとは予想していましたけれど、
五年生が始まる前どころか、領主会議直後に引導を渡されていたとは思いませんでした。
まぁ、それくらいダメダメだったということなのでしょう…

ヴィルフリートは優しくて素直なんだけど、側近にそれを利用されやすいんですよね。
側近達にとって都合が良い主となるように教育された結果、
情報収集が疎かになり、情報の取捨選択を誤り、他責思考に陥ったんですよね…
それもこれもヴェローニカに教育され、オズヴァルトを付けられたせいでしょう。

それでも、今まで何度も挽回のチャンスを与えられてきたのですよ。
一日神殿長で自分の未熟さを見せつけられて再教育の機会を与えられ、
白の塔へ入った罪を咎められてもローゼマインの取りなしで許され、
嫌われている元凶のオズヴァルトを辞任させて更生の機会を与えられ、
バルトルトの暗躍に気付けなくても側近を介して忠告をしてくれて、
今回もラストチャンスでライゼガング系貴族の教育者を入れる打診をされたくらいです。
親の愛としては、これ以上ないほどでしょう。

ですが、ヴィルフリートはそのチャンスを悉く逃してきたし、
最後のチャンスも自分には無理だと断ってしまいました。
本編で書かれていた通り、ローゼマインはハッセやローデリヒといった課題を乗り越えて学習してきたし、
おそらくシャルロッテも同様の試練を乗り越えてきたんだけど、
ヴィルフリートだけが忌避して脱落したんですよね…

側近を守れるならギーベで良いと考えてるみたいですけど、
アウブの側近、という輝かしい将来の展望を抱いていた側近達からすると、
領主一族の側近ですらなく、ギーベに協力する文官や騎士という立場が用意されたとしても、
彼等がそれで納得するとはとても思えないんですよね。
本当に、フェルディナンドが昔に指摘した通り、
先のことが見えてない子供だと思います。
次の2巻では更にやらかしてしまいますからね。
ヴィルフリートは何でもローゼマインが悪いと思っていたのでしょうが、
今までどれだけフォローされてきたのかを実感するのはこれからだと思います。

それとドラマCDの特典SSですが、こちらではレスティラウトが冒頭から父親から説教されてましたが、
それでもまだ、嫁盗りディッターを仕掛けた責任の大きさを感じていないように思えます。
エーレンフェストとの常識の齟齬を解消しようともせずに強引に仕掛けて、
ヴィルフリートを騙してサインを書かせた悪辣さを全く反省していないんだよなぁ…

そのしわ寄せを自分で請け負おうとは全くしていない上に、
エーレンフェストに被せず、自分だけ負担するハンネローレを見てイライラするとか、
本当に困ったお兄ちゃんだなぁ…
ジルヴェスターは大領地相手だから遠慮しているのかもしれないし、
何だったら、レスティラウトがアウブになってからこの件を持ち出して仕掛けるつもりかもしれません。
それを警戒しているから、ヴェルデクラフは厳しいのではないかな?

それというのもジルヴェスターは嫁盗りディッターの本質をクラリッサから報告を受けていると思うのですよ。
ローゼマインの心の平穏と、ハンネローレの望みを叶えるためにローゼマインには黙っているだろうけど、
側近仲間と保護者にはしっかりと報告しているのではないかと思うのです。
もしかしたらシャルロッテも知っているかもしれません。
そういった内幕は次巻以降で明らかになるのではないかと予想しております。

それはそうと二歳児の時のハンネローレはとても可愛いですね!
舌っ足らずでレスティラウトに置いていかれる涙目の幼女とか、可愛すぎでしょう。
これを無視できるとかレスティラウトは酷いお兄ちゃんですよ。
でもまぁ、こういった兄妹はどの世界でも見ることができるんですけどね。

そんなレスティラウトの第一夫人に誰がなるのかだけど、
レティーツィアが候補に入っているのには驚きましたが、納得ではあります。
現時点では王命があるので無理そうだと認識しているのは安心ですけどね。
あの王命を何とかしようとしたら、絶対にフェルディナンドが邪魔するでしょう。

そしてハンネローレとローゼマインが揃うと厄介事が起こると予想するのは間違ってないんだけど、
二人とも巻き込まれているだけで、二人に責任は殆どないんですよ。
むしろ、二人が厄介事を何とかできる限り平穏に収めているくらいなんですよ!
よくやったと褒めてあげるべきだと思います!

この続きは現在も連載中で完結していないので、続きを読みたくてヤキモキする日々です。
今年はまだ、ふぁんぶっくと短編集も出ますし、
第三部のアニメ化や、引き続いてのコミカライズのお仕事もありますからね…
香月先生もお忙しいとは思いますので、無理をせず書いて欲しいものであります。

余談。

女神から「命を奪うな」という命令が出ている中で、
ヴィルフリートがどうやってバルトルトを処刑するのか?
という疑問が出てきたんですが…
やはり名捧げ石を使って
「バルトルト、自害しろ」
「…ありえない… この私が…」
とかやるのでしょうか!?
ちょっと気になりますw

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