■[ラノベ]打算の結婚からおしどり夫婦へ「理想のヒモ生活」2巻
理想のヒモ生活 2 (ヒーロー文庫)
著者/訳者:渡辺 恒彦
出版社:主婦の友社( 2012-11-30 )
文庫 ( 360 ページ )
作者サイト:渡辺 恒彦
絵師サイト:ハイノハナ
絵師twitter:文倉十 (haino)さんはTwitterを使っています
剣と魔法のファンタジー世界へ召喚された先で望まれたのは女王のヒモになること!?
そんな一風変わった切り口で始まった「理想のヒモ生活」ですが、
読み進めれば出オチな設定だけでなくしっかりと地に足を付けた物語だと分かると思います。
伊達に「小説家になろう」で長期間首位の座を維持していない面白さがありますが、
実はWeb版からの加筆修正は2巻からかなりの部分を行っています。
Web小説はサクサク読み進めることが出来るのが持ち味の一つなんですが、
紙のライトノベルになると薄く感じてしまうこともあります。
ですので、そこを補うよう読者がよりビジュアルが想像できるように加筆がされています。
それでいてWeb版の面白さを損なわないように仕上がっているのは、
作者と編集さんが努力した結果なんだと思います。
この2巻はWeb版の通りに展開しており、善治郎のお披露目的な社交界デビューから、
異世界の風土病に罹ったり、同じ南大陸の中央部で覇を唱える友好国である双王国からの諸問題、
そして女王アウラの懐妊と出産という一大イベントが待ち受けています。
元々お互い別々の理由があったとはいえ主に打算から結婚した善治郎とアウラだけど、
結婚から数ヶ月を経て、一緒に生活を続けていくことでどんどん打ち解けていきます。
特にアウラの方は善治郎のアウラのことを深く考えての言動に絆されていくのが良いんですよね!
善治郎の初めての「我が儘」が側室の拒否だった時のアウラの隠しきれない悦びや、
出産前のもう一度やった指輪交換とかかなりグっと来ますよ!
また、そういったイベントだけではなく何気ない日常の会話からも二人の仲の良さが滲み出ていて、
そこがまた魅力的なんですよね。
「なー、嫁さん、嫁さん」
「ん? なんだ、婿さん?」
(中略)
「落ち着け、嫁さん」
「無理だ、婿さん」
「どうどう」
「ガウガウ」
こういったやり取りが当たり前にできるおしどり夫婦っぷりが微笑ましいです。
1巻で結婚、2巻で出産というかなり異色でスピーディーな展開ですが、
だからこそ新鮮な面白さに満ちている作品ですので、
こうやって商業作品として世に出たからには、より多くの人に読んで欲しいです。
まずはWeb版でプロローグと幕間1まではサクっと読めるのでそこから判断して欲しいです。
面白いよ!
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