本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 短編集3 12月14日発売!
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:: 2016/7/17 日曜日::

■[漫画]いびつなトライアングラー「スロースターター」

スロースターター (芳文社コミックス)
著者/訳者:ハルミチヒロ
出版社:芳文社( 2016-07-15 )

試し読み:スロースターター
作者サイト:Harumichihiro INFO

山浦緑はアニメやゲームをこよなく愛する二次元の嫁を持つ男。

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このまま三次元の女には一生縁がないままの人生かと思いきや、
友人のやけ酒に付き合った先の倶楽部で三次元の女と縁(物理)が出来てしまう。

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酷く酔っていた女の子、五十嵐あざみを介抱していたら、
図らずもお持ち帰り状態になり、
しかも彼女の方から積極的にキスをしてきて…

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あざみの好きな相手が女の子で、結ばれるはずがないからと緑を関係を持つことに…

この作品はやけ酒で緑と関係を持ったあざみと、
あざみが好きな相手のかおる。
そして女に免疫のない緑の奇妙な関係を描いた物語です。

いやー、ハルミチヒロさんの描く漫画は良いね… 実に良い…
適度に男女にリアリティがあるんだけど、
それを嫌味に感じさせない匙加減が絶妙なんですよね。
だから無駄に傷付くことなく、それでも心に残る面白さがあるんだなぁ。

あざみがかおるにヤキモチを焼いてもらうために、
緑と関係を持ったことを報告するところとか実に良いよね…
それにあざみに壁ドンされた時の緑のリアクションは実にアニオタらしいし、
あざみのドン引きっぷりも三次元の女の子らしくて実に良いんだ…
それにしてもハルミチヒロさんの描く女の子は壁ドンが似合うよね…(笑

かおるのめんどくさくて怖くてあざとい女の子らしさも、
緑のアニオタっぷりには通じてないのは笑ったなぁ。
とはいえアニオタでもあざみと関係を持った時といい、
三次元の女の子に免疫がないだけで興味がないわけがないでない、
そんなリアリティを持ち合わせている緑のキャラクターが良かったです。

1巻完結という短さからも手を出しやすいと思うので、
是非とも読んで欲しい作品ですね。
試し読みもあるのでまずはそちらを是非是非!

:: 2014/12/3 水曜日::

■[漫画]この漫画が好きだ!「夜をとめないで」

夜をとめないで (書籍扱い楽園コミックス)
著者/訳者:ハルミチヒロ
出版社:白泉社( 2014-11-28 )
作者サイト:Harumichihiro INFO

ハルミチヒロさんは「かむかむバニラ!」で知って以来、
他にもちょいエロ系漫画とかには手を出してたんですが、
まさか楽園で恋愛モノを描かれるようになるとは思いませんでした。
そして、それ以上にこんなに面白い漫画を描かれるとは思いませんでした。

シリーズモノではなく短編集という形になっており、
どの短編も非常に個性が強い内容になっています。
普通の男女モノの「夜をとめないで」や百合の「はかなごと」、
中には幽霊になった彼氏と彼女の恋愛モノの「たゆた」まで、
バラエティーが豊かな短編が色鮮やかに花開いています。

そんな数ある短編の中でも私が特に気に入っているのが、
トラウマ引き摺る男と強くて前向き女子の「シャンプーリンスコンディショナー」です。

彼女の浮気現場に遭遇して残酷なまでにフラレて以来、
彼女が使っていたシャンプーの香りがトラウマになった佐々木さん(38)。
ある日会社の飲み会で酷く酔っ払って、
彼女と同じシャンプーの名取あやさんに迷惑を掛けてビンタされた所から物語が動くんですが…
もうね、何か判らないんだけど、この話が好きなんですよ。
大好きなんですよ。

別れた女のことがトラウマになってウジウジする佐々木さんは、
読んでいて痛快な主人公ではないし、共感出来る所は少ないです。
でも、アラフォーで手痛くフラれてしまい臆病になる心の繊細さは分かるんです。
傷つきやすい男の人ってのはどこにでもいるもんですし、
そこが妙にリアルに感じられるんですよ。

そしてヒロインである名取あやさん。
これがね、実に良いんですよ。
酔っ払いに抱きつかれてビンタする強気なトコも良いし、
シャンプーの匂いが気になるならと、匂いに慣れましょう、と前向きなトコも良いし、
佐々木さんに慣れるのを断念したと告げられた時の表情も良い。
もうね、何がどう私の琴線に触れたのかわからないんですが、とにかく良いんですよ!
少なくとも私はこの名取さんのことが凄く好きになりました。
何度も何度も読み返すくらいに。

名取さんは全体的に引っ張ってくれる系の女の子なんですよ。
壁ドンも自分でやっちゃう系女子ですよ。
今の時代だとこういった女の子も有りだと思いますし、
何より佐々木さんには合ってると思うんですよね。
ただ、佐々木さんは間違いなくEDになっていると思うので、
そっちの方でも苦労しそうですが、名取さんなら何とかしてくれると思います。

もちろん、他の短編も面白いです。
ですが、私はやっぱり「シャンプーリンスコンディショナー」が凄く好きなので、
是非ともこの短編を読んで欲しいです。
恐らく私は今後、何度となくこの話を読み返すことになると思います。
それくらい好きです。

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