本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 短編集3 12月14日発売!
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:: 2016/3/19 土曜日::

■[ラノベ]美しい花には業火な毒がある「火輪を抱いた少女 II 悪鬼」

火輪を抱いた少女II 悪鬼
著者/訳者:七沢 またり
出版社:KADOKAWA/エンターブレイン( 2016-02-29 )

作者サイト:七沢またり
絵師pixiv:「流刑地アンドロメダ」のプロフィール [pixiv]
絵師twitter:流刑地アンドロメダ(@korera001)さん | Twitter
Kindle版:火輪を抱いた少女II 悪鬼< 火輪を抱いた少女>

2巻では第一部完といったところでしょうか。
冒頭から盗賊に扮したバハール兵を相手に五寸釘で拷問という、
SAN値が上がりそうな展開で始まりますので、
耐性がある人にのみオススメしたい作品です。

主人公のノエルは見た目は良いのでドレス姿とかは美しいんですが、
戦闘行動とか色々と容赦無いので凄惨な状況ばかりというか…
バハール兵から悪鬼と呼ばれるのがしっくり来るんですよね。
戦闘以外では日向ぼっこが好きなだけのただの少女って感じなんですが…

そんな彼女が劣勢のコインブラを勝たせるため、
敵の策を見破り乾坤一擲の策を打とうとしているのに、
敵の離間工作にまんまとハマって身動きが取れなくなるのは辛いなぁ。
全てを悟った時のグロールの様子を見てると、
胸のすく思いもあったけど、それ以上に寂寥感を感じました。
それは実の弟に手玉に取られる兄の姿が憐れあったからでしょうか…

この2巻だけだとバッドエンドです。
表紙からして悲劇を物語っていますからね。
ただ、次の3巻でどんでん返しが待っています。
とはいえ単純にハッピーエンドになるわけではなく、
必ずしも後味が良い終わり方ではないけれど…
面白いので是非3巻も読んで欲しいですね!

:: 2016/3/18 金曜日::

■[ラノベ]クレイジーサイコデストロイヤー「火輪を抱いた少女 I 晴れのち地獄」

火輪を抱いた少女1 晴れのち地獄
著者/訳者:七沢またり
出版社:KADOKAWA/エンターブレイン( 2015-11-30 )

作者サイト:七沢またり
絵師pixiv:「流刑地アンドロメダ」のプロフィール [pixiv]
絵師twitter:流刑地アンドロメダ(@korera001)さん | Twitter
Kindle版:火輪を抱いた少女 I 晴れのち地獄

いつも通りの七沢またり作品です。
破滅的な強さを持つ狂った少女が敗色濃厚な軍に所属して戦うという、
クレイジーサイコデストロイヤーノベルです。
ただ今回は全3部作になりそうなところがいつもと違います。

リベリカ大陸全土に覇を唱えるホルシード帝国。
太陽帝を称する皇帝の命により極秘裏に進められていた黎明計画。
それは不老不死を願った三代皇帝ベフナムによる子供を使った人体実験で、
狂った研究者によってたった一人の成功例以外は全員死んでしまう。
しかしもう一人、墓穴の中から不良品と蔑まれていた少女が蘇ってきて…

人体実験と少年兵訓練の失敗作ながら圧倒的な武を持つことになった少女・ノエルが、
皇子同士の帝位争いの戦争に巻き込まれながら、
そこで強かに生き残るだけでなく、仲間を作りながら幸せを求める物語です。
仲間は手厚く守りながら、敵には容赦なく鉄槌を振り下ろす。
そして約束は絶対に守るというちょっとネジが外れた少女の物語。

読者からすると誰が裏切り者かわかるので、
斜陽のコインブラ州太守であるグロールの道化っぷりが際立ちますが、
そんなグロールの下でも才覚を示して頭角を現すノエルが格好良いんですよね。
元仲間だけど裏切って外道に落ちたら容赦なく断罪するという、
果断なスタイルも狂気と紙一重の格好良さも魅力の一つだと思います。

ちなみに前作「勇者、或いは化物と呼ばれた少女」前々作「死神を食べた少女」と同じ世界観、
より詳しく言うと隣の大陸のお話ですので、
両方を知っているとより楽しめますので、
この作品を読んで興味を持った方は是非そちらもどうぞ。

:: 2014/8/5 火曜日::

■[ラノベ]そして伝説のその後「勇者、或いは化け物と呼ばれた少女」上、下

勇者、或いは化け物と呼ばれた少女(上)
著者/訳者:七沢またり
出版社:KADOKAWA/エンターブレイン( 2014-07-31 )
作者サイト:七沢またり
絵師pixiv:「おぐち」のプロフィール [pixiv]
絵師twitter:おぐち (OGch)さんはTwitterを使っています

勇者、或いは化け物と呼ばれた少女(下)
著者/訳者:七沢またり
出版社:KADOKAWA/エンターブレイン( 2014-07-31 )
作者サイト:七沢またり
絵師pixiv:「おぐち」のプロフィール [pixiv]
絵師twitter:おぐち (OGch)さんはTwitterを使っています

にんぽっぽファンにとっては有名ですが、この作品は元々ドラクエ3の二次創作として書かれたものです。
しかし、小説家になろうが二次創作小説を禁止したために消滅したんですが、
その後、同じ世界観を根底にした「死神を食べた少女」が人気を博して書籍化された後、
新規オリジナルとして再構成されたものがこの「勇者、或いは化け物と呼ばれた少女」になります。

再構成されたとはいえ、基本的な所は変わってません。
ルビス→女神、カンダタ→ボーガンと設定と名前が変わったキャラも居ますし、
主人公の勇者も、元々心優しい少女だったのが強制的に生き返る身体になり心が壊れた描写がなくなり、
「ベホマ」「ザオラル」「ミナデイン」といった判りやすい呪文の名前も無くなっていますが、
それでもこの作品の面白さは何も変わっていません。

魔王を倒した勇者が、勇者を見捨てた元仲間の3人の暗躍もあり、
その実力の異常さから人々に忌避されるという展開は、
吉崎観音の「ドラゴンクエストモンスターズ+」のロランに近いです。
3人の元仲間の情報操作で3人が本当の勇者だという伝説となり500年、
封じられていた勇者が目覚めて迷宮都市に姿を現してからこの物語が始まります。

天然バカの猪娘の狂戦士マタリ、ピンク色の死霊術師エーデル、丸眼鏡の学者ルルリレ。
いつの間にか3人の仲間に囲まれ、少しずつやわらなくなっていく勇者だけど、
魔物を殺すということにだけは妥協を許さず、勇者という矜持は決して捨てず、
外道に堕ちた人間も魔物として断罪していく姿は歪ですが美しもあります。

それにしても七沢またりさんが書かれる物語は陰惨な部分が多々あるけど面白いんですよね。
元々純真だったけど悲劇に見舞われて外道に堕ちた人間や、
外道に堕ちた人間の子孫だけどまともな人間や、
魔物なんだけど最期まで人間より純真だった魔物と、
中々に心を抉ってくるものがあります。
特に何度も勇者に救われながら、肝心な所は勉強せずに最後には外道に堕ちたエクセルとか、
本当に救われないから胸くそ悪くなること請け合いですね!
でも面白いんだ!

書籍化に伴い、時系列的に後になる「死神を食べた少女」との伏線も強化され、
ルルリレも死ぬ運命から脱却して勇者の仲間になるという大出世を果たしてます。
挿し絵もありますし、Web版を読んでいる人にもお勧めですね。
まぁ、上下巻合わせて1000ページ近くあるのでかなり時間は掛かると思いますけど、
夏休みがあるから問題ないよね!(笑

:: 2013/1/8 火曜日::

■[ラノベ]血と臓物が溢れる戦記モノ「死神を食べた少女」上,下

死神を食べた少女 (上)
著者/訳者:七沢またり
出版社:エンターブレイン( 2012-12-15 )
単行本(ソフトカバー) ( 330 ページ )
連載サイト:死神を食べた少女
作者サイト:七沢またり
絵師サイト:チョモランのペエジ
絵師twitter:チョモラン 二日目セ13b (huusen_uri)さんはTwitterを使っています

死神を食べた少女 (下)
著者/訳者:七沢またり
出版社:エンターブレイン( 2012-12-15 )
単行本(ソフトカバー) ( 444 ページ )
連載サイト:死神を食べた少女
作者サイト:七沢またり
絵師サイト:チョモランのペエジ
絵師twitter:チョモラン 二日目セ13b (huusen_uri)さんはTwitterを使っています

ログ・ホライズンと同じく「小説家になろう」の連載作でエンターブレインから発売となった本作ですが、
その作品の内容は腐敗しきった国の中枢とクズな上官たちのアホな命令に現場がジリ貧に追い込まれる中、
死神を食べて力を得た少女が故郷の村を滅ぼした憎き反乱軍を老若男女全てを皆殺しにする為に王国軍に参戦し、
血と怨嗟に塗れた戦場の中、大鎌を振り回して惨劇を振りまく物語です。

元々は作者がにんぽっぽ名義でDQ3の二次創作(規約変更により現在は削除済み)を書かれてたんですが、
その世界観を下敷きにした歪んだ主人公の物語を書こうとして作られたのが本作になります。
ベースが二次創作とはいえ、それが全然感じられないくらいのオリジナル作品ですので、
初見の人はあまり気にしなくても良いと思います。

ただ、初見の人は血と臓物が溢れる描写とクズな上官たちへのイラツキへの覚悟が必要です。
ちなみに前者に関してはヒラコー作品が好きなら問題ないというか、むしろウェルカムですね。
後者に関しては最後にはキッチリとクズにはクズらしい末路が用意されていますので、
カタルシスを感じることが出来ます。
ですので最後まで読む覚悟と言い換えた方が正確かもしれません。

肝心の主人公ですが、下っ端の兵卒だった頃からひたすら敵を殺しまくり、
その軍功によって最終的には少佐まで上り詰めるシェラ。
彼女の行動原理は名誉欲とかそういったモノとは無縁で食欲こそが基本原理です。
自分の食事を邪魔するモノには容赦せず、食事を分けてくれた相手には優しくするという、
そんな歪んだ主人公がシェラ・ザードという人です。

敵方には死神として恐怖の代名詞となり、味方には尊敬or畏怖の対象となるシェラが、
腐敗しきった王国の動向なんか歯牙にも掛けず、その食欲と復讐のみで行動し、
最後にはやり遂げるという基本のストーリーになります。

書籍化に伴い大幅に改稿されてますが、基本的にはWeb版と同じ展開ですので、
まずはそちらで試し読みしてみるのも良いかと思います。
取り敢えず第4話あたりまで読めば雰囲気が掴めると思いますので、
そこまで一気に読み進めることをお勧めします。

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