■[漫画]独特の情緒が溢れる「三日月の蜜」
三日月の蜜 (まんがタイムコミックス)
著者/訳者:仙石 寛子
出版社:芳文社( 2010-10-07 )
コミック ( 146 ページ )
作者サイト:空豆人間
前作の「背伸びして情熱」で感じた雰囲気をそのままに、
異なるコンセプトで描かれたの作品集がこの「三日月の蜜」になります。
全8話の表題作の他、11作の1話読み切りの4コマ短編で構成されており、
読めば読むほどめくるめく不思議な4コマワールドへ誘われます。
好きな人への当てつけから桃子さんに告白したらまさかのOKの返事を貰ってしまい、
年上の同性と付き合うことになった佐倉さん。
煮え切らない好きな人へのイライラと桃子さんへの申し訳なさが、
桃子さんの捉え所のない雰囲気のせいでいつしか胸のトキメキへと変わっていき…
そんな不思議な面白さを散文叙情詩のように4コマで紡がれているのが表題作「三日月の蜜」です。
他の短編もどれも面白いのですが、私が好きなのは「今夜は七夕」
七夕の日、織り姫に会いに天の川に出かける彦星を想うお手伝いの女の子のお話なんですけど…、
女の子のことは大事なんだけど、あくまで恋する相手は織り姫であるという、
そんな気持ちを残酷なまでに率直に告げる彦星のことを想う女の子のことを思うと、
何とももどかしい感情を持つことになるんですけど、それこそが醍醐味なんですよね。
勿論その他の短編も面白いのでお勧めの一冊です。
それにしても等身大青虫との異種間恋愛を描いた「キラキラ青虫」が凄い。
しかもそれを作者の仙石寛子さんが大層気に入ってタイトルにしたいと言い出したりとか…
作品だけでなく作者本人も不思議な人なんだなぁ…
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