本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 短編集3 12月14日発売!
特典SS他、新規短編&中編も多数収録!
:: 2023/5/13 土曜日::

■[ラノベ]王族への糾弾と神々のやらかし「本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第五部「女神の化身 XI」」

(注)メチャクチャ長いです。

ランツェナーヴェ王ジェルヴァージオとそのシンパであるラオブルートとの戦いも、
ローゼマインがメスティオノーラをその身に降臨させるという驚天動地の事態が起こったため、
国境門を使ったツェントレースで平和的に競い合うことになったと思いきや、
悪辣な手段でフェルディナンドはジェルヴァージオを廃するのだった…!

プロローグはフェルディナンド視点で書き下ろされているんですが、
ここにもWeb版では知らなかった情報が沢山有って驚きですね。
アーレンスバッハに残っている貴族にディートリンデ派が残っているのは理解できるのですが、
そいつらがまだ諦めずリーゼレータたちを攫って脅迫しようと企むとか、頭が悪るすぎて呆れました。
まぁ、ディートリンデなんてアホの子に味方しているから、
当然その支援者も状況把握もできないアホの子なんだな、と考えると納得です。
リーゼレータを人質にされたら自分や親族のメダル破棄で脅迫されても文句言えないんやで…?

フェルディナンドがディートリンデのアホっぷりが知られてないことを懸念して、
これを機会にしっかりと格の違いを知らしめるために儀式をやるのは流石ですね。
そして、ローゼマインの言動の僅かな差異で女神の降臨の副作用に気付いたハルトムートも流石です。
メスティオノーラとのやり取りがフェルディナンドの回想で語られてましたが、
状況把握能力とローゼマインの思考トレースっぷりも流石の一言でしたねw

それにしても女神の降臨とか、フェルディナンドにとっては完全に予想外だったはずなのに、
それの影響を組み込んで、王族たちに思い知らせる手段とするのは凄いですよね。
そりゃ魔王として恐れられるのも、さもありなんって感じですよ。
それでいて名捧げ側近たちにはちゃんと自らが名捧げすることに了承を取るんだから、
命を預かる主としてちゃんとしてるなぁ、と思いますね。

王族との会議はWeb版から細かい部分が加筆修正されていて、より分かりやすくなっていましたね。
許可証として渡されたジギスヴァルト王子からの求愛の魔術具を見事に金粉化するシーンも、
少し加筆されたことで分かりやすくなっていました。
魔力量の差に気付けないままに求愛した身の程知らずなジギスヴァルト王子…w
目の前で「私が贈った魔石の髪飾りは金粉化していないぞ?」と見せつけるフェルディナンドは、
とても良い顔をしてただろうなぁ、と思いますね!
このシーンに挿し絵がないのは残念でした。

色々と失伝してしまっていて無知すぎる王族への通達ですが、細かく修正されてますね。
王族が全ての原因だと断定することで罪深さを思い知らせて、
次々と要求を突きつけるローゼマインを見ていると胸がすく思いです。
正にタイトル通り、下剋上で身分が逆転したことで、
今まで無茶苦茶な要求をしてきた王族を逆にやりこめる展開なのは、
とてもざまぁ!感が有って気持ち良いのです。

ちなみに加筆部分である、

「本は二冊が良いですか?」
「いえ、違います」

のところはメッチャ笑いましたねw
とてもローゼマインらしいセリフでしたw

それとフェルディナンドが意図していた「王族がグルトリスハイトを得る」ということですが、
おそらくは、ツェントとして君臨するからにはグルトリスハイトを王族が取るように心掛け、
それによって生まれる軋轢は王族として責任を持って対処する…、
ということだったのではないでしょうか?
王命で無体な婚約を強いるくらいなら、
それくらい最低限の責任を取るだろうと思っていたのに、
実際は
”ローゼマインにグルトリスハイトを取らせてエーレンフェストから奪い、美味しい権力だけ貰って責任は全てエーレンフェストに押し付ける”
という愚かで恥知らずなことをしようとしたんですから…
そりゃキレられても仕方ないよなぁ、と思うのです。

それにしてもトラオクヴァールに脅しつけるフェルディナンドの姿は、
商人聖女のローゼマインがジギスヴァルト王子に脅しつけていたのとそっくりで、
二人はとても似たもの師弟というか、似たもの夫婦だな、と思うのです。

身分差が逆転したことに気付いてない愚かなジギスヴァルト王子をアドルフィーネが止めなかったのは、
やらかして汚点を着けることで離婚しやすくなるのを狙っていたのかな? と考えています。
まぁ、まさかここまで愚かだとは思ってなかったかもしれませんが…

あとがきからジギスヴァルト王子はちゃんと礎を守っていたつもりだったと知って納得しましたが…
アナスタージウス王子から、国の礎が貴族院にあると聞いてなかったんでしょうか?
まぁ、自分に都合の悪いことは聞こえない耳を持っている親子ですからね…
聞いてたとしてもスルーしている可能性は非常に高そうです。
どちらにしろ、礎の位置という最重要項目を失伝している時点で王族失格なんですけどね。

感情を揺らしたローゼマインが父さんとの記憶を僅かに思い出しているシーンはとても切ないです。
早く記憶を取り戻して欲しくなります。
あと、不安定になってしまうローゼマインを気遣って言葉を尽くすグレーティアが良い子すぎるし、
ノリノリのクラリッサには笑っちゃいますねw

ジギスヴァルト王子のクズっぷりとトラオクヴァールのダメっぷりが露呈するシーンですが、
これでもまだ序の口なんですよね…
書店特典SSのアドルフィーネ視点ではもっと酷いところが見えてくるんですよ…!
トラオクヴァールは本当に隙あらば責任から逃れようとするし、
ラルフリーダ王妃はラオブルートを推薦した元凶の一人なのに被害者ムーブだし、
ジギスヴァルト王子はローゼマインに散々思い知らされているのに、
アドルフィーネやアナスタージウス王子相手には強気に出て身勝手な要求を押し通そうとするし…
本当に王族はクズだし、全く反省していないんだな、というのがよく分かります。
無責任なクズたちに、強制的に責任を取らざるを得ない立場につかせるフェルディナンドは、
彼らのクズっぷりをよく理解しているなぁ、と感心しまくりです。

エグランティーヌが(消去法で他に選択肢がなかったとはいえ)ツェントに立候補していますが…
私は前巻でトラウマから離宮で震えている姿の印象が強く、
守られるお姫様気質が抜け切れてないと勘違いしてました。
だから、今回も仕方なくツェントに立候補したのだと思っていました。
ですが、書き下ろしSSの「始まりの庭と誓い」を読むと、
ちゃんと責任感と覚悟を盛っているのがわかって驚きました。
ローゼマインのことを意外と的確に把握しているし、
中継ぎとしては期待できるのではないでしょうか?

とはいえ、ローゼマインが考えている通りに、争いが起こらないことを優先している上に、
ちょっと視野が狭いというか、近視眼的ではあるんですよね。
実際、エグランティーヌがグルトリスハイトを得ていたらラオブルートの裏切りも不発だったろうし、
アーレンスバッハやエーレンフェストの貴族に犠牲が出なかったでしょう。
この後、ジェルヴァージオの記憶を読むことで色々なことに気付くことでしょうが、
そこから成長することを願うばかりです。

それとヒルデブラント王子ですが、可哀想だけど自業自得なんですよね。
Web版よりもフェルディナンドの優しさが感じられる諭し方だな、と思った直後に、
泣いている子供は邪魔だと放り出すあたり、とてもフェルディナンド様だと思いました…w

領地の線引きを決めたのは主にフェルディナンドでしょうけど、
旧ベルケシュトックをトラオクヴァールに押し付けたのは英断ですよね。
エピローグによると一応側近たちの意見も募ったみたいですが、
旧ベルケシュトック貴族がエーレンフェストに侵攻したから、
エーレンフェストとの今後の関係を考えると抱え込みたくないでしょう。
それに、政変の粛正をやらかしたトラオクヴァールに強制的に責任を取らせるという意味でも、
とてもアリだと思います。

エグランティーヌをアダルジーザの離宮の住まわせるというのは、
日本の江戸時代で考えると、五摂家の姫を吉原に住まわせるようなもんでしょう。
まぁ、それを良しとしたジギスヴァルト王子が全部悪いんですけどね。
そりゃアナスタージウス王子も特典SSで兄を見限るよなぁ、と思うのです。

エグランティーヌは新ツェントとして女神の化身の都合を最優先にするように、
責任から逃げないようにと今からフェルディナンドに躾けられてますが、
本来は言われるまでもなく出来るべきなんでしょう。
それも手本となるべきトラオクヴァールが責任から逃れてばかりという、
見本として悪すぎたのも一因じゃないのかな、と思います。

それにしても特典SSでもそうですが、機を見るに敏なアドルフィーネは頼もしいですね。
フェルディナンド様も考慮できていなかったドレヴァンヒェルの損得も、
しっかりと主張して確保しているし、とても有能だと思います。
フェルディナンドとローゼマインを怒らせるような迂闊なこともしないでしょうし、
(あくまで貴族としてですが)良い関係を築けそうな気がします。

奉納舞に挿し絵が有るのは嬉しかったですが、
その直後にローゼマインが痛い目に遭うのはキツいですね。
Web版から加筆されたことで、より痛くなったので尚更です。
神々のやらかしっぷりが凄いですけど、
それに報復するフェルディナンドも凄いな、と書き下ろしSSで思い知ったのでした。
いやはや、フェルディナンドは本当に悪辣でえげつない…!

国の礎への魔力供給ですけど、エグランティーヌは染め変えが大変そうですね。
とはいえ、ローゼマインは身食いなので今までの経験上染め変えやすいはずなので、
回復薬を大量にがぶ飲みすれば季節一つ分もあればなんとかなるのではないでしょうか?
とはいえ政務を考えるとあまり余裕はないでしょうね…
最優先は礎の染め変えで、次に古語の勉強をしつつ、中央神殿の神殿長としての勉強もして、
祈りを捧げて暇を見て祠巡りをして、魔力も圧縮して伸ばさないといけないでしょうから…
続編である「ハンネローレの貴族院五年生」の時点で、
まだメスティオノーラの書を得ていないのも当然でしょう。
それだけ忙しいのも歴代の王族の怠慢の結果なので先祖を恨むしかないんでしょうけども。

魔力枯渇計画で加筆された外傷を前提にした薬ですが、
渡した相手というのはおそらくジェルヴァージオでしょうねw
前巻で確かに薬を渡してましたが、普通の薬なはずがないとは思ってましたよ!
てっきり効果が低いだけだと思ってたけど、そんな程度ではなかったよ!
流石はフェルディナンド様! 本当に悪辣でえげつない!w

冬の到来を早めるという意味を知らされて赤面するローゼマインは可愛かったけれど、
フロレンツィアはもっと早く教えてあげるべきでしたね…w
性教育はエルヴィーラとフロレンツィアがお互いにやっているだろうと考えていたせいで、
放置プレイだったローゼマインが大変な目に遭ったよ!
うーん、悲劇。

それにしてもやはりフロレンツィアはローゼマインが平民だったと知らないみたいですね。
Web版よりわかりやすく加筆されてました。
まぁ、流石にこれだけ重要な情報がポロポロ出てきたら気付くんじゃないかな?
とは思うんですけども。

アーレンスバッハでの魔力枯渇計画ですが、脳天気なアーレンスバッハ貴族には怒りが湧きますが、
ハルトムートとクラリッサがきっちりと躾けようとしているのは安心しました。
ディートリンデのようなアホを推戴していたアホ共は、
全員洗脳して馬車馬のように酷使するべきですよ。
ローゼマインとフェルディナンドの半分でも努力してから意見を言うべき。

虹色の巨大なレッサーくんが空を飛ぶというのは挿し絵で見たかった気がしないでもないですが…
まぁ、いつか第五部がコミカライズされるでしょうし、何年か後には見られると期待しています!
それとローゼマインに魔力感知が発現していることがレオノーレには伝わったみたいですが、
正確には講堂の戦いの時には既に発現していたのでしょうね。
フェルディナンドの魔力を察知できなかったのはほぼ同質の魔力だったからでしょう。
今は神々に染め変えられたため、フェルディナンドと魔力の質が違っているので、
感知することができた、ということなのかな?

マイン時代から追い詰められたら早口で次々とアイディアを出してくるローゼマインですが、
それをフェルディナンドはちゃんと把握してたんですね。
そして、そのお陰で解決の糸口が見付かるんだから何が幸いするのかわかりません。
エアヴェルミーン様も髪の毛を切られた甲斐がありましたね!

大規模魔術を前に、記憶を断たれたローゼマインの家族感が貴族よりになっているのを知り、
フェルディナンドはとても悲しいだろうな、とは思ってましたが…
まさか死なば諸共とまで思い詰めているとは思いもよりませんでした。
うーん、中々に愛が重いですね…!

大規模魔術を行っている時のイラストがカラー口絵でありましたが、
まさかローゼマインたちの描写にも挿し絵があるとは思いませんでした。
ガスっと刺されたエアヴェルミーン様の枝が挿し木みたいで、
ここから生えてきそうだな、と思ってしまった…w

エピローグがグレーティア視点だと予告されてて意外に思ってましたが、
名捧げ側仕えだから身近で待機しているため適役だったんですね。
一緒に待っているユストクスの有能さと変態さの両方を感じているのを見て、
親族枠でエスコートを頼む伏線なんだな、と感じました。

それにしてもグレーティアは寡黙で真面目だとは思ってましたが、
予想以上に献身的で驚きました。
そして同時に嬉しかったです。
命を繋ぐため、今の状況から逃げるための仕方なくでの名捧げではなく、
救ってくれたからこそ、忠義を捧げる名捧げであることが伝わりましたから。

そして、彼女が置かれていた境遇もまた予想以上に酷くて驚きました。
女性らしい体付きになったローゼマインへの助言からある程度は察してましたが…
ここまで明文化されてしまったら、ね…
ギーベ・ヴィルトルとその長子は死んで良かったですよ。
そりゃギーベ・ヴィルトルの息子であるラウレンツやベルトラムへの当たりが強いわけですよ。
むしろ強い程度で済んでいるあたり、グレーティアは優しいとまで思います。

グレーティアは最後にローゼマインから教えられた祈りの基本を心から理解したシーンは、
とても印象的で素晴らしいものでした。
良いエピローグだったと思います。

ハンネローレ視点で書かれた継承の儀式ですが、
こちらもWeb版から加筆されている部分があって、そこがまた面白くなっています。
元々身長が低いハンネローレがローゼマインに抜かれて衝撃を受けたことが加筆されてましたね。
ハンネローレ様には申し訳ないけれど笑ってしまいましたw

それと、この時点ではメルヒオールが次期アウブだと認識されておらず、
ヴィルフリートが次期アウブのままだと認識されていないんですね。
それが続編の「ハンネローレの貴族院五年生」に続いていくんだなぁ。

それとジークリンデに睨まれるレスティラウトが挿し絵にありましたが…
本当にレスティラウトは困った次期アウブだな、と思いますねw
加筆された部分に婚約者のアインリーベのセリフがありましたが、
ダンケルフェルガーの女性らしい強さが感じられたので、
ちゃんと尻に敷いて欲しいものだと思います。
実際、レスティラウトってかなりの問題児ですから…

それと平民の漁師視点である「新しいアウブのすげぇ魔術」ですが、
平民はアーレンスバッハでもエーレンフェストでもあまり変わらないな、
というのが分かって少し嬉しかったです。

そしてやはりディートリンデは平民からも嫌われてたんですね。
まぁ、当然と言えば当然ですけど。
前がクズすぎるからこそローゼマインは歓迎されやすいので、
丁度良い踏み台だったんでしょう。
とはいえ、被害に遭っていた平民にとってはたまったもんじゃないですよね。

読者は間違いなくハルトムートだと確信できる声を聞いて、
ローゼマインを称えるように神に祈りを捧げ、
大規模魔術の結果を見て更に崇拝度を高めているのを見ると、
とても微笑ましくなりました。
最後はこの漁師の視点なのは、とてもよく話の構成が練られていると思います。

それとドラマCD9も通販で届いたんですが、
ジルヴェスターは本当にフェルディナンドを弟として可愛がってるのがわかって面白かったです。
そして、ジェルヴァージオを廃したやり方を悪辣だと感じたり、
リヒャルダにローゼマインの状況を尋ねるのは予想通りでした。

さて、次は遂に最終巻なんですが、今冬になるんですね…
三分の二が書き下ろしということなのでWeb版既読の私もメチャクチャ楽しみにしています!
領主会議の初チュー事件も書き下ろされると期待していますよ!
ドラマCD10にも特典SSが付くと思いますし、今から楽しみでなりません。

それと、完全に余談なんですが…
本好きの下剋上が好きすぎて待ちきれなくてSSを書き殴ってたらかなり溜まってしまい、
それをpixivに投稿したらルーキーランキング1位になってしまいました。

今はこの新刊とドラマCDを何度も読み返してますが、
来月になったらまた更新し始めると思うので、
暇が有ったらpixivの方も覗いてみてください。

:: 2022/12/11 日曜日::

■[ラノベ]女神の降臨「本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第五部「女神の化身X」」

フェルディナンド様も無事に救出でき、
ゲオルギーネによるエーレンフェストへの侵攻には防衛成功したローゼマインだったけれど、
中央騎士団長ラオブルートによる本命の計画は未だ進行中であり、
ランツェナーヴェ王ジェルヴァージオはメスティオノーラの英知に王手を掛けており…

書籍版完結までこの31巻を含めて残り3冊!
今回もWeb版からの本編加筆多数に加えて、
ローゼマイン視点以外の短編が大幅に書き下ろされているので、
Web版読者の満足度もメチャクチャ高いと思います!

本編はローゼマイン視点なので、
どうしても緊迫感というのが薄くなってしまうんですけど、
他の人たちからの視点で読むとヒリヒリするくらいに緊張しましたね!
特に最後に書かれていたフェルディナンド様視点からは、
本当にギリギリのところでもぎ取った勝利だったんだな、というのが伝わってきます。

ただ、ローゼマイン本人は今回自覚したようにとても過保護にされているので、
フェルディナンド様は余裕で完封したように見せているのが面白かったです。
ローゼマインも悪辣な策を即座に思いついて実行すると言われてましたが、
やはり師であり本家本元のフェルディナンド様は更に上を行きましたね…!

もちろんフェルディナンド様が学生時代に宝盗りディッターに興じた経験があってこそですが、
その策を実行する下準備をローゼマインが奇想天外な手段で整えていたのが面白かったです。
ジェルヴァージオは魔力量は圧倒的だし、権謀術数にも長けているけれど、
領主候補生の講義を受けたこともなければ、メスティオノーラの英知も欠けてますからね。
フェルディナンド様とローゼマイン様のコンビプレイの勝利と言えましょう。

そしてジェルヴァージオ視点で見ると本当にローゼマインはわけがわかりませんよね…w
未成年の女性なのに戦いの最前線に出てきてるわ、
祝福の重ねがけしても神々の加護で魔力消費量が減ってて平然としてるわ、
殺し合うことを命じられながらフェルディナンド様と共闘してるわ、
未知の手段で女神をその身に降臨させるわ、
神々も知らない呪文で魔法陣を完成させるわ…
フェルディナンド様と違って耐性がなかったのも敗因の一つかもしれません…w

フェルディナンド様も王族に関しては完全に見切りをつけて、
戦局を有利に進めるための駒としてしか使ってないのが容赦ないというか…
まぁ、ローゼマインのことを何よりも大切だと自覚して自らの望みを叶えるためだからこそ、
それ以外には本当に遠慮しなくなったんだろうなぁ…

ジークリンデ視点のエピローグでは一般的な貴族の価値観がわかりましたが、
十年以上ユルゲンシュミットへ尽くしてきたからか、
トラオクヴァールの人望が意外とあったのには驚きました。
実際には次巻でローゼマインが詳らかにしますが、
無自覚に国を崩壊させるレベルの墓穴を掘ってしまい、
そうと知らずに必死に埋め戻そうと奮闘してただけなんですよね。

しかも、ラオブルートを騎士団長にすることで更に墓穴を掘り進め、
唆されて王命でフェルディナンド様を苦境に立たせたわけで…
それを知っているローゼマインやフェルディナンド様がトラオクヴァールを信頼するかというと…
トルークのことを抜きにしてもそんなはずがないんだよなぁ…

アナスタージウスはローゼマインに促されたとはいえ王子として先頭に立って戦ったし、
マグダレーナ様は王妃なのにマジダンケルフェルガーだったりと奮闘しましたが、
どちらもラオブルートに騙されていたことに気付かなかったツケを払って、
何とか帳尻を合わせようと奮闘していたにすぎないのですよね…
警告を発し続けていたエーレンフェストからすると、功績があるとは見なせないと思います。

それにしてもマグダレーナ様は予想以上に大活躍でしたね。
彼女がいなければトラオクヴァールはアッサリとはるか高みに上がっていっていたことでしょう。
トラオクヴァールの一番の功績はマグダレーナ様を第三夫人に迎えたことでしょうね。
逆に第一夫人のラルフリーダに推薦されたからとはいえ、
碌に過去を調査せずにラオブルートを騎士団長に任命した責任はとても重いですが…

他の王族だと…
ジギスヴァルト王子の見せ場はある意味で次巻ですねw
ヒルデブラント王子は本当に可哀想だとは思いますが、
自分の望みを他者にわかるように見せてしまった脇の甘さが原因でしょうね…
責任はあるけれど、父であるトラオクヴァールの責任の方が大きそうな気がします。

そしてエグランティーヌ様ですが…
幼い娘が居るとはいえ、王族でありながら最前線に立とうとせず、
アナスタージウス王子に守られるだけ、というのがとても甘えているように思えました。
ダンケルフェルガーのハンネローレ様のように最前線で戦えとは言いませんが、
せめてシャルロッテのように後方支援で活躍するくらいはして欲しいですね。
二人と違って成人しているのですし、そもそも王族なのですから。

エグランティーヌ様には幼い頃のトラウマが重くのし掛かってるのでしょうが、
何度も襲撃を受けてきたローゼマインや、
一度攫われ、姉が2年も眠る悲劇を経験したシャルロッテにもトラウマがあるのですから、
甘やかされて乗り越えずに、守られるだけというのは駄目でしょう。

ちなみに特典SSのコルネリウス視点ですが、
レオノーレがとても優秀であることと、
そんなレオノーレのことがとても大好きであることが伝わってきましたw
大変な妹を持ってしまい大変でしょうけど、頑張れコルネリウス兄様…!

:: 2022/12/10 土曜日::

■[漫画]夢の中へ…「本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第二部 「本のためなら巫女になる!」」8巻

騎士団のトロンベ討伐に同行したマインは、
護衛するはずの騎士シキコーザから悪意を向けられてしまうも、
駆けつけた神官長の活躍で何とか窮地を脱することに成功する。
そして青色巫女見習いとして儀式を行い、圧倒的な魔力量を見せつけたマインだけど、
そのせいで神官長をはじめ貴族たちに注目されてしまい…

今回のメインは表紙になっている通り、神官長との記憶同調ですね。
記憶を覗くことが出来る魔術具とか、とってもファンタジーですけど、
この世界では重犯罪者に使われるような物騒な魔術具なんですよね。
それだけマインの魔力量が危険視されてたってことなんですけど、
マイン視点ではそういったことが全然伝わってこないんですよね…w

それはマインの暢気さのお陰もあるんだけど、
一番はやっぱりマインの前世での母親との逢瀬が印象深すぎたことですよね…

例え記憶の中だけとはいえ、
朧気だった母親の記憶を五感を伴って鮮明に思い出すシーンを読んでると、
自然と涙が溢れてくるんですよ。
この作品の根幹である家族愛というテーマが私の心に響きまくるのです…

そんなマインのことに翻弄される神官長だけど、
何だかんだ面倒見が良いというか、マインのことを気に入ってるのが微笑ましいです。
また、カルステッドには気を許しているのが感じられるのも良いですよね。

こんなツンデレ仕草を見せるとかね…!
可愛いな、神官長…!

ちなみにマインの前世の記憶は原作から削られたシーンが多かったですが、
単行本描き下ろしではちゃんと補完されてて嬉しかったです。
カバー下漫画で神官長が衝撃を受けまくってたのは漫画オリジナルですが、
それだけ印象深かったんだな、と妙に納得しましたねw
神官長はハレンチ耐性が低めなのかもしれない…w

:: 2022/11/18 金曜日::

■[漫画]図書館通い開始!「本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第四部「貴族院の図書館を救いたい!」」5巻

図書館を目指して座学だけでなく、実技も最速合格を目指すローゼマインは、
規格外な実力を見せつけるのを厭わずに邁進するんだけど、
図書館への想いが強すぎて色々と抜けてしまっていて、
周りの人間に色々と迷惑も掛けてしまうのだった…!

というわけで、ローゼマインは最速最優秀で合格してしまう訳なんですが…
それでも実技は一度は授業を受けなければならないので、
その時の風景が描かれており、とても興味深かったですね。
特にシュタープを使う授業でオルドナンツを使う姿は幻想的でした。

ローゼマインの可愛らしさと、
オルドナンツのファンタジーさが融合して、とても素敵だと思うのです。
よく考えたらローゼマインは魔法少女なんですよね…
あまりそんな風には思えないんですけども。

それと騎獣作成の講義では貴族院の全景が描かれてましたが、
これがまた凄く美麗で素晴らしかったです。
Twitterでアシスタントさんがアナログで描かれたというのを見掛けましたが、
素晴らしいの一言でしたね…
ふぁんぶっく7には貴族院全体の地図が載ってましたが、
このコミカライズでは情景が見渡せることが出来たため、神秘性が感じられました。

そして後半からはエーレンフェスト内での話し合いと図書館通いの始まりが描かれてましたが、
ローデリヒ視点の短編を上手く組み込んでいて興味深かったですね。
旧ヴェローニカ派の狭すぎる視野と、
ヴィルフリートの小さすぎる器が垣間見られてちょっとゲンナリしましたが…

ヴィルフリートは作品内でも嫌われてるキャラトップ3に入ってると思われますが、
そのヘイトが更に溜まった感じがしましたね…

まだこの時期は可愛げがあると思ってたんですが、
書き下ろしSSを読んだら更にゲンナリしました…
側近に褒められるように頑張ろうとか、ダメな成功体験しちゃってますよ…

優秀すぎる主を支えるために限界以上の努力をするローゼマインの側近と、
側近の都合に合わせて動く怠惰なヴィルフリートでは差が付いてくるのは当然ですね…
ヴィルフリートは側近に恵まれなかったのが不幸の始まりだけど、
そんな側近しか集まらなかったのは祖母のヴェローニカのせいだし、
ローゼマインに何度もチャンスを貰いながら掴まなかったのはヴィルフリートのせいなんだよなぁ…
そのせいで将来的にハンネローレ様に迷惑を掛けまくるのは許しがたい…!

それはそうと次巻はおそらくお茶会がメインですね。
優雅で微笑ましい展開が続くと思うので楽しみです。

:: 2022/8/14 日曜日::

■[ラノベ]エーレンフェストでの戦い「本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第五部「女神の化身IX」」

アーレンスバッハで毒に倒れたフェルディナンド様を救出できたローゼマイン。
しかし、本物のディッターはエーレンフェストの礎を守るまで終わらないということで、
ダンケルフェルガーとアーレンスバッハの騎士を率い、
激戦区となっているゲルラッハへと援軍に駆けつけるが、そこには仇敵グラオザムが暗躍しており…

今回も書き下ろし短編が増量しての新刊となっています。
ローゼマイン視点以外でのエーレンフェスト攻防戦が語られているのですが、
これがまた面白いのです!
ローゼマインに語った一面だけでは気付けなかった裏側を知ることができて興味深かったですね。

ユーディットが感じた普通の貴族たちによる当たり前のような連座の感覚や、
シャルロッテ視点でのヴィルフリートの悪い意味での空気の読めてなさ、
そして、フロレンツィア視点でのヴェローニカとの対面とかは、
ローゼマインが決して知ることがない部分だろうな、と思いました。

ジルヴェスターとゲオルギーネの会話に関しては、
本当に二人は噛み合わないなぁ、と思いましたね…
前巻でゲオルギーネ視点での過去を読んでいたからこそわかったんだけど、
彼女は彼女なりに苦悩していたんですよね…
領主になるための努力をしていたのに、両親の方針で無理矢理剥奪されたのに、
ジルヴェスター本人はゲオルギーネが領主になれば良い、と言い放ったわけで…
そりゃ、怒りを買うに決まってますよね…

当時のジルヴェスターは両親の暗躍を知らなかったんだろうけど、
領主になって数年経っている今は気付いておくべきだったとは思います。
リヒャルダとか事情を知っている側近がいるわけなんですから。
こういった、無神経なことを言って相手を激怒させるところは、
ヴィルフリートと本当にそっくりだな、と思わざるを得ませんね…

肝心のローゼマインですが、
争いが苦手なのに激戦区を走り抜けた上に戦いに身を投じるとか、
そりゃPTSDになっても仕方ないですよね。
ただ、貴族として取り繕うのが上手くなったがために周りが気付けない、
というのも何とももどかしいものがありました。

そして一番面白かったのはやはり仮縫いの場面ですね!
暴走するダンケルフェルガーに翻弄されるのはエーレンフェストの常とはいえ、
ハンネローレ様に暴露されたせいでトゥーリやコリンナに色々知られてしまったのには笑っちゃいましたw

あと、外面を取っ払って本音トークをした時のノリとかもとても好きです。

「わたくしはアウブでもツェントでもどちらでも良いのです。わたくしの計画が図書館都市になるのか、図書館国家になるのかという些細な違いしかありませんから……」
「全く些細ではありません」

特にこの流れがメッチャ好きで…w
何度も読み返してしまいましたね!

ただ、そんな和やかな場面だけが続くわけではなく、
ラオブルートの暗躍がまだ続いているので戦いはもうしばらく続くんですよね。
エピローグでラオブルートの事情もわかりましたけれど…
政変の原因もそうだけど、後始末まで含めて全ての原因は王族の失態ですよね…
王族への恨みがあるラオブルートの事情を把握せず、
中央騎士団の団長を任せるとか、トラオクヴァールは本当に人を見る目がないな、と思いました。

ちなみに今回は特定の書店で販売されている紙書籍版特典が読みたくて、
アニメイトで買ったんですが、その特典SSが面白かったです!
トゥーリはやっぱりマインの姉であり、わかってるなぁ、と感心して大笑いしましたw
うーん、マイン…! お姉ちゃんにはバレバレだったよ!
ドンマイ!

:: 2022/5/15 日曜日::

■[漫画]目指せ、図書委員!「本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第四部「貴族院の図書館を救いたい!」」4巻

念願叶い国内第二位の所蔵数を誇る貴族院図書館に来ることが出来たローゼマイン。
シュバルツとヴァイスというシュミルを模した魔道具を祝福で起動させたりと、
初っ端から規格外っぷりを見せつけてくれるけれど、
ローゼマイン本人は図書館の現状を見て、決意を新たにするのであった…!

原作第四部のサブタイトルにあるように、
ローゼマインにとって図書委員というのは重要な役割ですからね。
ただ、この決意は現時点で周囲には全く理解されてないと思うのですよ。
だからこそ面白いのですが。

それに決意しても貴族院の授業というものがありますから、
全てのリソースを図書館につぎ込めるわけではないのです。
今回はシュタープという貴族を貴族たらしめるモノを手に入れるため、
ローゼマインたち一年生は頑張るんだけど、
ただ歩くだけのことが大変なローゼマインは本当に見ててしんどそうでしたね…
原作を読んでる時以上にその大変さが伝わってきてハラハラしました。

それにしても書き下ろし短編で改めて気付きましたが、
この当時のハルトムートは自分が望むようにローゼマインを誘導しようとしてますね。
まだローゼマインという人物を把握しきれてない、信心が足りてない状態ですね。
貴族らしい傲岸不遜さが出ていると思います。
そんなハルトムートの思惑を完全に無視したローゼマインの傲慢さがとても清々しかったですw

こんなに良い顔をしているのに、
言っているのは私利私欲のために公私混同したい、というのが…w
これでこそローゼマインだとは思います。

また、ローゼマイン以外のキャラの心情を読み取れるのもコミカライズの良い所です。
やる気を見せるトラウゴットが現時点ではまだ微笑ましかったり、
シュミル好きなリーゼレータの可愛さがとても光っていたり、
ヴェローニカ似のディートリンデに褒められて懐かしさを感じるヴィルフリートだったり、
色々と興味深かったです。

ちなみに4巻でMost 可愛いローゼマイン賞はこのコマでした。

本を読みながら寝オチしているローゼマインはとても可愛いと思いましたw

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