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:: 2015/10/6 火曜日::

■[漫画]家族「3月のライオン」11巻

3月のライオン 11 (ジェッツコミックス)
著者/訳者:羽海野チカ
出版社:白泉社( 2015-09-25 )
作者サイト:羽海野チカ________umino*chika
作者twitter:羽海野チカ(@CHICAUMINO)さん | Twitter

Kindle版:3月のライオン (1)
Kindle版:3月のライオン (2)

Kindle版:3月のライオン (9)
Kindle版:3月のライオン (10)

TVアニメ化と実写映画化が決定しましたが、
この面白さなら当然と言えましょう。
むしろこの漫画の面白さを基準に考えると、
どちらも大変だと思うのでスタッフのことを心配をしてしまいますね。

この11巻は川本姉妹たちの実の父親との決別が描かれてます。
父として、人としてクズな父親の誠二郎とのやりとりという、
非常にストレスフルな展開はありますが、
それ以上に零ちゃんの格好良さや川本家の優しさに癒やされ、
雷堂棋竜の対戦の面白さには笑わされます。(笑

零ちゃんは同年代の友達というのが少なくて、
子供時代から他人から敬遠されていたのでコミュ障な印象がありましたが、
ぼっちではあってもコミュ障ってほどではないんですね。
むしろ老獪で厄介な大人たちと濃厚すぎるコミュニケーションをしていた経験から、
誠二郎のようなクズを相手にも粘り強くしつこく対応できるあたり、
棋士としてのキャリアの厚みを感じさせてくれて頼りがいがありましたよ。

また、1巻の頃の零ちゃんなら派手にキレていたかも知れませんが、
二階堂の激励とも取れる助言を受け入れて成長した今の零ちゃんなら流せて当然ですよね。
こういったところにも零ちゃんの成長を見ることが出来て嬉しいです。
でも、暴走してあかりさんの結婚相手を探そうとするあたり、
成長していない部分も見られて妙に微笑ましく思ったりもしました。(笑

本当に相変わらず面白い漫画です。
面白すぎるから読むのにも感想を書くのにもかなりエネルギーを必要としますが、
それだけのエネルギーに見合うどころかそれ以上の感動をくれる作品です。
今後の展開も楽しみですが、羽海野チカさんは充分体調に気をつけて欲しいです。

:: 2014/11/28 金曜日::

■[漫画]桐山零、男の前進「3月のライオン」10巻 [BUMP OF CHICKEN]CD付特装版

面白すぎて感動する。

私は幼少の頃にドラえもんを読んで以来、30年近く漫画を読んできましたが、
子供の頃に比べて漫画を読んでいて「面白すぎて感動する」体験は減ってきました。
それは単に経験値が溜まって新鮮な驚きが少なくなってきただけなんですが、
「3月のライオン」はそんな経験をあっさりと打ち砕いて感動させてくれます。

この10巻はひなちゃんが進学して幸せそうな高校生活を送り、
零も自分の気持ちに一区切りがついてさっぱりとし、
プロ生活の厳しさはあれど穏やかな日常を送っていけると思った矢先に、
まさかのひなちゃんたちの父親の登場に驚かされましたが
それ以上に零が打った手段に驚かされて笑わされて感動しました。(笑

あかりさんやひなちゃんと似た優しい顔をしながら、
発言から滲み出るクズな品格が不快でたまらない父親に対して、
他人だろうと構わず真っ向から向かう零ちゃんが頼り甲斐がありすぎて格好いい…!
その頼り甲斐も傷付きながら出来ることをいっこいっここなして成長してきたからだし、
友人と恩師の力を借りて父親と対峙する所も人間的な成長を感じさせられました。
でも、それ以上にアレですよアレ!
もうね、何というか色々と吹っ飛びましたよ! 説得って!(笑
本当に面白すぎて感動した!

これはもう、何も知らない状態で読んで貰って感動して欲しい。
微塵たりともネタバレはしたくない。
この面白さをネタバレすることによって感動を損なうだなんて、
漫画好きにとってこれ以上の冒涜はない。

もちろん、川本家の家族の事情以外にも見所はあります。
零が育った幸田家に訪れ、幸田さんの奥さんと静かに対面するシーン。
そこで奥さんが回想した零と同い年の歩くんの台詞。

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7巻で零と二海堂は無駄になるかもしれない努力を躊躇いなく出来る人だと思いましたが、
恐らく幸田プロも同種の人間でしょう。
そういった境地に居る人間にとって、歩くんの台詞は鼻で笑わざるをえないのでしょう。
そもそもこの歩くんの言葉だって借り物の薄っぺらいものだと感じてしまったでしょうし。
努力とはやって当たり前のことであり、
それを苦痛だと感じてしまった時点で詰んでいるのかもしれない。

また、ベテランの入江プロの視点で描かれる零との対局はこれまた考えさせられるものでした。
かつて宗谷名人に負けた時を思い出して「次元が違う」と思ったけど、
「痛くも無かったなんて思えなかった」所に人間性を感じました。
才能の多寡はあれど、入江プロも将棋に人生を賭けた一人の棋士なんだな、と。
才能の有無で諦められるほどに将棋が軽くないんだなぁ、と。

本当にどの話も面白く素晴らしかったです。
また、今回の特装版はBUMP OF CHICKENのCDが付属しているんですけど、
これもまた良い曲でした。

「3月のライオン」のために作曲されたというのも判る歌詞で、
零のことを歌っているんだなぁ、と。
発売前は異色のコラボすぎて少々戸惑っていましたが、
曲を聴いたら疑問が解消されました。
漫画も曲も本当に感動できて素晴らしかったです。

:: 2013/9/29 日曜日::

■[漫画]将棋と家族と「3月のライオン」9巻

3月のライオン 9 (ジェッツコミックス)
著者/訳者:羽海野チカ
出版社:白泉社( 2013-09-27 )
コミック ( ページ )
作者サイト:羽海野チカ________umino*chika
作者twitter:羽海野チカ (CHICAUMINO) on Twitter

今の時代の漫画好きは幸運だ。
何故なら「3月のライオン」をリアルタイムで読めるのだから。
今の時代の漫画家は不運だ。
何故なら羽海野チカという怪物が現役で存在するのだから。

8巻のいぶし銀な表紙とは打って変わって可愛らしさ溢れる表紙の9巻ですが、
表紙になっているように前半のメインはひなちゃんです。
いじめ問題も一段落して進学先のことを考えるようになったひなちゃんに、
零が手を差し伸べてくれるんだけど、そこにまたほっこりするんですよね。

あかりが言う通り、零にとってひなちゃんの存在はもう家族なんでしょうね。
他人ではなく、泣いたり困ったりして欲しくない、守るべき家族。
よく「男は結婚して守るべき家族が出来ると強くなる」と言いますけど、
零は結婚しなくとも守るべき家族が出来て、より一層の強さを身に付けたんだと思います。
だからこそ、恋に戻すのが難しいというのは確かにもどかしいですね。
それにしても恋を”もろい”と表現するのには、なるほど、と膝を打つ納得感でした。

将棋の方ですが、滑川七段の存在感がハンパなかったですね。(笑
コラムを書いている先崎学さんも抱腹絶倒のインパクトがありながら、
きっちりと将棋のプロとして描ききっているのは流石というか何というか。

そしてもう一人新登場した土橋九段ですが、これがまた凄い人でした。
確かに地味だけど、島田八段をも凌ぐ努力の人っぷりには唖然とするほど。
また、その努力を支える家族の存在にもきちんとスポットが当たっているのが良かったですね。
ひなちゃんと零の件といい、今回は”家族”がテーマの一つだったのかもしれません。

余談ですが、この作品の好きな要素の一つにモモちゃんの子供らしい可愛さがあるんですが、
今回のお気に入りポイントは流しそうめんを見て「モモ つるつる大スキ!!」と言った所です。
”そうめん=つるつる”と、食べ物を擬音等で表現するのはとても子供らしいと思うんですよ!
うちの姪がイクラが好きで「ぼーる食べたい、ぼーる!」と言ってるだけに、
子供らしさのリアルが伝わってくるかのようでした。
素晴らしいなぁ。

心配なのが羽海野チカさんが入院と手術するということ。
確かに毎号読めないことには落胆してしまいますが、
それ以上に身体を壊しやすい職業なだけに、十二分に労って欲しい気持ちで一杯です。
是非ともご静養して、また面白い「3月のライオン」を描いて欲しいものです。

:: 2012/12/14 金曜日::

■[漫画]真っ白な対決といぶし銀な対決「3月のライオン」8巻 手帳付限定版

3月のライオン 8 手帳付限定版 (ジェッツコミックス)
著者/訳者:羽海野 チカ
出版社:白泉社( 2012-12-14 )
コミック ( 306 ページ )
作者サイト:羽海野チカ________umino*chika
作者twitter:羽海野チカ (CHICAUMINO) on Twitter

華やかで愛らしい表紙だった7巻からは一転、
闇の奥に潜む虚無感が感じられるいぶし銀な表紙の8巻です。
実際、内容としてはご老体とご病体が大熱戦を繰り広げており、
熱く、渋く、何よりも色々な重さが伝わってくる大迫力な面白さが詰まっていました。

しかし先ずは宗谷名人と零の記念対局。
零はまっ白で心地良い二人だけの空間にいるかのような錯覚に陥りながら、
ただひたすらに自分に出来る最善を打ちながら無言の内に宗谷名人と語らうという、
一種独特であり、天才同士だからこその空気がひどく清涼で鮮烈で…
むしろ清涼すぎて驚くくらいの内容でしたね。

そしてそれと対極にいるような対局を見せてくれたのが島田八段と柳原棋匠。
努力を積み重ねてきた島田八段と、迎え撃つはかつての戦友たちから預けられたたすきを背負い、
還暦をすぎても第一線に踏み留まる柳原棋匠のがっぷり四つの大熱戦は凄いの一言!
いぶし銀という一言だけで表すのが勿体無い、粘性が感じさせる熱さに興奮させられましたよ。
こういった熱い展開も魅せてくれるから3月のライオンは面白いんだよなぁ。

そういった将棋の日常だけではなく、川本家の日常もまた別の魅力があるんですよね。
三日月堂が商店街のお祭りに参加することで活気づく姉妹と、
それを当たり前のように手伝う零という関係が良かったです。
祭りの風景を見ながら店番をする零とひなたの二人を見てると、
将来のこの二人の姿を幻視するかのようでした。

ちなみに限定版には手帳が付きますが、これは本当に手帳です。
カレンダーの部分とフリーノートのページがちゃんと付いており、
普通に手帳として使えると思います。

3月のライオン8巻限定版手帳

まぁ、私は勿体無いので使わずに取っておくと思いますが…(笑

:: 2012/3/26 月曜日::

■[漫画]忘れないでおこう このうれしかった日を「3月のライオン」7巻

3月のライオン 7 (ジェッツコミックス)
著者/訳者:羽海野 チカ
出版社:白泉社( 2012-03-23 )
コミック ( 184 ページ )
作者サイト:羽海野チカ________umino*chika
作者twitter:羽海野チカ (CHICAUMINO) on Twitter

信じて「他のどのライバルよりも1時間長く毎日努力を続ければある程度迄の夢は、かなりの確率で」叶う

零が新人王決勝で降した山崎順慶の言葉なんだけど、凄く真理を突いてますよね。
そして零と二海堂は無駄になるかもしれない努力を躊躇いなく続けることが出来る人間で、
自分は躊躇ってしまったという悔悟の念が伝わってくるようです。

そして二海堂の言葉を思い出して踏み留まり、新人王を取った零が京都でひなちゃんを見付けることで、
ひなちゃんの笑顔が戻り、「ありがとう」と「おめでとう」という言葉も貰って、
本当に嬉しさがこみ上げているシーンにはこちらまでもらい泣きしそうでした。
キッカケはひなちゃんのいじめ問題というネガティブなことだったけど、
零は今回のことで間違いなく成長できたよなぁ、と感じました。

そしてひなちゃんのいじめ問題もやっと解決。
最後に結果を残したのは倒れた担任教師の代わりに来た学年主任の先生かもしれないけど、
そこに到るまでにひなちゃんの心が折れなかったのは支えてくれた家族が居たからだし、
何より話を聞いてくれて、あてのない京都で見つけ出してくれた零のお陰なのは間違いないんですよね。
零本人は鈍感で生真面目だからそこに気がつけてないけど、
ひなちゃん本人がしっかり判っているのでそこはあんまり心配してなかったりします。

しかし零とひなちゃんは初めは兄妹くらいな距離感だったけど、
どんどん二人の間が狭まってきてて良い感じですよね。
まぁ、零と恋愛ってのは中々結びつかない要素同士だとは思いますが、
二人の仲がうまくいったらなぁ、と思います。

そして次回は記念対局で現役最強の宗谷名人との対局です。
これは現在発売中のヤングアニマルに載っているので我慢出来なかったらこれを機に雑誌派に切り替えれば良いかと。
というかぶっちゃけ、我慢できないですよね!
もういっつも続きが読みたくてたまらないんですよ!
そして何度も読み返したくなるから困るんだよなぁ。
甘味処の後にひなちゃんたちの話じゃないけど、
最新話→1から読み直し→最新話とどんどん読んじゃうんですよ。
そしてその度に涙腺刺激されちゃうんですよ…
ホント名作過ぎて困るなぁ…

:: 2011/7/26 火曜日::

■[漫画]届け! 二階堂の心!「3月のライオン」6巻

3月のライオン 6 (ジェッツコミックス)
著者/訳者:羽海野チカ
出版社:白泉社( 2011-07-22 )
コミック ( 184 ページ )
作者サイト:羽海野チカ________umino*chika
作者twitter:羽海野チカ (CHICAUMINO) on Twitter

ひなたちゃんが幼馴染みをいじめから庇ったことに端を発する、
学校のいじめ問題に悩むひなたちゃんが物語の主軸になってきた「3月のライオン」
テーマ的に雰囲気が陰鬱になりそうですが、そこは羽海野チカさんだけあって、
キャラクターたちを掘り下げ、物語も今までより一層重厚なものへと仕上げてきています。

特に、今まで停滞し、少しずつ進んでいた零は目標を持ったことで情熱的になって邁進しており、
少々空回りしているところもあるんだけど、それもまた若さで魅力的です。
今までは零を助けようという周囲の人が多かったのが今回は助ける側に周ることになって、
ひなちゃんによるトラウマ克服もあって、人間として一皮剥けようとしているように思えます。
また、いじめ問題を一緒に取り組んでくれる恩師林田は零にとって大きな存在になってきていて、
林田に出会っただけでも零が高校に進学した甲斐はあったんじゃないかと思えますね。

そして自称心友の二階堂が表紙になっているように熱い!
兄弟子の島田から語られるその幼少期からの気風と棋風には感化されますし、
零に対する数々の助言を投げかけ、常に精一杯を努力する姿には理想の友のソレがあり、少々憧れたりも。
二階堂の熱い助言が遂に零に届き、零が成長して新人王をとった時はちょっと感動しましたよ。
二階堂は自称じゃなく、本当に心友だと思います。

そしてひなたちゃんの周りも家族、零、侠気溢れる高橋くんと助けてくれる人たちは確実に居て、
担任教師が頼りなくて困った人でも、口惜しくて泣いてしまっても、
理不尽ないじめに怒りを燃やし、歯を食いしばって頑張る姿には応援せざるをえません。
不器用ながら支えになろうと頑張る零を助けに何とか乗り切って欲しいです。
頑張れ、ひなたちゃん…!

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