■[漫画]むかしむかし、あるところに…「GUNSLINGER GIRL」9巻
GUNSLINGER GIRL 9 (9) (電撃コミックス)
著者/訳者:相田 裕
出版社:メディアワークス( 2007-11-27 )
定価:¥ 578
コミック
ISBN-10 : 4840241082
ISBN-13 : 9784840241083
1期生、アンジェリカの最期。
以前からずっと伏線が張り続けられており判っていたことだけど、やりきれない思いはあります。「義体の死」はエルザという前例がありますが、アンジェの場合はその生い立ちからずっと追ってきた為思い入れがあり、ショックは大きいです。ショックとは言え、単純に悲しいとか切ないとかそういった言葉では表すことができないのが「GUNSLINGER GIRL」という作品の独自性が持つ特徴かと思います。
健忘症気味になり、義体になる前の記憶も思い出してきて自覚のない最期へのステップを確実に踏み出していたアンジェが任務中に遭遇する大規模テロ。マルコーを身を挺して守った代償は薬物投与での脳への障害。目を覚ますことがないと思われたアンジェがマルコーが傍に来るだけで目覚めたのは凄いことだと思うけど、「条件付け」のことを思うと素直に感動できないものがあります。こういった複雑な感情を抱いてしまうのがこの作品の特異性なんですよね。
マルコーや周りの大人たちはその行動は欺瞞や偽善にまみれたものであろうとも、アンジェのために奔走するのは少しは救われるものがあります。その分他の1期生たちが全然悲しみという感情とは無縁なのが辛く思えてしまいますが。そんな中、ペトラとアレッサンドロの二人は前向きで健康的な印象を受けます。やはり2期生のフラテッロは1期生とは一線を画した存在なんだな、とも感じます。
結局アンジェは義体になるまでの経緯からして不幸な少女でしたけど、最期は偽善とはいえ彼女のことを思う大人たちに看取られて幸せだったのかな、とも思います。むしろそう思わないとやりきれないとも言えますでしょうか。美少女が多く出てくる作品だけど萌え漫画では決してない。特異的ではあるけど面白い作品。それが象徴的に示され、一区切りが付いた9巻でした。
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