■[ラノベ]大空のラストサムライ「とある飛空士への夜想曲」下
とある飛空士への夜想曲 下 (ガガガ文庫)
著者/訳者:犬村 小六
出版社:小学館( 2011-09-17 )
文庫 ( 376 ページ )
作者twitter:犬村小六 (inumura569)はTwitterを使っています
絵師サイト:ALL GREEN
現在劇場上映中の「とある飛空士への追憶」のスピンオフ的な「とある飛空士への夜想曲」
その下巻にして完結巻ですが、相変わらず凄かったです。
ライトノベルとは思えない骨太で男気が溢れすぎる内容で、
表紙からして萌えとは隔絶した雰囲気を醸し出しています。
とはいえ、「恋と空戦」が「とある飛空士」シリーズのテーマですので、
千々石とユキの二人の恋物語も綴られていますが…
うん…、相変わらず切ない終わり方でしたね…
どこか「イリヤの空 UFOの夏」を思い出す読後感でした。
上巻の頃から伏線が張られてますし、「追憶」「恋歌」にも伏線があるので、
大雑把な先の展開は読めるんですが、詳細が判らなくてもどかしいんですよね。
面白いから早く次のページを読みたいんだけど、
「もしかしたらあいつが死ぬかも…」「上官が判断ミスするかも…」
と予想が先にたってしまい、ページをめくるのが怖くなるんですよ。
でもやっぱり気になって先を読んでしまうんですよね。
特に千々石がユキと最期に会うシーンは胸がしめつけられるようでした。
負けん気が強くて酒癖悪くても、ユキが一途で健気で愛おしく、
そんなユキのことを戦争で焦燥感が募れば募るほど思い出す千々石もまた切なくて…
二人とも夢を叶えたはずなのに幸せになれない”戦争”という無常さが悲しかったです。
そんな悲しくて愚かしい戦争の中で、戦友と共に大空を駆け、
宿敵との一騎打ちの果てに多大なる戦果をもたらしたサムライの英雄。
不器用だったけど、誇り高く、何よりも幼馴染の少女を大事に想っていた、
そんな最後のサムライの生き様が熱い一冊でした。
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