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:: 2014/8/5 火曜日::

■[ラノベ]そして伝説のその後「勇者、或いは化け物と呼ばれた少女」上、下

勇者、或いは化け物と呼ばれた少女(上)
著者/訳者:七沢またり
出版社:KADOKAWA/エンターブレイン( 2014-07-31 )
作者サイト:七沢またり
絵師pixiv:「おぐち」のプロフィール [pixiv]
絵師twitter:おぐち (OGch)さんはTwitterを使っています

勇者、或いは化け物と呼ばれた少女(下)
著者/訳者:七沢またり
出版社:KADOKAWA/エンターブレイン( 2014-07-31 )
作者サイト:七沢またり
絵師pixiv:「おぐち」のプロフィール [pixiv]
絵師twitter:おぐち (OGch)さんはTwitterを使っています

にんぽっぽファンにとっては有名ですが、この作品は元々ドラクエ3の二次創作として書かれたものです。
しかし、小説家になろうが二次創作小説を禁止したために消滅したんですが、
その後、同じ世界観を根底にした「死神を食べた少女」が人気を博して書籍化された後、
新規オリジナルとして再構成されたものがこの「勇者、或いは化け物と呼ばれた少女」になります。

再構成されたとはいえ、基本的な所は変わってません。
ルビス→女神、カンダタ→ボーガンと設定と名前が変わったキャラも居ますし、
主人公の勇者も、元々心優しい少女だったのが強制的に生き返る身体になり心が壊れた描写がなくなり、
「ベホマ」「ザオラル」「ミナデイン」といった判りやすい呪文の名前も無くなっていますが、
それでもこの作品の面白さは何も変わっていません。

魔王を倒した勇者が、勇者を見捨てた元仲間の3人の暗躍もあり、
その実力の異常さから人々に忌避されるという展開は、
吉崎観音の「ドラゴンクエストモンスターズ+」のロランに近いです。
3人の元仲間の情報操作で3人が本当の勇者だという伝説となり500年、
封じられていた勇者が目覚めて迷宮都市に姿を現してからこの物語が始まります。

天然バカの猪娘の狂戦士マタリ、ピンク色の死霊術師エーデル、丸眼鏡の学者ルルリレ。
いつの間にか3人の仲間に囲まれ、少しずつやわらなくなっていく勇者だけど、
魔物を殺すということにだけは妥協を許さず、勇者という矜持は決して捨てず、
外道に堕ちた人間も魔物として断罪していく姿は歪ですが美しもあります。

それにしても七沢またりさんが書かれる物語は陰惨な部分が多々あるけど面白いんですよね。
元々純真だったけど悲劇に見舞われて外道に堕ちた人間や、
外道に堕ちた人間の子孫だけどまともな人間や、
魔物なんだけど最期まで人間より純真だった魔物と、
中々に心を抉ってくるものがあります。
特に何度も勇者に救われながら、肝心な所は勉強せずに最後には外道に堕ちたエクセルとか、
本当に救われないから胸くそ悪くなること請け合いですね!
でも面白いんだ!

書籍化に伴い、時系列的に後になる「死神を食べた少女」との伏線も強化され、
ルルリレも死ぬ運命から脱却して勇者の仲間になるという大出世を果たしてます。
挿し絵もありますし、Web版を読んでいる人にもお勧めですね。
まぁ、上下巻合わせて1000ページ近くあるのでかなり時間は掛かると思いますけど、
夏休みがあるから問題ないよね!(笑

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