■[ラノベ]ロマンチストな草食系男子の恋「ヘタレな僕はNOと言えない 公僕と暴君」
ヘタレな僕はNOと言えない 公僕と暴君
出版社:幻冬舎
作者名:筏田かつら
作者twitter:筏田かつら (@ysk1120e) | Twitter
絵師名:ma2
絵師twitter:ma2 (@ma2_siva) | Twitter
Kindle版:ヘタレな僕はNOと言えない 公僕と暴君
DMM電子書籍:ヘタレな僕はNOと言えない 公僕と暴君
「君に恋をするなんて、ありえないはずだった」の筏田かつらさんの新作です。
今回の主人公は学生ではなく社会人男性ですが、
他の作品と同様に胸を締め付けてくるようなドキドキ感が半端なくて、
とても面白い作品になっています。
イケメンだけど幼少期のトラウマから女性が苦手で年齢=彼女いない歴の桜田浩己。
生真面目で誠実かつ積極性のない性格から適性のある地方公務員となったけれど、
勤続4年目に配属された部署では前任者の適当な引き継ぎのせいで色々大変な目に遭うことに…
特に大変なのは凄腕の女家具職人の高山彬に仕事を受けてもらうために、
掃除や家事に猫の出産から子猫の世話まで引き受けることになって…
元々筏田かつらさんの作品は主人公に感情移入しやすい作風ですが、
この作品では格別なまでに感情移入してしまいました。
浩己の草食系男子らしい繊細な心の描写がすこぶる上手いんですよ。
例えば
「もっと自信を持て」って、無茶を言うな。二十五年間誰にも愛し愛されもしなかった実力を舐めないでほしい。
経験が少ない→自信がない→あれこれ考えて二の足を踏む→チャンスを逃す→経験が足りなくなる→自信がますますなくなる……これの無限ループだ。自分だってもっとスマートに振る舞えればどんなにいいかって想ってきたし、実際そのとおりだ。
とか、私の心に流れるように入ってきて染み渡りました。
あぁ、浩己は本当に恋人がいたことなかったんだな、と。
読んでてもの凄く納得したし共感できました。
そういったセンシティブな心の機微を描き出すのが上手いだけに、
浩己が彬に恋に落ちた時はとても心がトキメいたなぁ。
かつて自分が恋した時の気持ちを思い出せるくらいに、
浩己の気持ちに共感し、理解することができました。
それだけに彬が居なくなった時の喪失感が半端なかったです。
彬のことが忘れられず、他の女性と付き合うこともせず、
健気に彬との縁を大切にして、誠実に過ごしているのは、
傍目には馬鹿だと映るかもしれませんが、
とても浩己らしくて好感が持てました。
何しろ浩己は初恋の人に再会したいから勤務先を選んだくらいのロマンチストですからね。
そう簡単に切り替えられるはずがないんですよ。
だからこそ、最後の1行を読むまでハラハラしっぱなしでした。
今までの筏田かつらさんの作品が好きなら読むべき作品です。
注意点があるとすれば、
読んでて心が揺さぶられっぱなしになるので、
心が落ち着いている時に読むべし、というくらいですね。
それくらい面白いです。
オススメです。
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