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:: 2024/8/7 水曜日::

■[漫画]第二シーズン、コミカライズ開始!「ビブリア古書堂の事件手帖 扉子と虚ろな夢」1巻

根強い人気を誇る「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズですが、
贔屓目に見てもメディアミックスに恵まれているとは言えませんでした。
ただ、第二期とも言える扉子がメインとなるシリーズのコミカライズである本作は、
かなり成功している部類だと言えるクオリティになっていると太鼓判を押せる面白さです。

こちらのコミカライズは扉子シリーズの原作3巻から開始という思い切った始まり方ですが、
原作既読の私からしても、これは英断だと思います。
扉子が女子高生となり、本格的に事件に関わるようになったのはここからですしね。

扉子は母親の栞子さん譲りの美貌と本好きっぷりだけど、
性格は結構違うんですよね。
こういった愛くるしさは、確かに扉子らしいな、と感じます。

今回の物語は古書店「虚貝堂」店主の杉尾さんが息子の遺産である本千冊を古本市で売却するのに、
孫であり、遺産を受け取るはずの樋口恭一郎くんがアルバイトとして駆り出されるところから始まります。
生まれる前に離婚していた父のことに詳しくない恭一郎は当然古書のことについても不案内なんですが、
古本市のアルバイトで扉子と出会うことから、本の世界へと足を踏み入れていくんですよね。
名前の通り、扉子は恭一郎が新しい世界へと入るための扉の役割を担っているわけです。

まだ1巻ということもあり、ビブリア古書堂とはどういったものなのかの説明からやってくれますし、
それに発生する事件も古本市でのちょっとした窃盗なので物語に入りやすいです。
原作の事件がきちんと描かれているのはもちろんなんですが、
とても良い意味で原作を補完、というか、補強しているんですよね。

たとえばこのシリーズの魅力の一つはキャラクターの個性だと思うんですが、
それが漫画としてわかりやすく見せてくれているんですよ。

原作にはこういった描写はなかったのに、とても扉子らしいと感じましたし、
恭一郎が妹を寝かしつけるシーンも、原作で読んだことがあるような気持ちにさせられました。
作者の庭春樹さんは、とても原作を読み込んでいらっしゃいますよ。

原作の面白さは充分にある上に、それを崩さずに、新たな魅力を引き出せている良いコミカライズです。
次巻以降も、とても楽しみです。

:: 2024/3/31 日曜日::

■[ラノベ]親子三代の記憶「ビブリア古書堂の事件手帖IV ~扉子たちと継がれる道~」

ビブリア古書堂の二代目に嫁いだ智恵子と、その娘の栞子。
そして栞子と五浦大輔との間に生まれた娘の扉子。
卓越した記憶力と洞察力を持った3人の女性が、
17歳の時に関わった鎌倉文庫に存在した夏目漱石の稀覯本と関わるお話です。

今回は扉子、智恵子、栞子の順番でそれぞれの物語が展開しています。
扉子の話では幼馴染みで親友の戸山圭ちゃんと仲違いしていた理由が判明するんですが、
前巻で扉子が恭一郎に対して自問するように言っていた言葉の意味がわかりました。
相手の話を聞かず、独断で動いた結果、手痛い失敗をしたからだったんですね。
この件に関しては扉子が自省しているように、彼女自身のミスが大きいでしょう。
それでも圭ちゃんと仲直り出来たのには安心しました。

今回大きく関わってくるのは鎌倉文庫という貸本屋に存在した鎌倉文士たちの稀覯本で、
その中でも夏目漱石の家が所蔵していた初版本が物語の核となっています。
私は松山出身でありながら「坊っちゃん」すら読んでいない粗忽者ですが、
それでも来歴や概要は知っているくらいに夏目漱石は存在感がある文豪です。
まぁ、令和だと間違いなく炎上するタイプの作家だとは思いますが…w

智恵子さんが関わった件ですが、ここで後に旦那となる登さんと関わっていったんですね。
登さんのザ・男飯みたいなラーメンと、それを無造作に客である智恵子さんに勧める無遠慮さや、
何故か智恵子さんのことを全面的に信頼している所とかを見ると、不思議な人だなぁ、と感じました。
まぁ、お互いに一目惚れに近いような感じだったんですね…
うーん、栞子さんと大輔とはまた違ったラブコメ夫婦だなぁ…

そして栞子さんが関わった事件ですが、
彼女はやはり17歳の頃からとても頭脳明晰だったんですね。
鎌倉文庫に関して智恵子さんが仕掛けた顛末も、
綺麗に解き明かしていて、流石は栞子さんだと思います。

今回は珍しく読後感もスッキリしていて良かったですね。
それに智恵子さんと登さんの過去が読めて嬉しかったです。
圭ちゃんと扉子の仲も戻ったのも。
惜しむらくは過去編メインなので栞子さんと大輔のイチャラブが少なかったことかなぁ…
まぁ、それは次巻以降に期待したいところです。

:: 2022/4/4 月曜日::

■[ラノベ]故人の記憶「ビブリア古書堂の事件手帖 III 〜扉子と虚ろな夢〜」

ビブリア古書堂の事件手帖III 〜扉子と虚ろな夢〜ビブリア古書堂の事件手帖 III 〜扉子と虚ろな夢〜
出版社:KADOKAWA
作者名:三上延
作者サイト:はてな馬的思考
作者twitter:三上延さん(@mikamien) / Twitter
絵師名:越島はぐ
絵師twitter:越島はぐさん(@koshijimah) / Twitter
紙書籍通販:ビブリア古書堂の事件手帖III
Kindle版まとめ買い:ビブリア古書堂の事件手帖
DMM電子書籍:ビブリア古書堂の事件手帖III

扉子も女子高生になっている春のある日。
ビブリア古書堂に寄せられた相談の内容は古書店の跡取り息子が相続するはずの本を、
その息子の祖父が勝手に売却しようとする相続問題だった。
馴染みの古書店「虚貝堂」が絡むことがあって説得を試みようとするも、
手が足りない栞子さんは扉子にも手伝って貰うんだけど…

扉子ちゃんも大きくなったけど、大きくなっただけに問題が多いみたいですね…
戸山圭ちゃんとの仲も気になりますし、
祖母にあたる智恵子に対するわだかまりもあるようですし。
ただ、栞子さん譲りの推理力は冴えてましたね。
最近だとメルカリの転売を利用した詐欺とかも多いみたいですし、
そういったことにすぐ思い当たるあたり、扉子ちゃんらしかったです。

今回の事件の当事者である樋口恭一郎くんですが、
扉子ちゃんの後輩としてよき付き合いが出来るのかな?
とも思ったんですが、予想以上に大変な運命に巻き込まれてるっぽいので、
これからがちょっと心配ですね…

しかし亡くなった杉尾康明さんもわりと悲惨というか、可哀想というか…
不可抗力で人生が散々な目にあって同情せざるを得なかったです。
残された母子も大変だったとは思いますが、
康明さんもかなり心身共に可哀想だと思いますよ。

それにしても智恵子さんは既に還暦も過ぎてるっぽいのに、
まだまだ何かやらかすつもりなんですね。
栞子さんも大変だと思うけれど、
大輔が支えてくれるみたいだし、そこは大丈夫じゃないかな?
と思います。

:: 2020/7/22 水曜日::

■[ラノベ]それぞれの家庭「ビブリア古書堂の事件手帖II ~扉子と空白の時~」

ビブリア古書堂の事件手帖の新シリーズが本格的に開始です。
2030年頃、女子高生になった扉子ちゃんが、
父である大輔が記録した事件手帖を読み解くことで、
過去にあった事件を追体験するという形で物語が進みます。

今回のテーマは日本の探偵の代名詞とも言える金田一耕助を生み出した横溝正史。
そして横溝正史の作品の中でも数十年単行本化されていなかった「雪割草」
その伝説の著作を巡る旧華族の流れを組む鎌倉の旧家の遺産騒動に、
栞子さんが駆り出されてるんだけど、金田一シリーズのような展開になっていきます。

まず「雪割草」のことについては過分にして知らなかったんですけど、
2017年に発見されてニュースになってたんですね。

横溝正史、幻の長編小説「雪割草」見つかる…金田一耕助の“モデル”も登場(1/2ページ) – 産経ニュース

横溝正史作品の中でも異色の家庭小説らしいですが、
それが物語にきちんと落とし込まれた上で面白く仕上げているのは、
流石は「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズだな、と感心させられました。

登場人物たちの人間臭さが相変わらず凄く出てましたね。
孫もいる歳になったのに変に頑固で意地になるだけでなく、
子供の頃の過ちを数十年に渡って謝ってない素直じゃないところとか、
とても人間だなぁ、と思いましたね。

そしてこの作品にとって一番欠かせないのが栞子さんの魅力ですが、
人妻になってもその可愛らしさは相変わらずでしたね…
大輔を夫として紹介するだけであんなに緊張するとか、
結婚して半年経っても可愛らしすぎるし、
子供が出来てもビデオ通話越しにあんなことを伝えてくるとか、
萌え殺しに来ているとしか思えないくらいに可愛かったです…

それにしても家庭小説を綴った「雪割草」を巡る事件では家庭が引き裂かれ、
殺人事件を扱った推理小説の「獄門島」を巡る事件では扉子ちゃんに親友が出来るとか、
何とも皮肉なものだなぁ、と思います。

今後も扉子ちゃんによる追体験による回想という形で進むのか、
それとも扉子ちゃんが謎を解くことになるのか、まだわかりませんが、
IIになっても面白いシリーズだと確信できたので、
続きを読むのがとても楽しみです。

:: 2018/10/17 水曜日::

■[ラノベ]広がる面白さ「ビブリア古書堂の事件手帖スピンオフ こぐちさんと僕のビブリアファイト部活動日誌」2巻

峰守ひろかずさんによるビブリア古書堂の事件手帖スピンオフ、まさかの2巻です。
原作好きだし、好きな作家さんだし、1巻も面白かったので嬉しいんですけど、
続くとは思ってなかっただけにビックリです。
やっぱり原作の実写劇場版が公開される関係なんでしょうか?
どちらにしろ嬉しいです。

2巻ということで時系列的にも1巻の続きなので、
まだ栞子さんの娘の扉子ちゃんは生まれてませんが、
それでもこぐちさんと響平は2年生に進級し、後輩の早紀ちゃんが出来ています。
今回も生徒会長の無茶振りから市立図書館に赴いた先で、
お嬢様学校の聖桜女学園の天塚さんとビブリオファイトすることになって…

今回はラブコメ要素が強かったですね。
やはり恋のライバルが出てくれば盛り上がりますよ。
こぐちさんと同じ黒髪ロングで読書好きなんだけど、
長身で胸が大きくて社交力もあり、実は隠れオタクな天塚さんが響平と仲が良いとか、
こぐちさんの心が穏やかじゃなくなるのもむべなるかなですよ。

響平は響平で、こぐちさんに想いを寄せる千倉くんの登場で、
奮起して頑張ること自体は間違ってないんだけど…
その方向性を間違ったがためにこぐちさんに悲しい思いをさせてしまったのは、
失敗だったかな、と思います。

しかし、最後にはきちんとこぐちさんと向き合って話すのは良いですね。
頑張りすぎて大変なことになってたのには笑ってしまいましたけど、
そういった失敗も含めて青春なんだなぁ…
これも「とらドラ!」を読んだからこその暴走なのかもしれない…

今回取り上げられた本ですが、前回と同じくこぐちさんが好きな児童文学だけでなく、
「ブギーポップは笑わない」や「とらドラ!」が出てくるあたり、
電撃文庫らしくて、高校生読者に合わせてて有りだな、と思いました。
テーマも明快でわかりやすいし、原作に時折混じる後味の悪さもないし、
とてもライトノベルらしい素敵な読み物だったと思います。

余談ですが、「トムは真夜中の庭で」の話を栞子さんが今の「ハリー・ポッター」みたいなもの、
と言っていたのを読んでわかったんですが、
「魔法先生ネギま!」のオマージュ元は「ハリー・ポッター」だったけど、
「UQ HOLDER!」のエヴァと刀太の関係のオマージュ元は「トムは真夜中の庭で」なのかな?
と思いました。
どちらも読んでないんだけど、一度読んでみたいかも…

:: 2018/9/24 月曜日::

■[ラノベ]新たな扉「ビブリア古書堂の事件手帖 ~扉子と不思議な客人たち~」

栞子さんと大輔が結婚してから7年経った2018年秋。
二人の間に生まれた娘の扉子も栞子さんと同じように読書好きな上に好奇心も旺盛で、
栞子さんはせがまれる形で本にまつわるエピソードを語り…

本作は7巻で完結したシリーズの番外編に当たる短編集のような内容になっています。
視点は大輔だけではなく、小菅奈緒やその他の人物だったりします。
私としてはやはり栞子さんか大輔視点の短編が好きですね。
何故なら、随所に二人のイチャラブっぷりが感じられるからです。

栞子さんが類まれなる記憶力で大輔の行動をリフレインして感慨にふけったり、
周りと同じように腕をくんで歩いて照れ隠しにキリッとしたり、
結婚指輪を大輔と同じポーズで見せつけたり、
一挙手一投足が可愛いんですよね、栞子さんは。
元々この作品はキャラクターの息遣いが感じられる描写が面白いので、
それ故に栞子さんの可愛さがダイレクトに伝わってくるんですよ。
いやはや、本当に大輔は良いお嫁さんをもらったよなぁ…
いや、婿に行ったんだっけ…

今回語られた短編の中では坂口夫妻の物語は、
少しだけ心に澱を残しながらも希望も見える終わり方で好きでした。
それと「俺と母さんの思い出の本」は心に響きましたね…
頑固な教育ママだった母との思い出を語るべき息子が既に居ないのは悲しいですが、
それでも遺されたモノが嫁と姑のこれからを繋げるのは、
少しだけ救われるものがあるように思えます。

あと、このお母さん、確かに厳しかったんでしょうけど憎めないというか…
価値観が認められないけど、息子が大事にしていたものを売らずに取っておき、
ちゃんと送ってあげるだけ普通に良いお母さんだと思うんですよね。
私の母は勝手に売っぱらった上で「大したお金にならなかったわよ」と文句を言う人だったので…

しかし、この短編に出てきた売れないラノベ作家の末路が…
その… どうもやけにリアルに感じるんですよね。
作者の三上延さんは元々ラノベ作家でしたし、
やはりそういうのはリアルに感じることができるのかな、と思いました。

それと、あとがきで知ったんですが実写映画化するんですね。
実写ドラマの時とキャストを変更するのは英断というか当然というか。
今回こそうまくいくと良いですね。

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