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:: 2016/10/14 金曜日::

■[漫画]ヤクザスレイヤー「青猫について」1巻

青猫について 1 (ビッグコミックススペシャル)
著者/訳者:小原 愼司
出版社:小学館( 2016-10-12 )

連載サイト:やわらかスピリッツ – 青猫について
作者サイト:施療院島
作者twitter:小原愼司 (@w0hara)さん | Twitter
Kindle版:青猫について (1)

終戦直後の日本。
無法地帯と化した闇市でシノギを削るヤクザたちが怖れる存在があった。
その名は人斬り青猫。
その正体は黒のセーラー服に身を包み日本刀を携えた少女。
火男の刺青を入れた集団に家族を殺された彼女は、復讐のために仇を追い求める…

「菫画報」「二十面相の娘」「地球戦争」でお馴染みの小原愼司さんの新作は、
まさかのエログロバイオレンス!
連載がやわらかスピリッツというWeb媒体というのも意外でしたが、
これが存外に合っているというか、とても面白いです。

特に青猫のキャラクターが良いですね。
まず、良家で育った子女らしいあどけなさが良い。

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黒髪お下げでセーラー服という少女らしい愛らしさ。
それでいながら人を人とも思わないように斬りまくる姿が凄い!

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老若男女問わず、ヤクザとみればまず斬る。
そこに一つのためらいもなし!
そして敬虔なクリスチャンらしい決めゼリフ!

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いやー、良いですねぇ…
ゾクゾクしますね…!

私はエログロとか苦手な部類ではあるのですが、
それでも惹き付けられる魅力がここにはあるのです。
元々小原愼司作品ファンというのもあるのでしょうが、
やはり普通に面白いってのがあると思うのですよ。
まぁ、エログロなので人は選ぶと思いますが。

青猫と姉を探す年下の相棒に、モーゼル使いの女殺し屋カラスに、
青猫の仇にしてカラスを雇った火男の刺青の男。
この1巻の時点でかなり完成度が高いのでぐぐっと物語に引き込まれると思います。
エログロ耐性がある人は是非読んで欲しいですね。

:: 2013/12/9 月曜日::

■[漫画]90年代アフタヌーン読者へのラブコール「星のポン子と豆腐屋れい子」

星のポン子と豆腐屋れい子 (アフタヌーンKC)
著者/訳者:トニー たけざき
出版社:講談社( 2013-11-22 )
コミック ( 168 ページ )
原作者サイト:施療院島
原作者twitter:小原愼司 (w0hara)さんはTwitterを使っています
作者サイト:トニーたけざきのホームページ

私が月刊アフタヌーンと出会ったのは今から19年前、
部活の友人が貸してくれた「ああっ女神さまっ」の単行本からでした。
当時は「寄生獣」「ガンスミ」「無限の住人」「ディスコミ」「ワッハマン」が隆盛を誇り、
後の看板作である「地雷震」「勇午」「ヨコハマ買い出し紀行」等が生まれた時期でもあります。
そんな90年代アフタヌーンの中でも私が特に好きだった「菫画報」の小原愼司さんが原作として、
異例の「大合作」発起人である「岸和田博士の科学的愛情」のトニーたけざきさんが作画として、
2013年の現在、共同で合作したのがこの「星のポン子と豆腐屋れい子」です。

売れない豆腐屋の姉弟が怪しげな生物を拾ってきて飼おうとした所、
実はその生物が異星の商人で、姉弟が異星の不思議グッズを買おうとする第1話中盤までは、
小原愼司さんらしいストーリー展開なんですよね。

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ですが、1話終盤からはトニーたけざきさんが好きそうな展開のオンパレード!
引きこもり、薬物、銃と臓物と退廃的な要素がてんこ盛り!
一見合理的なようで、情緒が排除された理不尽な仕打ちのエグさったらないです。
トニーたけざきさんらしさを活かすにはどうすれば良いのかを熟知した上でのストーリーで、
小原愼司さんからトニーたけざきへの挑戦状、もしくはラブレターかのようでした。
読んでいるとグイグイと物語に引き込まれていって面白かったです。

小原愼司さんがこういった展開の作品を手がけるとは予想外だったので驚かされましたし、
何より第一話の扉絵がトニーたけざきさんの絵柄にしてはファンシーだったので見事に騙されました。
とはいえ、最後のオチは納得できる落とし所だったので、
「上手いこと騙されたなぁ」と感心することしきりでしたね。
予想は裏切られたけど、期待は裏切られるどころかその先を見せられた気分です。

ちなみに全3話のうちの第1話は試し読みが出来ます。
この第1話を読んだだけど、この作品がどういったものがわかるとは思いますが、
同時に全部読みたくなること間違いなしですので、覚悟を持ってからお読み下さい。(笑

それと小原愼司×トニーたけざき対談が公開中です。→前編後編
実は二人の対談は9ヶ月前に発売された地球戦争1巻の時にもあったんですよね。
機会があればそちらの方も確認して欲しい所であります。

:: 2013/8/2 金曜日::

■[漫画]石黒正数ファン必見の対談もあり!「地球戦争」2巻

地球戦争 2 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)
著者/訳者:小原 愼司
出版社:小学館( 2013-07-30 )
コミック ( 207 ページ )
作者サイト:施療院島
作者twitter:小原愼司(地球戦争 1 発売中) (w0hara)さんはTwitterを使っています

突如としてロンドンの待ちに舞い降りた三本脚の宇宙からの侵略者。
孤児のオリバーとお嬢様のアリスに、孤児の坊やも交えた3人での逃避行は、
外国への船を目指すことになるんだけど、港ではオリバーの孤児仲間と再会し…

孤児仲間のみんなが結構個性があって良いですよね。
アリスに対して嫉妬したルーシーがサムの暴挙を見て見ぬ振りをしたり、
オリバーに対して嫉妬したサムが虚勢を張っている所とかキャラが立ってますよね。
オリバーも感心する青年実業家のグレイヴのせいで更なる局面に立たされるのもまた面白いです。

さて、1巻巻末ではトニーたけざきさんとの対談が載っていましたが、
今回は「それでも町は廻っている」作者、石黒正数さんとの対談が載っています。
ファンにとってはそこそこ有名な話なのですが、
石黒正数さんは大の小原愼司ファンということでも知られています。
付き合いも結構長いのでディープな話が聞けることが楽しみにしていたんですが、
これがもう予想以上に深い話でびっくりですよ!

お互いの漫画の作り方という話はまだまだ序の口で、
石黒正数さんの「それ町」年表が登場するわ、ファン作成の年表が99%合ってるだとか、
紺先輩っぽい人が色んな作品に出ていることについての言及や、
それ町が元々全4巻の予定だった話だとか、石黒正数ファン必見の情報が山盛りですよ!

というか、石黒正数さんってば「菫画報」のこと好きすぎでしょう。(笑
私も好きですし、今読んでも最高に面白い作品だと思いますけど!
「それ町」でゴンヌズバーという擬音が出てきても驚かないな!

それにしても石黒正数さんは本当に小原愼司さんの「菫画報」がなかったら、
漫画家としてここまで大成出来なかったんだろうなぁ、と思います。
というか危うく全4巻になる所を、
小原愼司さんが止めてくれたから今の「それ町」があるんだよなぁ。
やはり小原愼司さんは偉大やで…

:: 2013/4/9 火曜日::

■[漫画]火星人、倫敦ヲ侵略ス!!「地球戦争 the war of the human」1巻

地球戦争 1 (ビッグ コミックス)
著者/訳者:小原 愼司
出版社:小学館( 2013-03-29 )
単行本 ( 192 ページ )
作者サイト:施療院島
作者twitter:小原愼司(地球戦争 1 発売中) (w0hara)さんはTwitterを使っています

小原愼司ファンとしては買わざるをえない「地球戦争」1巻。
霧けぶるロンドンに突如火星からやってきた侵略者が、
人を攫い、殺していく中で孤児の少年・オリバーが上流階級のお嬢様・アリスと出会い、
孤児院に残された坊やと3人で逃避行をすることになっていくんだけど…

小原愼司さんの新天地での新連載は若干ホラー風味の退廃的なモノ。
育ちのせいで他人を信じられないオリバーが、レディとしての矜持を持つアリスと触れ合い、
更に軍人や貴族たちの庇護と逃亡を経る内に少しずつ変っていく姿が描かれています。
火星人と目される兵器とその不可思議な技術による虐殺シーンは、
ちょっとグロが入っているけど、小原愼司作品を普段読んでる分には大丈夫かと思います。

実を言うとこの単行本で一番興味深かったのは巻末のインタビューです。
トニーたけざきさんと90年代のK談社のAフタヌーン誌を振り返るという、
当時の雑誌をよく知る身としては非常に読み応えのある内容でした。
今語られる「菫画報」の秘話だとか、編集さんが部活モノやりたかった話だとか、
アフタヌーン好きとしては是非とも読んで欲しい内容です。

しかし許可を貰っているとはいえアフタヌーン本誌よりも先に新連載情報を小学館の単行本で先行で出すとか…
懐が広いな、アフタヌーン…
原作:小原愼司 作画:トニーたけざきでアフタヌーンで連載が近々始まるみたいです。
楽しみだわー

:: 2011/10/24 月曜日::

■[漫画]お金の味方でした「コジカは正義の味方じゃない」2巻

コジカは正義の味方じゃない 2 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
著者/訳者:小原愼司
出版社:メディアファクトリー( 2011-10-22 )
コミック ( ページ )
作者サイト:施療院島

残念ながら「コじゃない」はこの2巻で完結ということになりました…
何か最近フラッパーは連載陣の再編を行っているのか、
ベテラン作家だろうかバッサリ切ってくるからなー
アンケートで応援してたんだけど残念無念…

超人とはいえ指が硬くなるだけの能力とか、
その他微妙な能力が多い中でビジュアル的にも格好いいシャドウガールに注目が集まり、
白鳥くんが有頂天になったり落ち込んだりする中、
コジカは終始常にお金のことばかり計算するという、
そんな主人公でした。

28年後を狙った金融的世界征服を狙うという、遠大な目標の超人が出てきたり、
ここから更に盛り上がりそうだったんだけど、
「俺たちの戦いはこれからだ」エンドで残念でした。
うーん、惜しい…

何だかんだでこういった小原愼司さんの庶民派コメディは好きなので、
今後のご活躍も期待したいと思います。
フラッパーが難しいなら古巣のアフタヌーンとかで!

:: 2011/4/25 月曜日::

■[漫画]変人な超人コメディ「コジカは正義の味方じゃない」1巻

コジカは正義の味方じゃない 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
著者/訳者:小原 愼司
出版社:メディアファクトリー( 2011-04-23 )
コミック ( ページ )
作者サイト:施療院島

敬愛する漫画家である小原愼司先生の新作「コジゃない」石黒正数先生命名)1巻が発売されました。
前作「二十面相の娘」と同じくフラッパー連載なんですが、
そのテイストは全く異なり、作者の過去作で言えば「菫画報」が一番近いでしょうか。
超人が出るSFモノなんだけど、庶民派なコメディ要素がメインの作品です。

超人と呼ばれる存在がいつの間にか一般的になった世界。
しかしそんな世の中とは関係なく、子供向け絵物語を仕事に持つ父と幼い弟を持つ赤貧少女のコジカは、
バイトに明け暮れる日常だったけど、ある日目覚めた超人としての能力で金儲けを企むことに。
しかしその中身は「夕刊配達バイトを増やす」などといった凄く庶民的なもので…

そんな庶民派なコジカに目を付けた正義の味方を夢見る一般人の残念なイケメン後輩の白鳥正義と、
白鳥目当てのこれまた超人な鈴木アリスや、超人を統括する政府の機関だったりと、
色んな人物や機関やらチームやらが溢れかえりながらも、誰もが何とも間抜けで、
程良い脱力感が絶妙な面白さを出してくれるのです。

コジカの超人としての姿も表紙にあるように、裸っぽい影分身とも言える姿で、
それがまた一つの面白さになっています。
正義の味方オタクの白鳥もかなり面白いキャラですし、
コジカも感性は一般人に近いのに小銭稼ぎには目の色が変わる所とか笑えるんですよね。

兎にも角にも小原愼司先生のコメディ作品が好きな人には買いの作品です。

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