本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 短編集3 12月14日発売!
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:: 2016/6/16 木曜日::

■[ラノベ]竹宮ゆゆこ最新作!「砕け散るところを見せてあげる」

砕け散るところを見せてあげる (新潮文庫nex)
著者/訳者:竹宮 ゆゆこ
出版社:新潮社( 2016-05-28 )

大学受験を間近に控えた濱田清澄がたまたま見かけた1年生のいじめ現場。
しかし正義感から助けた蔵本玻璃からは奇声を上げられてしまう。
それでも気になった清澄が1年生のクラスを伺うとやはりいじめが行われており、
ある日校外で洒落にならないいじめを助けたことで二人の距離は縮まっていき…

竹宮ゆゆこさんが新潮文庫nexで書く第二弾にして最新作ですが、
やはり竹宮ゆゆこさんは竹宮ゆゆこさんだと感じさせる内容でした。
しかし取り扱うテーマはライトノベルの枠組みでないのは間違いなく、
これは新潮文庫nexで出すのが正しいだろうな、と思いました。

全部わかってからはスッキリするんですが、それでももどかしい思いもありましたね。
クラスメイトは玻璃がずっと濃い黒ストと長袖を着ていた理由を何故気付けなかったのか。
清澄は玻璃の将来のことを考えておきながら何故身近な危険を心配しなかったのか。
それもこれもまだ彼ら、彼女らが若いからという一言に収束するんだろうけど、
それにしたってツラいなぁ。

いじめをしていたクラスメイトは報道で真実を知って自責の念にかられたりしないのかなぁ…
とかそんな益体もないことを考えている間に物語が急転直下で終わって驚きましたね。
そして終わったあとに冒頭の意味がわかって見事に引っかかっていたと気付かされました。
確かに半ドンという制度があったり、
誰も携帯電話を持っていないのはおかしいと思ってたんですが、
なるほど、そういうことだったのかと。

竹宮ゆゆこ作品ファンなら買って読んで損はないと思いますが、
ゆゆこ節のおかげで読みやすくはなっているとはいえ、
癖が強くて重いテーマも扱っているので注意が必要です。
でも、面白いよ!

:: 2014/9/8 月曜日::

■[ラノベ]新天地でも安心のゆゆぽ節「知らない映画のサントラを聴く」

知らない映画のサントラを聴く (新潮文庫)
著者/訳者:竹宮 ゆゆこ
出版社:新潮社( 2014-08-28 )
絵師サイト:technofuyuno
絵師twitter:ふゆの春秋 (technofuyuno)さんはTwitterを使っています

「とらドラ!」「ゴールデンタイム」とデビュー以来ずっと電撃文庫だった竹宮ゆゆこさんが、
新創刊された新潮文庫nexで短編を発表!
新潮文庫nexはラノベレーベルではないらしいので、メディアワークス文庫と似た立ち位置なんでしょうか。
まぁ、どちらにしろ竹宮ゆゆこは竹宮ゆゆこだった訳で問題ないのですが。

主人公の錦戸枇杷は23歳の家事手伝い。
というかぶっちゃけ就職活動に失敗した無職であり、鉄股処女のロンリーガール。
ある日夜道で変態女装男に襲われ大事にしていた写真を奪われて以来、
奪い返すために深夜の徘徊を日課とするようになったぷち引き篭もり状態の彼女が、
如何にして道を踏み外したか、そしてもう一度進むようになったかの物語。

今回は1冊で完結するということで、中盤からフルスロットルのジェットコースターでしたね。
枇杷が小三の時に出会った帰国子女の朝野と親友になり、その親友を唐突に失ってから、
その喪失感と罪悪感と悔恨から右往左往して懊悩して、更には家を追い出されて…
という、枇杷の心情的には濁流に呑まれるかの如く物語が展開していき、
面白さも加速していって読むスピードは加速する一方でした。

それにしても朝野の元カレの昴とのラブやん的同居生活にも驚いたけど、
昴の性癖というか、罪悪感の奇妙な結実っぷりには驚かされましたけど、
よく考えたら「あの花」のゆきあつと似たような着地点と言えなくもない気が…
中途半端に頭が良い真面目くんはそっちの方向にアクセル踏み込む傾向があるのかな…

何にしても竹宮ゆゆこらしさが凝縮した一冊ではありましたが、
少なくともラブコメ作品ではなかったと思います。
というか、恋愛パートに入る前の序章で終わった感がしないでもないです。
続きを読んでみたい気もしますが、それをやったら別作品になっちゃう気がするので、
これはここで終わったのが正解だと思います。

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