本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 短編集3 12月14日発売!
特典SS他、新規短編&中編も多数収録!
:: 2024/8/13 火曜日::

■[ラノベ]時をかけるダンケルフェルガーの女「本好きの下剋上 ハンネローレの貴族院五年生」1巻

前世の本須麗乃時代に得ていた本に囲まれた生活と、
現世のマイン時代に得ていた家族愛に包まれた生活。
かつて持っていたけれど、家族を守る為に貴族のローゼマインになって失っていったものを、
最後にはついに取り戻して見事に完結した「本好きの下剋上」
本作はその後をローゼマインの親友であるハンネローレの視点から綴った外伝の1巻になります。

注:以下はネタバレ全開の感想になります。

プロローグはハンネローレの筆頭側仕えのコルドゥラ視点ですね。
子供の筆頭側仕えは両親の側近から選ばれることが多いのは知ってましたが、
コルドゥラは元々ジークリンデの側仕えだったんですね。
元主従の二人から見たハンネローレの問題点が列挙されていますが、
大人視点から見てみればハンネローレの未熟さは一目瞭然ですね。

ただ、ハンネローレを擁護することもできるのですよ。
エーレンフェストの祝勝会に参加した時は、
お友達のローゼマインが「王命で引き裂かれた想い人を助ける為に礎を奪う」という
愛読しているフェルネスティーネ物語以上の恋物語を見せられた直後な上に、
ずっと憧れていた恋物語の作者であるエラントゥーラ様に会うことができたため、
ハンネローレ史上、一番の恋物語フィーバーが起こっていると思われるのですよ。
だから自分の恋を何とかしようとは全く頭に思い浮かべられなかったんだろうな、と…w

ジークリンデは策士としての腕が見事なのでアドルフィーネを賞賛していますが、
コルドゥラが言うように、ハンネローレは魔力量と戦闘能力に適性があるのですよね。
これからコルドゥラが言うような事態が起こるんですから、
筆頭側仕えとして主のことをよく見ていると思います。

ジークリンデも母として、無責任で能力不足なジギスヴァルトとの婚姻を避けたり、
節操なしなアウブ・ドレファンヒェルの縁談から守る為に、
そして、ハンネローレが自分で選べるように婚約者ではなく、
婚約者候補を二人見繕っているあたり、とても親の愛だなぁ、と思うのですよ。
ヴェローニカのような独善的で一方的な親の愛の縁談押し付けとは違いますよ。
ジークリンデはとてもまともな母親だと思います。
それをハンネローレが気付けるのはいつの日なのかな…?

そしてハンネローレ視点で語られる入寮からの本編ですが、
前作からのファンにとっては知りたかった情報が色々と出てきてホクホクですね。
ローゼマインの親友だと自他共に認められたハンネローレが苦労を背負いこむことになってますが、
この世界の貴族は権利と責任はワンセットなので仕方が無いですよね。
責任だけ放棄しようとする愚か者はフェルディナンドがくしゃっと叩きつぶしちゃったので、
これからは多少マシになると思いますよ、ハンネローレ様。

ツェントとなったエグランティーヌは粛清の責任を取るべき実家のクラッセンブルクではなく、
功績が大きいローゼマインを重要視しているのには安心しましたけど、
そのせいでエーレンフェストとハンネローレに縁談が殺到しているのはとばっちりですね。
他領のアウブは神殿改革する必要性と切実性は領主会議で理解したのでしょう。
ただ、どうすれば良いのかは全くの知見がないので、知っている相手にやらせたいんだけど、
エーレンフェストは今後数年は嫁入り&婿入りのみと定められているので、
ハンネローレに縁談が殺到しちゃうのは本当に可哀想だな、と思います。

貴族院に入って早々にダンケルフェルガーのダンケルフェルガーらしさが全開で呆れましたけど、
「シュタイフェリーゼより速く!」
という言葉がローゼマイン発だということは知られてないみたいですね。
おそらくローゼマイン本人は特に気にしないでしょう。
むしろ、それで更に崇められてディッターを吹っかけられる方が迷惑するでしょうね。
エーレンフェストにはディッターを吹っかけないという約定は結ばれたけど、
アレキサンドリアとは結んでないですから…w

ラザンタルクが精一杯の求愛の言葉をハンネローレに捧げてますが…
全く響いてないのはちょっと可哀想ですね…
ハンネローレはラザンタルクがハイスヒッツェと似ていると評していましたが、
おそらくそれは正しいです。

ハイスヒッツェは自分の常識と十年前の記憶を根拠に動いたせいで、
結果としてフェルディナンドに盛大な迷惑を掛けました。
ラザンタルクも自分の常識と幼い頃の記憶を根拠に今のハンネローレを見ずに求愛したせいで、
ハンネローレは迷惑しているんですよ。
悪い子ではないんだけど、ちゃんと相手を見て、理解しないと、何事も上手くいかないと思うのです。
ダンケルフェルガーの騎士が持つ宿痾なのかもしれませn。

それに比べるとケントリプスはハンネローレのことをよく見ていると思うのです。
ハンネローレが幼かった頃の思い出はしっかりと大切にしていながら、
ローゼマインと出会ってどのように成長してきたのか、理解できていると思うのです。
ある意味、本人以上に理解できているのではないかな、とまで思います。

そして異母弟のラオフェレーグですが…
彼は前作では継承の儀式に出席を見合わせられたのも納得の馬鹿ですね。
幼い頃から最上級の教育環境を得られて10年間みっちりと教育してこれというのが…
身分を笠に着て他者に自分の傲慢を強要しようとするあたりは、
とてもレスティラウトに似ていると思いました。
ただ、レスティラウトの根底には一応他者への優しさもありましたけど、
ラオフェレーグにはそういったものが全く感じられないのがねぇ…

進級式と親睦会ではラザンタルクがTPOを弁えずに自分本位で口説いてますが、
そういうところがあかんのやぞ、と思ってしまいますw
ブルーメフェルトとコリンツダウムは二つの領地のアウブの性格が出ているのは予想通りでした。
そして一年も経たずに学生の心をつかむローゼマインはやはり規格外ですよね…
多分、歓迎のお礼としてフェシュピールを弾いて祝福を送ったり、
慈悲と利益を振りまいて、学生の成績を上げる方針を打ち出したり、色々とやったんでしょうね。
うーん、詳細を知りたいけど、続編で書かれたりしないのかな?

親睦会でのローゼマインの配置ですけど、
おそらくハンネローレの予想通りフェルディナンドが裏に居ると思います。
というか、エグランティーヌの施政はフェルディナンドの監視が常についていることでしょう。
魔石恐怖症のローゼマインのために魔石部分を覆い隠すように婚約魔石を装飾したりと、
フェルディナンドはとても過保護ですからね。

アナスタージウスは苦言を呈しているけれど、
ローゼマインもハンネローレも巻き込まれるだけなんですよ。
それでも大きな事態が起こってしまうのが困ったものなのです。
むしろ、そのような事態に巻き込まれながら、
色々と奮闘している二人を褒めてあげて欲しいくらいです。
巻き込まれる資格すら得ていない王族たちの無能さこそを反省して欲しいものです。

ヒルデブラントは今のところ大人しいですけど、
本人がどこまで反省しているのかは現時点で未知数ですね。
レティーツィアはとても反省しているように見えるし、
これからも苦労を背負い込みますから頑張って欲しいです。
ヴィルフリートは後述しますが、相変わらず脳天気に見えるのに比べて、
シャルロッテは中継ぎアウブを任されているので大変でしょうね…

座学の講義で会ったローゼマインのご機嫌さを即座に
「図書館か本について何か考えている」と察することができるとか、
ハンネローレもローゼマインの親友らしい理解度ですね!w
そして実技の講義で即座に動いたオルトヴィーンは本当に有能です。
本当に有能な領主候補生とはどういうものかという、お手本のようです。
ドラえもんにおける出木杉くんのような印象を受けます。

領地としての利をしっかりと押し出している上での求婚だし、
ハンネローレの実力と性向を把握しているし、
何よりもヴィルフリートへの恋心まで確信を持っているだなんて、本当にやり手すぎる。
それでいてついうっかりと本気の恋心を見せてしまうんだから、
そりゃもうハンネローレは大変ですよね…

しかしハンネローレもローゼマインと同じくらい殿方の気持ちに鈍感というのは、
ある意味正しいけれど、ローゼマインもハンネローレには言われたくないあろうなぁ…
と思うくらいに中々に酷いものでしたね。
まぁ、ラザンタルクが恋物語とか読んで勉強してこなかったのも悪いと思いますw

髪飾りの件については、ローゼマインとハンネローレの挿し絵が有ったのが一番助かりました。
一年前とは逆になった身長差もそうですが、
お揃いになった髪飾りとローゼマインの新しい色のマントに胸元を飾る婚約魔石と、
読者が見たかった箇所が全部描かれていて大満足でした。

来年の卒業式におけるローゼマインの展望は、言われて見ればその通りなんだけど…
学生どころか現代の貴族の常識では計れない心配をせざるを得ないとか、
ローゼマインは本当に規格外すぎますよね。
ただ、それも王族がまともに機能していたらこんな心配をする必要がなかったんですけどね。
次に奉納舞or御加護の儀式で始まりの庭に行けるのはメルヒオールかなぁ…?

それにしてもこそこそと小声で心配するのは良いんだけど、
下手に情報を零してしまったために周囲に邪推させる材料を与えてしまうあたり、
ヴィルフリートは本当に迂闊ですよね…
どうしても「そういうとこやぞ」と思ってしまいます。
悪い子ではないんですけども…!

ローゼマインとハンネローレがお茶会でお互いの領地の情報を小出しにしてやり取りするのは、
二人ともちゃんと領主一族してるなぁ、と感心しました。
何だかんだでローゼマインも教育の成果が色々と出ていると思うのですよ。

でも、特殊な環境で育ったので、自分を客観視できていないのは相変わらずで、
養子縁組を歌った曲が恋歌と誤解されているのに気付かないあたりは変わらないですね。
そう言えばフェルディナンドがアーレンスバッハで歌った曲も誤解されましたっけ。
遠回しに言う貴族文化は誤解されやすいということが多々あるのかもしれません。

ヴィルフリートに纏わる王命に関する噂と根回しが王族の領分というのは理解できますが、
おそらくエグランティーヌたちは要望されない限り動かないでしょうね。
勝手に動いて迷惑を掛けたらいけないし、それに他の仕事で多忙でしょう。
むしろ王族に要望を出さないヴィルフリートの方に問題があるように思えます。

ローゼマインは今だからと色々と内情をぶっちゃけてますが、
確かにヴィルフリートとの婚約はお互いにとっては苦痛の多いものでしたからね。
それを憧れの婚約だと誤解させていたのがフェルディナンドの過保護な贈り物だったあたり、
色々と罪深いなぁ、と思います。
まぁ、その婚約を大切にせず、魔力圧縮を必死にしなかったヴィルフリートの罪も大きいのですが…

ローゼマインが貴族院に来て寂しいと感じる理由ですが…
本当の貴族と会えないのは前と一緒だけど、一度再会できているだけに寂しさも一入なのか。
義理の兄妹が居ないから寂しさが大きいのか、
それとも心を通わせたフェルディナンドと離れているから寂しいのか…
うーむ、妄想が広がりますね。

そして喧嘩の事情聴取で語られたケントリプスの想いですけど、
彼は彼で色々と抱え込んでいることがよくわかりました。
文官という特性上からか、私はフェルディナンドと比較してしまうんですよ。
そして比べてしまうとどうしてもケントリプスの未熟なところが見えてきます。

大切な相手を守る為に魔術具を準備するという発想は同じでも、
フェルディナンドはローゼマインの心が壊れないように「相手が死ねない魔術具」を作るのに、
ケントリプスはハンネローレが絶対に負けないように「相手を殺せる魔術具」を作ってしまうんですよ。
それが故に肝心なところで使って貰えないんですよね…
守りたい相手への理解度の差が明暗を分けたのだと思います。

ただ、この2年で理解が深まったのか、これからの展望については予想は正確だと思います。
とはいえこの時点ではこの後にあんなことが起こるとは予想できないあたり、
まだまだローゼマインと関わった時の規格外さが理解出来ていないんですよね。
そしてそういった事態に対する処世の仕方や事前準備も、
フェルディナンドに比べると大きく見劣りするのが悲しいところです。

自分の恋心と領地へもたらせる利のバランスの袋小路に入っていたハンネローレだけど、
思いがけず異母妹とメルヒオールの縁談の話を聞いたことで、
一気にブレーキが壊れた暴走特急になりましたね。
本当に、一度決めたら止まらず譲らないという周囲の評は間違いでは無かったです。

それにしても思うのはヴィルフリートの脳天気さですね。
友人の恋を応援しようという気概は良いと思うのですが、
致命的なまでに情報収集が出来ていないのが露呈してしまった上に、
ローゼマイン以上に他領にエーレンフェストの内実をバラしまうのはどうなんでしょう…
ヴィルフリートはとても誠実ではあり、そこは美点だとは思うのですが、
それは領主候補生である上では致命的であると思うのです。

ただ、正しい情報を流すことでエーレンフェストの特殊な事情の理解が得られたのは幸いでしたね。
ヴェローニカがやったことは大領地からしても常識外れの非道なもので、
ヴィルフリートはその被害者というのは、ある意味で正しいです。
その影響は多岐にわたっていますが、まさかハンネローレの恋心にまで影響を与えるとはねぇ…
ヴェローニカは本当にどこまでも迷惑を掛ける毒親だと思います。

そしてここで唐突に女神が降臨するわけですが、
ドレッファングーアはメスティオノーラと違ってお願いに来ている立場もあってか、
マインではなく、ローゼマインと呼んでくれるし、
協力してくれたハンネローレにお礼をしてくれるあたり、とても良い女神だとは感じるんですが、
前作では怖いところもあるみたいなことを言っていたので、
今回は彼女が怒らなくて少し安心しました。

女神の御力で精神だけで一年前に戻ったハンネローレですが…
彼女が即座に動いてしまった事情はわかるんですが、
結果だけ見ると、情報を集めずに拙速に動いて失敗するダンケルフェルガーの典型例でしたね。

この時のヴィルフリートは尖ったところが有りまくりで、
周囲からは散々けなされて、側近が解任されたりとささくれ立っている真っ最中ですからね。
アウブ・エーレンフェストになって欲しいと言ってきたハンネローレは敵認定されたのでしょう。
いやはや、本当にこの時のヴィルフリートは本当に未熟だと思います。

それに比べてエグランティーヌはバランス感覚に優れているんですよね。
お互いの事情に理解を示した上で、やらせるべきことをきちんとやらせるあたり、
この頃からツェントとなる資質は充分にあるのだと思わせてくれます。
まぁ、本人はツェントになることを望んでなかったのでしょうが…

そしてコルドゥラからの冷静な指摘ですが、ある意味正しいです。
ヴィルフリートは結果として騙したようで申し訳ないから再戦したいと考えていたんですよ。
レオノーレたちに却下されただけなので、誠実ではあろうとしたのです。
ですが、次期アウブという言葉の重みを理解していない浅慮であるのは正しいです。

それにしても一年前はハンネローレはこれだけ苦労していたとは…
元凶は間違いなくレスティラウトの横暴な嫁盗りディッターだというのに、
それに対するケアは側近二人のケアだけ、というあたりがレスティラウトは傲慢だと思います。
大領地のお坊ちゃんとして育てられたから、そんなメンタルなのかもしれませんが、
そんなことだと、将来フェルディナンドにボッコボコにやられそうな未来しか見えないのですが…
大丈夫なのでしょうか?

ラストでは縁結びの女神リーベスクヒルフェが気を利かせたせいで、
多くの求婚者が列を成してやってくるという大変な事態に陥りましたね。
シチュだけみると乙女ゲームみたいですけど、
ハンネローレ当人にとってはそれどころではないでしょうw
神々と関わると大変なことになる、というのがよく理解できたと思います。
今後はローゼマインに対する理解も捗りそうですね!

エピローグはケントリプス視点ですが、彼も苦労性ですよね~…
ダンケルフェルガーの文官とはそういった性分の人が多いのかもしれません。
彼の視点で見る女神の降臨のアレコレでは、ヴィルフリートが有能に見えるから驚きますね。
ただ、ローゼマインがアーレンスバッハへ攻め込む時に背中を押した時もそうだけど、
緊急事態に動じず、果断に動けるのはヴィルフリートの得がたい資質だと思うのですよ。
問題はその資質を磨かず、欠点を放置していた彼の教育係の怠慢なだけで…

「閑話 アウブの定時報告」は前作のフェルマイファン向けの短編ですね。
フェルディナンドの説教臭さは相変わらずだけど、
優しさと過保護さがマシマシになっているあたりがニヤニヤできると思うのですよ。
側で見守っているリーゼレータは役得だと思います。
これがハルトムートとクラリッサにバレたら、
中央に一緒に来て欲しいとおねだしした時みたいに、めっちゃ嫉妬してきそうですよね…w

ラザンタルク視点の短編は、彼がただのディッター馬鹿なだけではなく、
ハンネローレのことが好きな馬鹿、というのがわかる内容で面白かったです。
おそらく2巻に収録される本編を読めば理解できるんですが、
1巻だけだとただのディッター馬鹿であるように思えてしまいますからね。
良いフォローだと思いますよ。

逆に金粉、もといジギスヴァルト視点の「コリンツダウムの執務室にて」は…
金粉はどこまでいっても無能な馬鹿だなぁ、というのが凝縮されていて酷かったです…w

まず、本人が今でも王族気分のままなのが酷い。
就任式の時にローゼマインに指摘されてたのに、まだ修正できてないし、されそうもない。
自分以外は全て自分に傅いて献上すべきだと考えている傲慢さに陰りが見えないから、
ジークリンデの思惑に全く気付けない馬鹿さ加減が読者に浮き彫りになっているんですよね。

ナーエラッヒェもジギスヴァルトに第一夫人を求める言葉を読む限りだと、
ジギスヴァルトと同じ「責任と苦労は背負いたくないけど、愛と実利は欲しい」
と言っているようにしか見えないんですよね。
ある意味似た者夫婦なのかもしれません。

ジギスヴァルトはローゼマインやアドルフィーネを配慮が足りず、無神経で非常識だと考えてますが、
客観的に見てその言葉はそのままジギスヴァルトに熨斗を付けて返すべきでしょう。
次期王の王子という立場だったからそれがギリギリ許されていただけで、
その立場を失った今だと糾弾されて当たり前なのに、そこに全く理解が及んでいない。

むしろ、女神の化身となったハンネローレならメスティオノーラも降臨させられ、
自分の為のグルトリスハイトを貰えるとでも思っているのかもしれませんが…、
本当に認知が歪んでいるなぁ…

そもそも未だに次期王だと思っている時点で超弩級の馬鹿だと思うのですが、
それを周囲が正そうとしていないあたり危なすぎますよ。
ディートリンデがそれをやったら、不敬だとして処刑される予定だったのを忘れたのでしょうか?
自分は王族だからその対象外と考えているようにしか見えませんが、
ジギスヴァルトは既に王族ではない、という理解すらできてないのが一番の問題ですよね。

とはいえ、グルトリスハイトがないままにツェントとして君臨しようとして、
政治力を磨いてきたのは間違いないので、根回しや都合の良い噂の流布の手腕は見事ですね。
ラオフェレーグというダンケルフェルガーの癌も既に把握していて都合よく利用とするあたり、
舐めてかかっては駄目な馬鹿だとは思います。

ただ、身内である父と弟はそういった特性を理解しつくしているので、
嫁盗りディッターでは各所に対策されて、ボッコボコにされそうだな、と思います。
ツェント・エグランティーヌが公式に裁くアウブ第一号にならないと良いね…!

特典SSはヴィルフリート視点でしたが、これもまた読み応えがありましたね。
バルトルトを放置していたことがいつか断罪されるとは予想していましたけれど、
五年生が始まる前どころか、領主会議直後に引導を渡されていたとは思いませんでした。
まぁ、それくらいダメダメだったということなのでしょう…

ヴィルフリートは優しくて素直なんだけど、側近にそれを利用されやすいんですよね。
側近達にとって都合が良い主となるように教育された結果、
情報収集が疎かになり、情報の取捨選択を誤り、他責思考に陥ったんですよね…
それもこれもヴェローニカに教育され、オズヴァルトを付けられたせいでしょう。

それでも、今まで何度も挽回のチャンスを与えられてきたのですよ。
一日神殿長で自分の未熟さを見せつけられて再教育の機会を与えられ、
白の塔へ入った罪を咎められてもローゼマインの取りなしで許され、
嫌われている元凶のオズヴァルトを辞任させて更生の機会を与えられ、
バルトルトの暗躍に気付けなくても側近を介して忠告をしてくれて、
今回もラストチャンスでライゼガング系貴族の教育者を入れる打診をされたくらいです。
親の愛としては、これ以上ないほどでしょう。

ですが、ヴィルフリートはそのチャンスを悉く逃してきたし、
最後のチャンスも自分には無理だと断ってしまいました。
本編で書かれていた通り、ローゼマインはハッセやローデリヒといった課題を乗り越えて学習してきたし、
おそらくシャルロッテも同様の試練を乗り越えてきたんだけど、
ヴィルフリートだけが忌避して脱落したんですよね…

側近を守れるならギーベで良いと考えてるみたいですけど、
アウブの側近、という輝かしい将来の展望を抱いていた側近達からすると、
領主一族の側近ですらなく、ギーベに協力する文官や騎士という立場が用意されたとしても、
彼等がそれで納得するとはとても思えないんですよね。
本当に、フェルディナンドが昔に指摘した通り、
先のことが見えてない子供だと思います。
次の2巻では更にやらかしてしまいますからね。
ヴィルフリートは何でもローゼマインが悪いと思っていたのでしょうが、
今までどれだけフォローされてきたのかを実感するのはこれからだと思います。

それとドラマCDの特典SSですが、こちらではレスティラウトが冒頭から父親から説教されてましたが、
それでもまだ、嫁盗りディッターを仕掛けた責任の大きさを感じていないように思えます。
エーレンフェストとの常識の齟齬を解消しようともせずに強引に仕掛けて、
ヴィルフリートを騙してサインを書かせた悪辣さを全く反省していないんだよなぁ…

そのしわ寄せを自分で請け負おうとは全くしていない上に、
エーレンフェストに被せず、自分だけ負担するハンネローレを見てイライラするとか、
本当に困ったお兄ちゃんだなぁ…
ジルヴェスターは大領地相手だから遠慮しているのかもしれないし、
何だったら、レスティラウトがアウブになってからこの件を持ち出して仕掛けるつもりかもしれません。
それを警戒しているから、ヴェルデクラフは厳しいのではないかな?

それというのもジルヴェスターは嫁盗りディッターの本質をクラリッサから報告を受けていると思うのですよ。
ローゼマインの心の平穏と、ハンネローレの望みを叶えるためにローゼマインには黙っているだろうけど、
側近仲間と保護者にはしっかりと報告しているのではないかと思うのです。
もしかしたらシャルロッテも知っているかもしれません。
そういった内幕は次巻以降で明らかになるのではないかと予想しております。

それはそうと二歳児の時のハンネローレはとても可愛いですね!
舌っ足らずでレスティラウトに置いていかれる涙目の幼女とか、可愛すぎでしょう。
これを無視できるとかレスティラウトは酷いお兄ちゃんですよ。
でもまぁ、こういった兄妹はどの世界でも見ることができるんですけどね。

そんなレスティラウトの第一夫人に誰がなるのかだけど、
レティーツィアが候補に入っているのには驚きましたが、納得ではあります。
現時点では王命があるので無理そうだと認識しているのは安心ですけどね。
あの王命を何とかしようとしたら、絶対にフェルディナンドが邪魔するでしょう。

そしてハンネローレとローゼマインが揃うと厄介事が起こると予想するのは間違ってないんだけど、
二人とも巻き込まれているだけで、二人に責任は殆どないんですよ。
むしろ、二人が厄介事を何とかできる限り平穏に収めているくらいなんですよ!
よくやったと褒めてあげるべきだと思います!

この続きは現在も連載中で完結していないので、続きを読みたくてヤキモキする日々です。
今年はまだ、ふぁんぶっくと短編集も出ますし、
第三部のアニメ化や、引き続いてのコミカライズのお仕事もありますからね…
香月先生もお忙しいとは思いますので、無理をせず書いて欲しいものであります。

余談。

女神から「命を奪うな」という命令が出ている中で、
ヴィルフリートがどうやってバルトルトを処刑するのか?
という疑問が出てきたんですが…
やはり名捧げ石を使って
「バルトルト、自害しろ」
「…ありえない… この私が…」
とかやるのでしょうか!?
ちょっと気になりますw

:: 2023/12/10 日曜日::

■[ラノベ]これ以上ないほどの大団円!「本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第五部「女神の化身XII」」

ついに完結…!
Web版は2017年3月に完結していますが書籍版はWeb版連載開始から10年目にして遂に完結しました。
全33巻(+短編集2冊&外伝1冊&コミカライズ版書き下ろし短編)という長大な物語が、
これ以上無いほどに見事な大団円を見せてくれました。
これほどまでに美しい物語は他に類を見ないですね。
どちらかというと女性向けの作品で、作者も女性なんですけど、
本当に男女関係なく最後まで楽しめる作品でした。

この完結巻は約2/3が加筆&書き下ろしなので、
Web版を繰り返し読んでいる私にもとても新鮮さが感じられました。
まず、フェルディナンド視点のプロローグからして新鮮なんですよね。
ローゼマインはフェルディナンドに全幅の信頼を寄せているから、
彼女の視点で読む本編からだと緊迫感がそれほど伝わってこなかったんですが、
フェルディナンド視点だと手に汗握る緊迫感が半端なく、読んでて動悸がするんですよ。
フェルディナンドにしても神々が関与する事態なんて想定外だし焦燥感が半端ないんですよね…

一年半会えてなかったけれど、
すぐにローゼマインが貴族らしい取り繕いを身に付けたのを察して本音を見抜けるあたり、
フェルディナンドはローゼマインのことをよく理解していますよね。
それに比べて、メスティオノーラに関しては情報が少なすぎるため対処が後手後手になるのは仕方ないかな…
それでもメスティオノーラの僅かな言動から勝機を読み取ろうとするあたりフェルディナンドは優秀ですよ。
なまじ優秀な分、色々と可能性が浮かんで焦っちゃうんですけどね…
ローゼマインくらいに脳天気の方が人生は楽なんだろうなぁ…w

それにしても呪い返しという概念は新しく出てきましたね。
対象者(この場合はローゼマイン)が神々の過剰な祝福で呪い状態に陥った場合、
対象者が他者(この場合はフェルディナンド)に贈った祝福を、その贈られた側が対象者に返すことで解呪する…
という意味で良いのでしょうか?
メスティオノーラが言いたくなさそうだったのは、呪い返しされる対象だからでしょうか?
それと「呪うならば私にすべきだった」というセリフが続編への伏線になっている気がしますね。

「記憶」のシーンも色々と加筆されたことで、フェルディナンドの感情の湿度と重さが凄くなってますね。
同調させられるローゼマインも大変でしょうけど、だからこそ心の底から理解したことでしょう。
第一部ラストで出会ったばかりのフェルディナンドが言っていた、

「……マイン、私は正直、ここまで親に大事にされ、愛されている君が羨ましいと思う。神殿にいるのは、孤児であれ、貴族であれ、親に必要とされなかった者ばかりだからな」

というセリフが紛うこと無き本音だということが。

それとこの時のローゼマインは下町の記憶がないため、一人称が”わたくし”なんですよね。
Web版では”わたし”だったので、良い修正だと思います。

記憶の中でフェルディナンドは実父の「領地のため」「時の女神のお導き」という言葉に諦観を覚えてますが、
アーデルベルトパパはそれなりに息子に対して情は有ったと思うんですよ。
ジルヴェスターもそうですが、この一族は家族に対する情が深いので。
ただ、ジルヴェスターとヴィルフリートにも受け継がれている、
”無神経な言葉を不用意に言って相手を傷つけてしまう”という一族の悪癖が出ているだけだと思うんですよね…
続編が出て、アーデルベルトの出番があれば、そこら辺ハッキリすると思うんですけど…
どうなんだろう…?

「選んだ未来」で平民に戻る選択肢を提示したフェルディナンドですが、
それを選んだ場合、ローゼマインが考えるように名捧げ側近は殉死させられそうだけど、
流石にローゼマインにはこまめに魔術具を渡したりとケアしそうな気がします。
フェルディナンドにとってもっとも大切なものはユルゲンシュミットよりもローゼマインなんですから。
ローゼマイン本人はまだ自覚がないんでしょうけども。

ただ、ルッツを選びそうだと考えているのはフェルディナンドの本音でしょうね。
ルッツとの記憶が一番繋がらなかったことから、そう考えても仕方がないでしょう。
フェルディナンドが珍しく弱気を見せているように見えますが、
同情を引いて関心を買うためなんじゃないかと穿った見方をしてしまいます。

それはそうと、勝てる勝負しかしない主義のフェルディナンドが、
自分より魔力量が多いジェルヴァージオを相手にした時でも弱気を見せなかったのに、
唯一勝てないかもしれないと弱気になった相手が平民のルッツというのが面白いですよね。

「忙しい日々」では色々と加筆がありますね。
Web版では省略されていたので気付かなかったけれど、
ローゼマインがエーレンフェストに一度戻るのも言われて見れば当然でしたね。
フェルディナンドは色々と理由を並べてたけどその本心は、
”ローゼマインに嫁入り準備をさせてあげたい”
じゃないかな、と思うのですよ。

寮の内装の違いとかも興味深いけれど、
ヒルシュール先生のせいで常識がずれているのに笑っちゃいましたねw
ただでさえ中領地と大領地では色々と常識が違うというのにそこにプラスして常識違いがあるとは…
これからも何かと大変そうだな、と思いましたw

そしてユーディットは相変わらず癒し要員ですね…
できればユーディットもローゼマインの側近を続けて欲しいんですけど、難しいよなぁ…
一族全員で移るくらいしないと難しい気がするよ…

「エントヴィッケルン」でも加筆が多い~!
エグランティーヌとの連絡もしっかりしてて、丁寧さがアップしてますよね。
それにダンケルフェルガー出身のクラリッサが活躍してて、色々と納得ですよ。
忙しいだろうけど、ローゼマインに頼られてとても誇らしくて嬉しいことでしょう。
他の側近たちとのやり取りもとても微笑ましいですよね。
この風景を守るためにフェルディナンドは旧アーレンスバッハ貴族を押さえつけるのに、
ユストクスやハルトムートたちと暗躍しているんだろうなぁ…

意外だったのは城から礎の間に入ったことですね。
大規模魔術をやった時に入ってるから当然と言えば当然なんですけど、Web版読んだ時は神殿から入ったのかと…
まぁ、他の貴族に勘ぐられる隙を与えるわけにはいかないし、当然なのかな?
そしてローゼマインが設定したセキュリティーシステムが彼女らしすぎてちょっと笑っちゃいましたねw
フェルディナンドにバレたら呆れられ、こめかみをトントンしながら説教される気がするけれど、
知られることはないだろうから問題ないでしょうw

「エグランティーヌの訪れ」は加筆が少なめでしたね。
エグランティーヌが何を見てローゼマインたちに謝らなければならないと思ったのかを語られる日は来るのかな?
ジェルヴァージオやラオブルートの記憶を覗いたり、国境門での捕縛事件とか、
色々あったであろうことは想像がつくのですが…
短編集で語れると嬉しいんだけど、どうなんでしょう?

それもこれも王族の自業自得なのでこれから頑張ってもらうしかないですね。
王命を遵守してレティーツィアがアウブ・アーレンスバッハになるためには、
トラオクヴァールが興したブルーメフェルトが分割されるか改名される必要がある気がするんだけど…
どういった手段を取るのかは続編以降のお楽しみですね。

「婚約式」は加筆のせいでボニファティウスのうっとうしさが増量してる気がする…!w
ヴィルフリートの素直な優しさは微笑ましい美点だと思うんだけど、
それによって被害が色々と出てるのがとてもヴィルフリートらしいと思うのです。
婚約式のセリフの全文はドラマCDや来年の短編集でわかるのかな?
ドラマCDを予約したのが今月頭だったせいで、まだ届いてないんですよね… 早く聞きたい…!
そしてあのシーンに挿し絵があるのはとても「わかってらっしゃる!」と思いました。
大変結構ですよ!

「アウブの宣言」はWeb版からほぼそのままでしたね。
慈悲を恵む女神の化身ではなく、自費で賄わせる商人聖女って感じに加筆されてましたねw
地方のギーベがどんな感じなのかは相変わらずまだわかりませんが…
フェルディナンドが過保護すぎるからローゼマインの一人称だと続編でもしばらくわからない気がします。
ビンデバルト伯爵みたいな愚物は今のうちにフェルディナンドが潰すんだろうなぁ…
ローゼマインの心身の平穏のために、じっくりと潰して貰いたいものです。

「研究所と図書館」はちょいちょい加筆されてますね。
ダームエルとのやり取りが追加されてて嬉しかったです。
ちゃんとダームエルが側近を続けてくれるかどうかは、ローゼマインにとっても重要ですしね。
ただ、読者の大半は隠し部屋でのフェルマイにニヤニヤしたことでしょう。
当然私もニヤニヤしちゃいましたけどね!

「エーレンフェストへ」からはほぼ書き下ろしですね。
フェルディナンドが魔王っぷりを発揮する悪辣さを色々と知ることができないのが残念だよ!
ゲオルギーネ派残党や親ベルケシュトック派を叩きつぶす準備をしまくってるんだろうなぁ。
ローゼマインの考えている通り殺しは無理だろうけど、事故死は多発すると思うんだよね…
神からの罰の実態を知るために罠に掛けて邪魔者同士を殺し合わせそうな気さえするよ…!

教科書を貰って喜ぶローゼマインは変わってないですけど、
ローゼマイン本人が申告しているように、男女の機微は勉強不足だと思うのですよ…w
頬を撫でられるのを、頬を摘まむお肉がなくなったからと考えてるあたり、
本当に情緒が足りてないというか…w

オティーリエからの心配というか助言はとても真っ当なだけに貴重ですよね。
地縁がない土地での結婚と子育ては、システムが整った現代の日本でも大変なんですから。
フェルディナンドとその名捧げ側近組はそういったところが疎いでしょうからね…
ゼルギウスとシュトラールの奥さん方がこれから重要になってくる気がします。

そしてヴィルフリートの迂闊なところがここでも出ちゃってる!
そんなんだからハンネローレ貴族院五年生でもやらかしちゃうんだよ!
これからもシャルロッテからのお小言がずっと続くんだろうなぁ…w
ローゼマインと違って自分の側近の将来も全く考えてないだろうし、
本当に困った領主候補生になったもんだけど…
それもこれもヴェローニカの教育結果なだけに、彼がこれから背負っていく呪いなのでしょうね…

「基本色の調合」はこういった細かい設定を本当によく考えるなぁ、と思いますね。
それと筆頭文官になるためのハルトムートのやる気が凄いけど、ハルトムートならやり遂げるでしょうね。
そしてローゼマインの側近が若い者だらけなのは本当に例外だらけなんですね。
だからこそローゼマインが一から作りあげることができたんでしょうけども。

レオノーレは嫁入りしているようなものだし、嫁ぎ先がコルネリウスだから親族の反対もないだろうけど、
確かに嫁入り準備期間が短いのは大変でしょうね。
ほぼ同じ立場のアンゲリカは妹のリーゼレータにほぼ丸投げなあたり、
とてもアンゲリカだなぁ、と納得しましたけれど…w

「アウレーリアの立場」ではきちんと貴族の実家にも挨拶ができてて嬉しかったですね。
そしてダームエルとのことでからかわれるフィリーネがとても可愛いですね。
今までも短編では側近仲間にからかわれてたのに、
そこに主であるローゼマインが加わったのだからたまらないでしょうw
あと、「ダームエルはそんなことをしてくれません!」には笑っちゃいましたw
来冬発売の短編集3では祈念式で二人の間にどのようなことが起こったのかが収録されることを期待していますよ!

久しぶりの登場のミュリエラが生き生きしてて楽しそうで微笑ましいですね。
今のところローゼマインが作りあげた図書館都市の理解者に一番近いのが笑っちゃったな。
おそらくローゼマインの理想を一番理解してくれるのはソランジュ先生だと思う。
次点がミュリエラとリュールラディではないでしょうか?

アウレーリアの父がエックハルトに始末されたのはふぁんぶっく8で知ったけど、まぁ、そこは予想通りでしたね。
そしてローゼマインにはその裏側が知らされてなかったのも予想通りでした。
レオノーレとハルトムートなら察することができるだろうけど、二人がローゼマインに教えることはないでしょう。
ローデリヒなら調子に乗って言いそうになるかもしれませんが、間違いなくまたヴァッシェンで黙らされますねw

それにしてもガブリエーレの肖像画を飾ってるとかライゼガングのひいお爺ちゃんが狂気すぎる。
ローゼマインは「恩人ならともかく」と言ってるけど…
それをレオノーレがそのまま伝えた結果、ローゼマインの肖像画が飾られることになる未来が見えますね…!
アレキサンドリアに移ったヴィルマの初めての仕事がそれになるんじゃないかな…?w

アウレーリアが連座にならないのは予想できてたけど、ちゃんと確証が得られて良かったです。
さすがにフェルディナンドもローゼマインが懇意にしている義姉を処分することはできなかったのかな?

「母の激励」でジークレヒトと会えたのは良かったですね。
次に会えるとすれば…、洗礼式には参加できるのかな? ヘンリエッテの洗礼式にも参加しそう。
エルヴィーラとの会話も一年前と同じ部屋なのに雰囲気が変わっていて嬉しいですね。
ローゼマインの偉業を表面的なことではなくその本質を突いて素直に褒めることができるのは、
貴族の実母であるエルヴィーラにしかできないでしょう。

そして防衛戦での情報連絡が予想以上にされてなかったのにはカルステッドたちにガッカリだよ!
まぁ、カルステッドらしいとは思うけどね! そんな暇はなかっただろうし! 機密性高いし!w
騎士団長の第一夫人はこういったところも耐えないといけないんだから大変だ。
コルネリウスは恋愛結婚なのだし、レオノーレのことをしっかりと気遣ってあげてくださいよね!

そして母親からの心配と、夫を持つ者の先達としての助言がローゼマインの不安を溶かすのは良いですね。
嫁入り前の娘と母親との語らいっていうのはこういうものなのでしょうね。
独身の私には全く想像ができなかったシチュで新鮮です。
そしてしんみりした雰囲気をぶっ壊すくらいにエルヴィーラの恋物語好きっぷりを見せつけられて笑っちゃいましたね!
そうだよね、フェルディナンド救出劇は創作意欲を刺激しまくりだよね…!
エルヴィーラが捏造…、もとい、考えた婚約魔石の言葉も気になるところです…!

「神殿の側仕え達」の冒頭でカルステッドの館の側仕えたちとのやり取りが有ったのは丁寧で嬉しかったですね。
幼女時代のローゼマインの可愛さを知る、数少ない人たちですからね。
エルヴィーラが厳選したからこそ、良い人が揃っていたんでしょう。
本当にエルヴィーラの母としての愛情は素晴らしいですね。

神殿に着いたら懐かしい面々に会えるんだけど…
フランとザームが慣用句として言ったことをそのままの意味で受け取ることができるのはローゼマインだけ!w
ここでもユーディットが良い仕事をしてくれるんですよねー
本当に彼女が護衛騎士でいるのは癒しなんだよなぁ…w

ディルクは元気そうで良かったけど、これから大変だろうから頑張るんだぞ!
ふぁんぶっく8で明かされた身食いの特性をローゼマインが周知させれば、
ディルクも結婚相手も見付かる可能性があるとは思うんだけど…
今のところ一番可能性があるのはブリギッテの娘のリラローゼくらいしか私には思いつかないな…

あの悪童だったギルが孤児たちの目標になるくらいまで成長したのは感慨深いなぁ…
将来的にルッツと一緒に書店を開くみたいな話をどこかで読んだけど、おそらくそうなるでしょうね。
その場合はフォルクみたいに妻帯者になる可能性もあるので、本当に楽しみです。

そしてデリアの出番まであるとは思いませんでしたね。
挿し絵までバッチリ有って驚きましたけど、嬉しかったです。
ローゼマインの気遣いも丁寧で、デリアと言えば忘れない「もー!」も健在で微笑ましかったですね。

「商人達との話し合い」でメルヒオールに釘をさすローゼマインは現実をよく理解していますね。
弟妹には優しいけれど、教育には甘さを許さないのはフェルディナンドの教えが感じられます。
この分なら将来生まれる我が子への教育も大丈夫そうですね。

ミルダは本編では初登場だけど、見た目はコリンナさんでも中身はわりとベンノさんだったよ!
これはプランタン商会エーレンフェスト支店の将来も安泰だね!
そしてベンノさんはとても有能すぎるね! 頼もしい!
転移陣を使って引っ越しは私も考えてたけど、寮経由なのは想定外だったなぁ。
まぁ、グーテンベルクの荷物も嫁入り道具みたいなものだと強弁して渋る文官を説得するんだろうなぁ…w
引っ越しに護衛にダームエルが付くだろうとは予想していたけれど、シャルロッテが頼むのは想定外でした。
というかシャルロッテが頼もしすぎる!
やはり次期アウブとして防衛戦で活躍したのが経験として大きかったのかもしれない。

「就任式の衣装と図書館の閉鎖」この時の衣装が表紙になっているやつですね。
フロレンツィアもちゃんと母親だったことがわかって嬉しいですね。
そしてラザファムが大人しそうな顔をしてたのに内面が過激で驚いちゃったよ…!
そりゃエックハルトと仲良くできるわけだよ!
彼がヴェローニカにどのような目に遭わされてきたのか知るのが怖い!

「エーレンフェストとの別れ」ではリヒャルダともう会えないのが寂しいですね…
早く遊びに来られるくらいにアレキサンドリアを発展させたいね…
別れの女神ユーゲライゼが象徴するのは巣立ちだというのがよくわかる別れでしたね…
ここで挿し絵を入れるのは読者の涙腺を刺激しすぎだと思うんだ…

そして感動的な場面の直後にヴィルフリートの無神経さがここでも発揮しちゃってて台無しだよ!
本質を突く洞察力はあるけれど、それをオブラートに包む気遣いができないのがヴィルフリートの致命的な欠点だよ!
そしてボニファティウスはじじ馬鹿がすぎるよ! でも愛情がたっぷりだよ!
そんな貴族の家族の愛に囲まれていたローゼマインは幸せだったんだなぁ、と感じますね…

「就任式の朝」は冒頭からエーレンフェスト貴族のレベルは低さが出てて残念でしたね…
ローゼマインがエーレンフェストの領主候補生だったから勘違いしてるのかもしれないけれど、
上位領地を相手に平身低頭なのがエーレンフェストの社交だったのに、
これから上位の大領地のアウブとなるローゼマインを相手に無礼すぎると考えられないあたりが本当に残念です。
これからシャルロッテが改革していくんだろうけど、これから大変だろうなぁ…

衣装の噂に関しては表紙を見た時に読者の大半は察していたよ!
ローゼマインが意図せず選んだろうとは思ってたけど、周りは当然理解していたんだね!
二人の仲にもニヤニヤできるけれど、
ダームエルとフィリーネのこともニヤニヤできますね!
これはコルネリウスがレオノーレのことを秘密にしていたのが正解だったとよくわかる光景ですよ…w

ユーディットはまだ悩んでるけれど…
もし自分がローゼマインの側近を続けられなくなっても、
自分の子供にアレキサンドリアの貴族と結婚させてローゼマインの子供の側近にさせる可能性はゼロではないと思う…!

側近を既に辞しているけれど、ブリュンヒルデともきちんと会話できたのは嬉しかったなぁ。
そう考えると、立場上仕方ないとはいえブリギッテとお別れできなかったのだけが心残りだなぁ…
成人したらダームエルたちを迎えに来るから、その時に会えると期待しておきましょう。

「就任式」でマグダレーナが第一夫人になってる!
可能性は高いと思ってたけど、フェルディナンドが言うように、それをトラオクヴァールが決断できるとは思わなかったのです。
防衛戦の時にマグダレーナが代わりに動いたように、妻たちが話し合って勝手に動いたんだろうね。
妻たちはトラオクヴァールがツェントになる前から惚れて支えてきましたからね。
アウブになったからといって離れるなんてしないでしょう。
ラオブルートには裏切られたけれど、女性の縁には恵まれてると思いますよ、トラオクヴァール様…!

そして金粉がやはり金粉のままなのには呆れて笑いが出ちゃいましたね。
この傲慢さがハンネローレ貴族院五年生にも続いてるんだなぁ…、と容易に想像出来ちゃいましたよ。
即座に離婚を決めたアドルフィーネは本当に優秀ですよね。
来年の嫁盗りディッターで思いっきりやっちゃってください!

舞台に歩きながらの回想で、本当にこの物語が完結するんだなぁ、としんみりしちゃいましたね。
まぁ、その後にフェルディナンドの罠に掛かって不満を出す下位領地の面々が場違いで苦笑しちゃったけど。
そうかー、確かに下位領地は騒動の顛末どころか、ローゼマインがメスティオノーラの書を持っていることも知らないのか。
トラオクヴァールが継承の儀式で具体的に何を説明したのか知らないからこそ、気付かなかったなぁ。
不満を言い出した領地はおそらくインメルディンクじゃないかな?
あとは女神の化身に慈悲を恵んで貰えなかった元負け組領地の面々でしょう。

エピローグの「帰宅」はWeb版の頃から何度も読み返した最高のエピローグですね。
この感動は読者の心が感じるものでしょうから、多くは語りません。
ラストの挿し絵のローゼマインの笑顔が、マインの笑顔だったことが全てを物語っていると思います。
巻末収録のカラー口絵や、描き下ろし漫画を含めて椎名優さんは本当に良い仕事をしてくださいましたよ!
神に感謝を!

それと特典SSですが、トラオクヴァール視点でしたね。
おそらく時系列的には就任式より前になるでしょうか?
息子のジギスヴァルトとは違って、エグランティーヌをツェントとして敬っているのが伝わってきました。
ベルケシュトックの城を拠点とするのには驚きましたけれど、
トラオクヴァールが述懐してた理由を読んで納得しました。
ラオブルートに裏切られたのがトラウマになってるんだろうなぁ…

トラオクヴァールは政変の被害者だけど、加害者でもあるんですよね。
旧ベルケシュトックの統治は難しいけれど、やり甲斐はあると思うので、
粉骨砕身して頑張って欲しいところなんですけれど…
レティーツィアへの王命とヒルデブラントとの婚約を考えると、
そのままレティーツィアに譲られそうな気がしないでもないですけど。

時の女神のお導きは続編への伏線ですが、これの詳細も早く知りたいんですよね!
あぁ、早く読みたい…!
まずは来夏のハンネローレ貴族院五年生ですね!

それとこれを読んで思ったのですが…
フェルディナンドがトラオクヴァールに怒った理由は、自分との契約だけでなく、
先代ツェントと先代アウブ・エーレンフェストの契約も反故されたからなんじゃないかな?
と思いました。

責任有る者の無知が罪であることは幼い頃のヴィルフリートと同じですからね。
トラオクヴァールの立場上難しかったとはいえ、今まで無知であったが故にどれだけ被害をもたらしたのか、
これから身をもって知ることになるでしょうが、
アウブとして魔力を捧げる達成感を得られるでしょうし、
支えてくれる妻が三人もいるので、立ち直って、
誠心誠意罪を償ってくれることを期待しましょう。

:: 2023/5/13 土曜日::

■[ラノベ]王族への糾弾と神々のやらかし「本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第五部「女神の化身 XI」」

(注)メチャクチャ長いです。

ランツェナーヴェ王ジェルヴァージオとそのシンパであるラオブルートとの戦いも、
ローゼマインがメスティオノーラをその身に降臨させるという驚天動地の事態が起こったため、
国境門を使ったツェントレースで平和的に競い合うことになったと思いきや、
悪辣な手段でフェルディナンドはジェルヴァージオを廃するのだった…!

プロローグはフェルディナンド視点で書き下ろされているんですが、
ここにもWeb版では知らなかった情報が沢山有って驚きですね。
アーレンスバッハに残っている貴族にディートリンデ派が残っているのは理解できるのですが、
そいつらがまだ諦めずリーゼレータたちを攫って脅迫しようと企むとか、頭が悪るすぎて呆れました。
まぁ、ディートリンデなんてアホの子に味方しているから、
当然その支援者も状況把握もできないアホの子なんだな、と考えると納得です。
リーゼレータを人質にされたら自分や親族のメダル破棄で脅迫されても文句言えないんやで…?

フェルディナンドがディートリンデのアホっぷりが知られてないことを懸念して、
これを機会にしっかりと格の違いを知らしめるために儀式をやるのは流石ですね。
そして、ローゼマインの言動の僅かな差異で女神の降臨の副作用に気付いたハルトムートも流石です。
メスティオノーラとのやり取りがフェルディナンドの回想で語られてましたが、
状況把握能力とローゼマインの思考トレースっぷりも流石の一言でしたねw

それにしても女神の降臨とか、フェルディナンドにとっては完全に予想外だったはずなのに、
それの影響を組み込んで、王族たちに思い知らせる手段とするのは凄いですよね。
そりゃ魔王として恐れられるのも、さもありなんって感じですよ。
それでいて名捧げ側近たちにはちゃんと自らが名捧げすることに了承を取るんだから、
命を預かる主としてちゃんとしてるなぁ、と思いますね。

王族との会議はWeb版から細かい部分が加筆修正されていて、より分かりやすくなっていましたね。
許可証として渡されたジギスヴァルト王子からの求愛の魔術具を見事に金粉化するシーンも、
少し加筆されたことで分かりやすくなっていました。
魔力量の差に気付けないままに求愛した身の程知らずなジギスヴァルト王子…w
目の前で「私が贈った魔石の髪飾りは金粉化していないぞ?」と見せつけるフェルディナンドは、
とても良い顔をしてただろうなぁ、と思いますね!
このシーンに挿し絵がないのは残念でした。

色々と失伝してしまっていて無知すぎる王族への通達ですが、細かく修正されてますね。
王族が全ての原因だと断定することで罪深さを思い知らせて、
次々と要求を突きつけるローゼマインを見ていると胸がすく思いです。
正にタイトル通り、下剋上で身分が逆転したことで、
今まで無茶苦茶な要求をしてきた王族を逆にやりこめる展開なのは、
とてもざまぁ!感が有って気持ち良いのです。

ちなみに加筆部分である、

「本は二冊が良いですか?」
「いえ、違います」

のところはメッチャ笑いましたねw
とてもローゼマインらしいセリフでしたw

それとフェルディナンドが意図していた「王族がグルトリスハイトを得る」ということですが、
おそらくは、ツェントとして君臨するからにはグルトリスハイトを王族が取るように心掛け、
それによって生まれる軋轢は王族として責任を持って対処する…、
ということだったのではないでしょうか?
王命で無体な婚約を強いるくらいなら、
それくらい最低限の責任を取るだろうと思っていたのに、
実際は
”ローゼマインにグルトリスハイトを取らせてエーレンフェストから奪い、美味しい権力だけ貰って責任は全てエーレンフェストに押し付ける”
という愚かで恥知らずなことをしようとしたんですから…
そりゃキレられても仕方ないよなぁ、と思うのです。

それにしてもトラオクヴァールに脅しつけるフェルディナンドの姿は、
商人聖女のローゼマインがジギスヴァルト王子に脅しつけていたのとそっくりで、
二人はとても似たもの師弟というか、似たもの夫婦だな、と思うのです。

身分差が逆転したことに気付いてない愚かなジギスヴァルト王子をアドルフィーネが止めなかったのは、
やらかして汚点を着けることで離婚しやすくなるのを狙っていたのかな? と考えています。
まぁ、まさかここまで愚かだとは思ってなかったかもしれませんが…

あとがきからジギスヴァルト王子はちゃんと礎を守っていたつもりだったと知って納得しましたが…
アナスタージウス王子から、国の礎が貴族院にあると聞いてなかったんでしょうか?
まぁ、自分に都合の悪いことは聞こえない耳を持っている親子ですからね…
聞いてたとしてもスルーしている可能性は非常に高そうです。
どちらにしろ、礎の位置という最重要項目を失伝している時点で王族失格なんですけどね。

感情を揺らしたローゼマインが父さんとの記憶を僅かに思い出しているシーンはとても切ないです。
早く記憶を取り戻して欲しくなります。
あと、不安定になってしまうローゼマインを気遣って言葉を尽くすグレーティアが良い子すぎるし、
ノリノリのクラリッサには笑っちゃいますねw

ジギスヴァルト王子のクズっぷりとトラオクヴァールのダメっぷりが露呈するシーンですが、
これでもまだ序の口なんですよね…
書店特典SSのアドルフィーネ視点ではもっと酷いところが見えてくるんですよ…!
トラオクヴァールは本当に隙あらば責任から逃れようとするし、
ラルフリーダ王妃はラオブルートを推薦した元凶の一人なのに被害者ムーブだし、
ジギスヴァルト王子はローゼマインに散々思い知らされているのに、
アドルフィーネやアナスタージウス王子相手には強気に出て身勝手な要求を押し通そうとするし…
本当に王族はクズだし、全く反省していないんだな、というのがよく分かります。
無責任なクズたちに、強制的に責任を取らざるを得ない立場につかせるフェルディナンドは、
彼らのクズっぷりをよく理解しているなぁ、と感心しまくりです。

エグランティーヌが(消去法で他に選択肢がなかったとはいえ)ツェントに立候補していますが…
私は前巻でトラウマから離宮で震えている姿の印象が強く、
守られるお姫様気質が抜け切れてないと勘違いしてました。
だから、今回も仕方なくツェントに立候補したのだと思っていました。
ですが、書き下ろしSSの「始まりの庭と誓い」を読むと、
ちゃんと責任感と覚悟を盛っているのがわかって驚きました。
ローゼマインのことを意外と的確に把握しているし、
中継ぎとしては期待できるのではないでしょうか?

とはいえ、ローゼマインが考えている通りに、争いが起こらないことを優先している上に、
ちょっと視野が狭いというか、近視眼的ではあるんですよね。
実際、エグランティーヌがグルトリスハイトを得ていたらラオブルートの裏切りも不発だったろうし、
アーレンスバッハやエーレンフェストの貴族に犠牲が出なかったでしょう。
この後、ジェルヴァージオの記憶を読むことで色々なことに気付くことでしょうが、
そこから成長することを願うばかりです。

それとヒルデブラント王子ですが、可哀想だけど自業自得なんですよね。
Web版よりもフェルディナンドの優しさが感じられる諭し方だな、と思った直後に、
泣いている子供は邪魔だと放り出すあたり、とてもフェルディナンド様だと思いました…w

領地の線引きを決めたのは主にフェルディナンドでしょうけど、
旧ベルケシュトックをトラオクヴァールに押し付けたのは英断ですよね。
エピローグによると一応側近たちの意見も募ったみたいですが、
旧ベルケシュトック貴族がエーレンフェストに侵攻したから、
エーレンフェストとの今後の関係を考えると抱え込みたくないでしょう。
それに、政変の粛正をやらかしたトラオクヴァールに強制的に責任を取らせるという意味でも、
とてもアリだと思います。

エグランティーヌをアダルジーザの離宮の住まわせるというのは、
日本の江戸時代で考えると、五摂家の姫を吉原に住まわせるようなもんでしょう。
まぁ、それを良しとしたジギスヴァルト王子が全部悪いんですけどね。
そりゃアナスタージウス王子も特典SSで兄を見限るよなぁ、と思うのです。

エグランティーヌは新ツェントとして女神の化身の都合を最優先にするように、
責任から逃げないようにと今からフェルディナンドに躾けられてますが、
本来は言われるまでもなく出来るべきなんでしょう。
それも手本となるべきトラオクヴァールが責任から逃れてばかりという、
見本として悪すぎたのも一因じゃないのかな、と思います。

それにしても特典SSでもそうですが、機を見るに敏なアドルフィーネは頼もしいですね。
フェルディナンド様も考慮できていなかったドレヴァンヒェルの損得も、
しっかりと主張して確保しているし、とても有能だと思います。
フェルディナンドとローゼマインを怒らせるような迂闊なこともしないでしょうし、
(あくまで貴族としてですが)良い関係を築けそうな気がします。

奉納舞に挿し絵が有るのは嬉しかったですが、
その直後にローゼマインが痛い目に遭うのはキツいですね。
Web版から加筆されたことで、より痛くなったので尚更です。
神々のやらかしっぷりが凄いですけど、
それに報復するフェルディナンドも凄いな、と書き下ろしSSで思い知ったのでした。
いやはや、フェルディナンドは本当に悪辣でえげつない…!

国の礎への魔力供給ですけど、エグランティーヌは染め変えが大変そうですね。
とはいえ、ローゼマインは身食いなので今までの経験上染め変えやすいはずなので、
回復薬を大量にがぶ飲みすれば季節一つ分もあればなんとかなるのではないでしょうか?
とはいえ政務を考えるとあまり余裕はないでしょうね…
最優先は礎の染め変えで、次に古語の勉強をしつつ、中央神殿の神殿長としての勉強もして、
祈りを捧げて暇を見て祠巡りをして、魔力も圧縮して伸ばさないといけないでしょうから…
続編である「ハンネローレの貴族院五年生」の時点で、
まだメスティオノーラの書を得ていないのも当然でしょう。
それだけ忙しいのも歴代の王族の怠慢の結果なので先祖を恨むしかないんでしょうけども。

魔力枯渇計画で加筆された外傷を前提にした薬ですが、
渡した相手というのはおそらくジェルヴァージオでしょうねw
前巻で確かに薬を渡してましたが、普通の薬なはずがないとは思ってましたよ!
てっきり効果が低いだけだと思ってたけど、そんな程度ではなかったよ!
流石はフェルディナンド様! 本当に悪辣でえげつない!w

冬の到来を早めるという意味を知らされて赤面するローゼマインは可愛かったけれど、
フロレンツィアはもっと早く教えてあげるべきでしたね…w
性教育はエルヴィーラとフロレンツィアがお互いにやっているだろうと考えていたせいで、
放置プレイだったローゼマインが大変な目に遭ったよ!
うーん、悲劇。

それにしてもやはりフロレンツィアはローゼマインが平民だったと知らないみたいですね。
Web版よりわかりやすく加筆されてました。
まぁ、流石にこれだけ重要な情報がポロポロ出てきたら気付くんじゃないかな?
とは思うんですけども。

アーレンスバッハでの魔力枯渇計画ですが、脳天気なアーレンスバッハ貴族には怒りが湧きますが、
ハルトムートとクラリッサがきっちりと躾けようとしているのは安心しました。
ディートリンデのようなアホを推戴していたアホ共は、
全員洗脳して馬車馬のように酷使するべきですよ。
ローゼマインとフェルディナンドの半分でも努力してから意見を言うべき。

虹色の巨大なレッサーくんが空を飛ぶというのは挿し絵で見たかった気がしないでもないですが…
まぁ、いつか第五部がコミカライズされるでしょうし、何年か後には見られると期待しています!
それとローゼマインに魔力感知が発現していることがレオノーレには伝わったみたいですが、
正確には講堂の戦いの時には既に発現していたのでしょうね。
フェルディナンドの魔力を察知できなかったのはほぼ同質の魔力だったからでしょう。
今は神々に染め変えられたため、フェルディナンドと魔力の質が違っているので、
感知することができた、ということなのかな?

マイン時代から追い詰められたら早口で次々とアイディアを出してくるローゼマインですが、
それをフェルディナンドはちゃんと把握してたんですね。
そして、そのお陰で解決の糸口が見付かるんだから何が幸いするのかわかりません。
エアヴェルミーン様も髪の毛を切られた甲斐がありましたね!

大規模魔術を前に、記憶を断たれたローゼマインの家族感が貴族よりになっているのを知り、
フェルディナンドはとても悲しいだろうな、とは思ってましたが…
まさか死なば諸共とまで思い詰めているとは思いもよりませんでした。
うーん、中々に愛が重いですね…!

大規模魔術を行っている時のイラストがカラー口絵でありましたが、
まさかローゼマインたちの描写にも挿し絵があるとは思いませんでした。
ガスっと刺されたエアヴェルミーン様の枝が挿し木みたいで、
ここから生えてきそうだな、と思ってしまった…w

エピローグがグレーティア視点だと予告されてて意外に思ってましたが、
名捧げ側仕えだから身近で待機しているため適役だったんですね。
一緒に待っているユストクスの有能さと変態さの両方を感じているのを見て、
親族枠でエスコートを頼む伏線なんだな、と感じました。

それにしてもグレーティアは寡黙で真面目だとは思ってましたが、
予想以上に献身的で驚きました。
そして同時に嬉しかったです。
命を繋ぐため、今の状況から逃げるための仕方なくでの名捧げではなく、
救ってくれたからこそ、忠義を捧げる名捧げであることが伝わりましたから。

そして、彼女が置かれていた境遇もまた予想以上に酷くて驚きました。
女性らしい体付きになったローゼマインへの助言からある程度は察してましたが…
ここまで明文化されてしまったら、ね…
ギーベ・ヴィルトルとその長子は死んで良かったですよ。
そりゃギーベ・ヴィルトルの息子であるラウレンツやベルトラムへの当たりが強いわけですよ。
むしろ強い程度で済んでいるあたり、グレーティアは優しいとまで思います。

グレーティアは最後にローゼマインから教えられた祈りの基本を心から理解したシーンは、
とても印象的で素晴らしいものでした。
良いエピローグだったと思います。

ハンネローレ視点で書かれた継承の儀式ですが、
こちらもWeb版から加筆されている部分があって、そこがまた面白くなっています。
元々身長が低いハンネローレがローゼマインに抜かれて衝撃を受けたことが加筆されてましたね。
ハンネローレ様には申し訳ないけれど笑ってしまいましたw

それと、この時点ではメルヒオールが次期アウブだと認識されておらず、
ヴィルフリートが次期アウブのままだと認識されていないんですね。
それが続編の「ハンネローレの貴族院五年生」に続いていくんだなぁ。

それとジークリンデに睨まれるレスティラウトが挿し絵にありましたが…
本当にレスティラウトは困った次期アウブだな、と思いますねw
加筆された部分に婚約者のアインリーベのセリフがありましたが、
ダンケルフェルガーの女性らしい強さが感じられたので、
ちゃんと尻に敷いて欲しいものだと思います。
実際、レスティラウトってかなりの問題児ですから…

それと平民の漁師視点である「新しいアウブのすげぇ魔術」ですが、
平民はアーレンスバッハでもエーレンフェストでもあまり変わらないな、
というのが分かって少し嬉しかったです。

そしてやはりディートリンデは平民からも嫌われてたんですね。
まぁ、当然と言えば当然ですけど。
前がクズすぎるからこそローゼマインは歓迎されやすいので、
丁度良い踏み台だったんでしょう。
とはいえ、被害に遭っていた平民にとってはたまったもんじゃないですよね。

読者は間違いなくハルトムートだと確信できる声を聞いて、
ローゼマインを称えるように神に祈りを捧げ、
大規模魔術の結果を見て更に崇拝度を高めているのを見ると、
とても微笑ましくなりました。
最後はこの漁師の視点なのは、とてもよく話の構成が練られていると思います。

それとドラマCD9も通販で届いたんですが、
ジルヴェスターは本当にフェルディナンドを弟として可愛がってるのがわかって面白かったです。
そして、ジェルヴァージオを廃したやり方を悪辣だと感じたり、
リヒャルダにローゼマインの状況を尋ねるのは予想通りでした。

さて、次は遂に最終巻なんですが、今冬になるんですね…
三分の二が書き下ろしということなのでWeb版既読の私もメチャクチャ楽しみにしています!
領主会議の初チュー事件も書き下ろされると期待していますよ!
ドラマCD10にも特典SSが付くと思いますし、今から楽しみでなりません。

それと、完全に余談なんですが…
本好きの下剋上が好きすぎて待ちきれなくてSSを書き殴ってたらかなり溜まってしまい、
それをpixivに投稿したらルーキーランキング1位になってしまいました。

今はこの新刊とドラマCDを何度も読み返してますが、
来月になったらまた更新し始めると思うので、
暇が有ったらpixivの方も覗いてみてください。

:: 2022/12/11 日曜日::

■[ラノベ]女神の降臨「本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第五部「女神の化身X」」

フェルディナンド様も無事に救出でき、
ゲオルギーネによるエーレンフェストへの侵攻には防衛成功したローゼマインだったけれど、
中央騎士団長ラオブルートによる本命の計画は未だ進行中であり、
ランツェナーヴェ王ジェルヴァージオはメスティオノーラの英知に王手を掛けており…

書籍版完結までこの31巻を含めて残り3冊!
今回もWeb版からの本編加筆多数に加えて、
ローゼマイン視点以外の短編が大幅に書き下ろされているので、
Web版読者の満足度もメチャクチャ高いと思います!

本編はローゼマイン視点なので、
どうしても緊迫感というのが薄くなってしまうんですけど、
他の人たちからの視点で読むとヒリヒリするくらいに緊張しましたね!
特に最後に書かれていたフェルディナンド様視点からは、
本当にギリギリのところでもぎ取った勝利だったんだな、というのが伝わってきます。

ただ、ローゼマイン本人は今回自覚したようにとても過保護にされているので、
フェルディナンド様は余裕で完封したように見せているのが面白かったです。
ローゼマインも悪辣な策を即座に思いついて実行すると言われてましたが、
やはり師であり本家本元のフェルディナンド様は更に上を行きましたね…!

もちろんフェルディナンド様が学生時代に宝盗りディッターに興じた経験があってこそですが、
その策を実行する下準備をローゼマインが奇想天外な手段で整えていたのが面白かったです。
ジェルヴァージオは魔力量は圧倒的だし、権謀術数にも長けているけれど、
領主候補生の講義を受けたこともなければ、メスティオノーラの英知も欠けてますからね。
フェルディナンド様とローゼマイン様のコンビプレイの勝利と言えましょう。

そしてジェルヴァージオ視点で見ると本当にローゼマインはわけがわかりませんよね…w
未成年の女性なのに戦いの最前線に出てきてるわ、
祝福の重ねがけしても神々の加護で魔力消費量が減ってて平然としてるわ、
殺し合うことを命じられながらフェルディナンド様と共闘してるわ、
未知の手段で女神をその身に降臨させるわ、
神々も知らない呪文で魔法陣を完成させるわ…
フェルディナンド様と違って耐性がなかったのも敗因の一つかもしれません…w

フェルディナンド様も王族に関しては完全に見切りをつけて、
戦局を有利に進めるための駒としてしか使ってないのが容赦ないというか…
まぁ、ローゼマインのことを何よりも大切だと自覚して自らの望みを叶えるためだからこそ、
それ以外には本当に遠慮しなくなったんだろうなぁ…

ジークリンデ視点のエピローグでは一般的な貴族の価値観がわかりましたが、
十年以上ユルゲンシュミットへ尽くしてきたからか、
トラオクヴァールの人望が意外とあったのには驚きました。
実際には次巻でローゼマインが詳らかにしますが、
無自覚に国を崩壊させるレベルの墓穴を掘ってしまい、
そうと知らずに必死に埋め戻そうと奮闘してただけなんですよね。

しかも、ラオブルートを騎士団長にすることで更に墓穴を掘り進め、
唆されて王命でフェルディナンド様を苦境に立たせたわけで…
それを知っているローゼマインやフェルディナンド様がトラオクヴァールを信頼するかというと…
トルークのことを抜きにしてもそんなはずがないんだよなぁ…

アナスタージウスはローゼマインに促されたとはいえ王子として先頭に立って戦ったし、
マグダレーナ様は王妃なのにマジダンケルフェルガーだったりと奮闘しましたが、
どちらもラオブルートに騙されていたことに気付かなかったツケを払って、
何とか帳尻を合わせようと奮闘していたにすぎないのですよね…
警告を発し続けていたエーレンフェストからすると、功績があるとは見なせないと思います。

それにしてもマグダレーナ様は予想以上に大活躍でしたね。
彼女がいなければトラオクヴァールはアッサリとはるか高みに上がっていっていたことでしょう。
トラオクヴァールの一番の功績はマグダレーナ様を第三夫人に迎えたことでしょうね。
逆に第一夫人のラルフリーダに推薦されたからとはいえ、
碌に過去を調査せずにラオブルートを騎士団長に任命した責任はとても重いですが…

他の王族だと…
ジギスヴァルト王子の見せ場はある意味で次巻ですねw
ヒルデブラント王子は本当に可哀想だとは思いますが、
自分の望みを他者にわかるように見せてしまった脇の甘さが原因でしょうね…
責任はあるけれど、父であるトラオクヴァールの責任の方が大きそうな気がします。

そしてエグランティーヌ様ですが…
幼い娘が居るとはいえ、王族でありながら最前線に立とうとせず、
アナスタージウス王子に守られるだけ、というのがとても甘えているように思えました。
ダンケルフェルガーのハンネローレ様のように最前線で戦えとは言いませんが、
せめてシャルロッテのように後方支援で活躍するくらいはして欲しいですね。
二人と違って成人しているのですし、そもそも王族なのですから。

エグランティーヌ様には幼い頃のトラウマが重くのし掛かってるのでしょうが、
何度も襲撃を受けてきたローゼマインや、
一度攫われ、姉が2年も眠る悲劇を経験したシャルロッテにもトラウマがあるのですから、
甘やかされて乗り越えずに、守られるだけというのは駄目でしょう。

ちなみに特典SSのコルネリウス視点ですが、
レオノーレがとても優秀であることと、
そんなレオノーレのことがとても大好きであることが伝わってきましたw
大変な妹を持ってしまい大変でしょうけど、頑張れコルネリウス兄様…!

:: 2022/8/14 日曜日::

■[ラノベ]エーレンフェストでの戦い「本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第五部「女神の化身IX」」

アーレンスバッハで毒に倒れたフェルディナンド様を救出できたローゼマイン。
しかし、本物のディッターはエーレンフェストの礎を守るまで終わらないということで、
ダンケルフェルガーとアーレンスバッハの騎士を率い、
激戦区となっているゲルラッハへと援軍に駆けつけるが、そこには仇敵グラオザムが暗躍しており…

今回も書き下ろし短編が増量しての新刊となっています。
ローゼマイン視点以外でのエーレンフェスト攻防戦が語られているのですが、
これがまた面白いのです!
ローゼマインに語った一面だけでは気付けなかった裏側を知ることができて興味深かったですね。

ユーディットが感じた普通の貴族たちによる当たり前のような連座の感覚や、
シャルロッテ視点でのヴィルフリートの悪い意味での空気の読めてなさ、
そして、フロレンツィア視点でのヴェローニカとの対面とかは、
ローゼマインが決して知ることがない部分だろうな、と思いました。

ジルヴェスターとゲオルギーネの会話に関しては、
本当に二人は噛み合わないなぁ、と思いましたね…
前巻でゲオルギーネ視点での過去を読んでいたからこそわかったんだけど、
彼女は彼女なりに苦悩していたんですよね…
領主になるための努力をしていたのに、両親の方針で無理矢理剥奪されたのに、
ジルヴェスター本人はゲオルギーネが領主になれば良い、と言い放ったわけで…
そりゃ、怒りを買うに決まってますよね…

当時のジルヴェスターは両親の暗躍を知らなかったんだろうけど、
領主になって数年経っている今は気付いておくべきだったとは思います。
リヒャルダとか事情を知っている側近がいるわけなんですから。
こういった、無神経なことを言って相手を激怒させるところは、
ヴィルフリートと本当にそっくりだな、と思わざるを得ませんね…

肝心のローゼマインですが、
争いが苦手なのに激戦区を走り抜けた上に戦いに身を投じるとか、
そりゃPTSDになっても仕方ないですよね。
ただ、貴族として取り繕うのが上手くなったがために周りが気付けない、
というのも何とももどかしいものがありました。

そして一番面白かったのはやはり仮縫いの場面ですね!
暴走するダンケルフェルガーに翻弄されるのはエーレンフェストの常とはいえ、
ハンネローレ様に暴露されたせいでトゥーリやコリンナに色々知られてしまったのには笑っちゃいましたw

あと、外面を取っ払って本音トークをした時のノリとかもとても好きです。

「わたくしはアウブでもツェントでもどちらでも良いのです。わたくしの計画が図書館都市になるのか、図書館国家になるのかという些細な違いしかありませんから……」
「全く些細ではありません」

特にこの流れがメッチャ好きで…w
何度も読み返してしまいましたね!

ただ、そんな和やかな場面だけが続くわけではなく、
ラオブルートの暗躍がまだ続いているので戦いはもうしばらく続くんですよね。
エピローグでラオブルートの事情もわかりましたけれど…
政変の原因もそうだけど、後始末まで含めて全ての原因は王族の失態ですよね…
王族への恨みがあるラオブルートの事情を把握せず、
中央騎士団の団長を任せるとか、トラオクヴァールは本当に人を見る目がないな、と思いました。

ちなみに今回は特定の書店で販売されている紙書籍版特典が読みたくて、
アニメイトで買ったんですが、その特典SSが面白かったです!
トゥーリはやっぱりマインの姉であり、わかってるなぁ、と感心して大笑いしましたw
うーん、マイン…! お姉ちゃんにはバレバレだったよ!
ドンマイ!

:: 2022/4/15 金曜日::

■[ラノベ]アーレンスバッハでの戦い「本好きの下剋上 ~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第五部「女神の化身 VIII」」

アーレンスバッハ供給の間でディートリンデに毒を盛られ動けなくされたフェルディナンド。
エーレンフェスト首脳陣を威圧したり、ダンケルフェルガーも巻き込んだりと、
フェルディナンドを助ける為に手段を選ばないローゼマイン。
ユストクスとエックハルトとも合流し、グルトリスハイトという裏技を使い、
一気呵成にアーレンスバッハに乗り込むことになるんだけど…!?

Web版から改稿されている箇所が多い上に、書き下ろし短編も多数収録されているので、
Web版読者としても満足度が非常に高い一冊でした。

特に良かったのはフェルディナンド様を救出したシーンですね。
みんなの前では気丈に振る舞っていたけれど、
間に合うかどうか不安でならなかったということと、
その不安が解消されて安堵したシーンは実に良い描写だったと思います。
あの加筆のお陰でローゼマインの涙がとても心に響きましたね…

それと歴代ツェントの過ちがフェルディナンド様との会話に置き換わったことで、
理解がスムーズになったので、良い改稿だったと思います。
Web版だと一気に情報がでてきて理解するのにちょっと手間がありましたからね。
それにしてもフェルディナンド様はメスティオノーラの書が3割しかないのによく知ってたよね…
地下書庫の石板や今は亡き上級司書の人たちから話を聞いたり、閉架書庫で情報を集めたんだろうか…?

ランツェナーヴェとの戦いではローゼマインはアウブとして大活躍でしたが、
アーレンスバッハの扱いに関してはフェルディナンド様の手の平の上でコロコロと転がされてましたよねw
フェルディナンド様がローゼマインの扱いを熟知していたっていうのもありますが、
図書館都市と下町の家族というワードはローゼマイン特攻だしさもありなん、という感じではあります。

そして書き下ろし短編でのエーレンフェストの戦いでは、
ダームエルがとても活躍していましたね。
下町の兵士だけでなくブリギッテとの縁もあって、
ダームエルはハブとしてとても有能だと思うのですよ。
流石はローゼマインに一番の騎士と言われるだけあります。

それと、ゲオルギーネ視点のエピローグを読むと彼女に同情しちゃいましたね…
自分は厳しく躾けられたのに弟は甘やかされており、その差に心が荒むとかはあるあるですよ。
それだけに共感できてしまい、同情心が湧き出てきました。
かつてはトゥーリもマインに対しては色々思っていたこともあるように、
どの姉弟でも起こりえることではあるんだけど、
ゲオルギーネの場合はヴェローニカという毒親という要因が強すぎる上に、
リヒャルダとの強制的な別れという悲劇が決定的だったんでしょうね…

ジルヴェスターもヴィルフリートと同じで自分が甘やかされていることに気付かず、
それが他者に対してどれだけ憎悪を掻き立てることが理解できてないあたり、
この親子は本当に問題児なところが似ているな、と思いました。
まぁ、10歳かそこらの子供に理解しろ、というのも酷だとは思いますけどね…

フェルディナンド様視点での書き下ろし短編もありましたが、
こちらは次回作であるハンネローレ貴族院五年生の伏線にもなってますね。
本当にこの物語は構想段階からかなり練り込まれているんだな、というのが感じられます。
イルムヒルデ様は未来のアウブ・アレキサンドリアと面識があったということなのかな…?

さて、アーレンスバッハでの戦いも一段落しましたが、
次巻ではエーレンフェストでの戦いもありますし、
ディートリンデが乗り込んだ貴族院での戦いもありますよ。
まだまだ戦いは終わりません…!
8月の新刊が今から楽しみです。

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