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:: 2017/4/30 日曜日::

■[漫画]コロポックルとウコチャヌプコロ「幻想ギネコクラシー」2巻

幻想ギネコクラシー巻幻想ギネコクラシー巻
出版社:白泉社
作者名:沙村広明
Kindle版:幻想ギネコクラシー (1)
DMM電子書籍:幻想ギネコクラシー (1)

沙村広明は「無限の住人」で重厚な長編漫画を描かせたら随一であると証明されましたが、
短編漫画を描いたらそのずば抜けた天才性を遺憾なく発揮してくれます。
まぁ、つまりは面白すぎておかしい。
頭おかしいわ、これ。

特に面白く、(頭が)おかしかったのはコロポックルを扱った「ホモ・ロフィエス」シリーズ。
コロポックルという題材自体はそれほど奇抜ではないんだけど、
その起源の設定が斜め上すぎる!

アンコウから進化した人類とか何をどうしたらその発想に辿り着くのか。
そして書き下ろしコメントで判明したヒロインのアホ毛の必然性!
バカじゃないの! 本当にバカじゃないの!?
いやー、おかしすぎて面白いというか、
面白すぎて頭がおかしくなるというか。
一応恋愛アンソロジー掲載だから恋愛要素あるけれど、
漫画の下地に脈動する面白さがコメディすぎる…!

恋愛アンソロジー的には「ぷれぐなぷれぐな」はかなりまともな恋愛漫画でしたね。
いや、これでまともとか言ったら世の恋愛漫画家に失礼かもしれませんが、
他と比較するとかなりまともというか…
後味も結構良かったし、今回一番一般受けする漫画のような気がします。

それと冒頭に収録されていたヤンマガ掲載の「軍傅」ですが、
「無限の住人」というキテレツ剣術漫画を描いた沙村広明だからこその高度なギャグというか。
剣術の秘密が分った時は膝から崩れ落ちそうになったけど、
最後のオチの面白さには膝を打ちましたね。

うん、やっぱり沙村広明は天才だな!

:: 2016/3/7 月曜日::

■[漫画]恋多き女「波よ聞いてくれ」2巻

波よ聞いてくれ(2) (アフタヌーンKC)
著者/訳者:沙村 広明
出版社:講談社( 2016-02-23 )

Kindle版:波よ聞いてくれ (2)
Kindle版まとめ買い:[まとめ買い] 波よ聞いてくれ

北海道のスープカレー屋の店員(首切り寸前)のミナレが、
何故かラジオ局の(そこそこ)偉い人の麻藤に気に入られて、
ラジオのパーソナリティーとしてデビューするんだけど、
その番組は色々と規格外で…

ぶっ飛んだ第1話の印象が強い本作ですが、
2巻でも素敵にクレイジーです。
何だよ放送事故を装ったラジオ番組とか。
そしてそれで釣り出されるミツオとかイベントが盛り沢山すぎる。

それにつけてもミナレさんのチョロさよ。
麻藤さん相手でもチョロく。

namiyo02_01

騙されて金を取られ、自ら殺そうと思っていたミツオにもチョロい。

namiyo02_02

あー、ダメだわ。
これはダメンズに食い荒らされる女だわ。
一番まともそうでアプローチしてくる中原くんに食指が動かないとか、
ダメな結末しか見えないぞ…!

それにしてもラジオの内容も中々にクレイジーになってきましたね。
これから更にアレでコレな内容になっていくと思いますが、
キレッキレの台詞回しは今後も継続していくと思われますので、
楽しみにしていきたいです。

:: 2015/5/25 月曜日::

■[漫画]進め! 電波女子「波よ聞いてくれ」1巻

波よ聞いてくれ(1) (アフタヌーンKC)
著者/訳者:沙村 広明
出版社:講談社( 2015-05-22 )

Kindle版:波よ聞いてくれ (1)

世界の「NARUTO」に多大な影響を与えた「無限の住人」(参考:[前編]岸本斉史×沙村広明対談
その作者である沙村広明がアフタヌーンで連載を開始したのが、
この「波よ聞いてくれ」なんですが、今回は人が死にません。
どちらかと言うと「おひっこし」に近いノリです。

主人公は札幌のスープカレー屋で働く鼓田ミナレ。

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失恋の哀しみをバーで知り合った見知らぬおっさんに語る程の酒癖の悪さ。
しかし翌日にすっきりして店で働いていたら、
流れていたラジオから自分の声が聞こえてきて…

いやー、凄いね、流石は沙村広明さんだわ。
漫画のテンポが素晴らしく良いんですね。
次から次へと笑わせてくれる展開が連続しているし、
何より主人公のミナレさんが面白いんですよ。

というか第一話のインパクトが強すぎてヤバイんですよ! (笑
第1話「お前を許さない」は読めるのでまずは読んで欲しいですね!
ラスト3ページを読んだ時にインパクトたるや!
これは是非とも前情報なしで読んで欲しい!

それにしても後書きで書いてましたが、
ラジオと恋愛の漫画のはずなのに、恋愛成分うっすいですねー
確かに初っ端から失恋話ではあるのですが、
ミナレというキャラクターの強烈さで恋愛成分が薄まるというか。
カレー屋の同僚との話もコメディにしか思えないから困る。(笑

「無限の住人」みたいなエログロを期待するとダメですが、
間違いなく沙村広明さんの作品だと感じることが出来るので、
ファンの人は読むことをお勧めします。

:: 2014/7/30 水曜日::

■[漫画]真面目な方の沙村広明です「春風のスネグラチカ」

春風のスネグラチカ (F COMICS)
著者/訳者:沙村広明
出版社:太田出版( 2014-07-10 )

Kindle版:春風のスネグラチカ

沙村広明といえば「無限の住人」で有名ですが、
それ以外の作風でもよく知られています。
大別すると「無限の住人」のような真面目な方と、
「ハルシオン・ランチ」のようなクレイジーな方になります。
で、今回は前者の方になります。

時はソビエト連邦という国家が産声を上げて間もない1933年。
カレリア自治共和国の辺鄙な別荘に固執する車椅子の少女ビエールカと、
彼女に仕える従者・シシェノークの二人を中心に回り出す、
歴史の影に隠れたミステリーモノ。

ロマノフ王朝やラスプーチンといった、
当時の時代背景の最低限の知識を持っていないとさっぱり判らないと思いますが、
それらの知識があるととても面白い作品になっているんですよね。
ビエールカとシシェノークの正体とそこに至るロマンスとか、
中々に興味深いです。

どちらかというとマイナーな近代ロシア史を土台にして、
ここまできっちりと一本の漫画として仕上げてしまうあたり、
沙村広明さんの漫画家としての技量の凄さを感じさせられる思いです。

ちなみに今月のアフタヌーンから始まった「波よ聞いてくれ」ですが、
こちらの方はクレイジーな方な沙村広明になります。
アフタヌーン 2014年9月号 [2014年7月25日発売] [雑誌]

Kindleでも出てますのでサクっと読んで笑うことをオススメします。(笑

:: 2014/3/27 木曜日::

■[漫画]沙村広明濃縮還元100%「幻想ギネコクラシー」

幻想ギネコクラシー 1 (書籍扱い楽園コミックス)
著者/訳者:沙村 広明
出版社:白泉社( 2014-03-26 )
コミック ( 148 ページ )

沙村広明さんが「無限の住人」「ハルシオン・ランチ」以外を出すのは久しぶりで、
確か「シスタージェネレーター」以来なので4年半振りになるでしょうか。
今回は「楽園」に掲載されていた作品の単行本化なので、
多少毛色は違っていますが、それでも間違いなく沙村広明さんの漫画でした。

濃厚でありながら清冽。
狂気がありながら秀逸。
そんな沙村広明さんらしい内容の短編ばかりで、
笑わされたり、頭がクルッポーになったり、内臓をヤスリでこすられているように感じたり、
まぁ、ホント色々な内容でした。
どんな内容だったかを軽く説明すると…

■「鳳梨娘」
あのグロテスクなアレを描く筆力が凄い。
というかこの発想はもう完全にクレイジーすぎる。

■「かまくりあん」
人造人間カマクリアンとか、字面だけ見るとエヴァっぽいよね。(ぉ
それにしても「鳳梨娘」といい、沙村広明さんは膨張女子が好きなのか…

■「楽園からのハッピーバースデー」
ティターニアー!
この単行本で一番笑った。(笑

■「筒井筒」
オチが古典SFに繋がるとは思いもよらなかったんじゃぜ…
あと、単行本で読み返して名前がクトゥルフなんだとやっと気付いた。

■「コップと泥棒、その妻と愛人」
たぶん今回一番わけが判らなかった。

■「新世紀ゴッドスレイヤー」
非モテをキレさせると怖い。
何故「からくりサーカス」でそれを学ばなかったのか。

■「青い珊瑚礁2011」
青春と海月。
そして情け容赦ないオチ。(笑

■「オムレツの思い出」
甘酢っまい青春模様だと思った?
残念! 沙村広明だよ!

■「惑星ソラリッサ」
もし子供があのまま出来たらどうなったのかが気になるところです。
衛星?

■「健啖家・最後の晩餐」
何故フードバトルに行ったのか。
この脈絡のなさが凄い。

■「殺し屋リジィの追憶」
津軽弁を欄外で翻訳するというネタがこれほど面白いとは。
青森の人には申し訳ないけど笑いました。

■「イヴァン・ゴーリエ」
谷崎潤一郎『刺青』が元ネタのブラッドハーレー的な内容でした。
確か沙村広明さんがデビューしたキッカケも『刺青』の漫画化だったような。
つまりこの作品は原点に帰ったと言えるかと。

あとがきで書かれていた通り

・時事ネタの禁止
・メタ表現の禁止
・パロディをやる場合は元ネタは古典のみ

の三要素で書かれていて実際面白かったですが、
老若男女に受けるかというとちょっと疑問かもしれません。
いや、私は面白かったんですけどね!(笑

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