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:: 2009/5/22 金曜日::

■[ラノベ]完結、感動、感涙…!「BLACK BLOOD BROTHERS 11 賢者転生」

BLACK BLOOD BROTHERS11 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 賢者転生― (富士見ファンタジア文庫)
著者/訳者:あざの 耕平
出版社:富士見書房( 2009-05-20 )
定価:¥ 840
文庫
ISBN-10 : 4829134038
ISBN-13 : 9784829134030
作者サイト:あざログ

素晴らしかった…! 兎に角素晴らしかった…!

全世界を舞台にした吸血鬼と人間の時空を超越した壮大なドラマ。
最初から最後まで緻密に配置された伏線を巧みに操りながら、見事に回収し、
その圧倒的なスケールで繰り広げられた物語が見事に完結し、
その感動の余韻にただただ翻弄されるばかりです。
本当に面白く、そして素晴らしい作品でした…

特区奪還作戦の機先を制されてまたもや「九龍の血統」に主導権が奪われるかと思いきや、
ジローの呼びかけにミミコが一心不乱に特区を目指し、朱姫の協力で縮地で到着し、
サユカが合流し、バウワウ卿が立ちはだかり、ジローが遅参し、ケインが駆けつけ、
レジスタンスもジャネットなど、誰一人の頑張りが欠けても成り立たない綱渡りの総力戦が展開され、
戦いの優劣は目まぐるしく入れ替わり、ぐいぐいと物語に引き込まれていきます。

「九龍の血統」も全力を出し、知謀の粋を尽くして「生きる」為に戦い、
挑み、破り、破られ、一進一退の戦いを見せてくれる姿に敵ながら感動させられました。
”宿命的に弱者”である「導主」の血族が世界に抗い、「生きる」為に最後まで全力で戦い、
そして散っていったその様は儚くも熱いものがありました。

勿論、吸血鬼同士の戦いだけでなく、人間だからこその戦い方も素晴らしかった。
ミミコの起死回生の策とそれを実行に移すカンパニーと十字軍の仲間たちが起こす奇跡。
そしてその起こった奇跡を希望の光とする為に奮闘するレジスタンスの人間たち。
また、倒れそうになるジローを立たせ、最後まで生き残らせた人間ミミコの血。
どれ一つとっても掛け替えのない輝きを放ってました。

バトルも素晴らしかったけど、エピローグも感動させられました。
ミミコの「調停屋」としての凄みというのを最後に再確認させられたし、
特別な能力は無くとも本当に素晴らしいヒロインであり、主人公だったと思います。

前作「Dクラッカーズ」を読み終わった時、地方都市一つを舞台で完結するには勿体ない、
もっと壮大なスケールで書いたら更に凄い作品が出来るのではないか…、と思ったものですが、
「BBB」はその時に思ったことが間違いではなかったことが証明された傑作でした。

この作品は富士見ファンタジア文庫を代表する傑作と言って良い出来だと思いますし、
もっと読まれて、もっと評価されて欲しい作品だと思います。
出来るなら、より多くの人に読まれ、より多くの人に感動が得られますように…

:: 2009/4/20 月曜日::

■[ラノベ]聖戦前夜1997&2009「BLACK BLOOD BROTHERS 10」銀刀出陣

BLACK BLOOD BROTHERS10 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 銀刀出陣― (富士見ファンタジア文庫)
著者/訳者:あざの 耕平
出版社:富士見書房( 2009-04-20 )
定価:¥ 756
文庫
ISBN-10 : 4829133899
ISBN-13 : 9784829133897

あぁ、この感動を! この興奮を! そしてこの狂おしい程までの面白さを!
一体どうすれば一人でも多くの人に伝えることができるのか…!
正直私の陳腐な文才では表現できないし、判って貰えないかとは思いますがそれでも言いたい。
「BLACK BLOOD BROTHERS」は紛う事なき傑作である、と―。

1997年香港、後の香港聖戦の契機となるべき出会い。
血の繋がりを何よりも重んじる吸血鬼の社会で忌み嫌われる作られた混血児カーサの、
存在するはずがない同族のリズと、そして世界の脈動を感じ取る風水師アダム・王との出会い。
そして世界に望まれて始祖が誕生する…

これが2巻の冒頭にきちんと繋がっているのが凄く、読み返してみると感動もひとしお。

「違うな。彼らが私を裏切ってきたのだ。もう何百年も以前からっ」

カーサのこのセリフも今なら判る。
そして悩み、惑い、葛藤を繰り返してきたカーサが九龍の血統に染まったのか。
乱を好む九龍の血統の特性も、世界に何故望まれて生まれたのかも。

舞台を2009年に戻し、カンパニーの機先を制すザザの企みを文字通り一刀両断して舞い戻るジロー
ダールを容易に押し返し、九龍王へ「賢者」の血族として宣戦を布告する姿は正にヒーロー
そんなジローのミミコへの素直な協力依頼は変わらぬ想いと絆を感じさせてくれたし、
それに即座に応じるミミコはVIPたる「乙女」である前に「調停屋」葛城ミミコなんだなぁ、と。
安心させてくれ、何より感動させてくれました。

今まで数多く張り巡らされていた伏線が収束し、その結末は本当に予期できなくて興奮しっぱなしです。
10巻を読み、既刊を読み返したばかりですけど来月刊行の11巻が今から本当に待ち遠しいですよ。
あぁ、本当にどうなるんだろう…!

:: 2008/10/20 月曜日::

■[ラノベ]それは、太陽と月の恋―「BLACK BLOOD BROTHERS」S6

BLACK BLOOD BROTHERS(S)6 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ短編集― (富士見ファンタジア文庫 (あ-2-4-6))
著者/訳者:あざの 耕平
出版社:富士見書房( 2008-10-20 )
定価:¥ 609
文庫
ISBN-10 : 4829133422
ISBN-13 : 9784829133422

あぁ、もう、本当に素晴らしいなぁ!
短編集でここまで感動するなんて思いませんでしたよ。
物語が佳境に差し掛かってきた時のあざの耕平作品の面白さは別格なものがあります。
本当に読んでて良かった。

吸血鬼のエリーゼと人間カールの半世紀以上続いた月と太陽の恋。
太陽に極端に弱い「月匠ゴーバン」の一族の掟を破り、死と隣り合わせの旅の果て、
死期が近付いた愛する人間の元に辿り着き、愛を勝ち取ったエリーゼ。
60年間感じ、想い続け、育んできた人間と吸血鬼との間の愛。
それだけでも感動的なのに二人の最期のやり取りは最高のラブロマンスであり、
更にカールの死と時間を超えたプロポーズと涙腺が決壊せずにはいられませんでした。

そして極上ラブロマンスを演出するのはエリーゼの命を狙う吸血鬼と守る吸血鬼の衝突。
厳格な「月匠ゴーバン」の血統が選んだのは「老牙ニザリ」を用いた抹殺。
相手はジローの宿敵キリマだけでなく、手練れ二人に「老牙ニザリ」の中枢たる「五針」の一人。
対するは四百年を生きる古血のエリーゼと従者のゴーレムと聖戦の英雄「銀刀」ジロー
ジローには荷が勝ちすぎる相手だけど「月匠」の手前、表立って動けないセイとケイン。
だがミミコは黙って眺めるなんてことはできず、調停屋として妙手を打つことにする。
手に汗握る駆け引きとミミコの「調停」に唸らされます。

短編集最後を彩るクロニクルは「北の黒姫」の聖域での香港以前の平和なアリスたち。
カーサが悪戯でジローを押し倒したという、以前少しだけ言及されていた事件の顛末記。
数千年を生きた女の子であるアリスの計り知れない嫉妬がたまらないですね。
まぁ、何だかんだで女の子の嫉妬ってのは可愛いもんです。
巻き込まれたクロウやケインは天災そのもので散々だったでしょうけどね。(笑

「特区インパクト」直前のみんなでの月見も楽しかったなぁ
そしてミミコの想いが感じられて、心に伝わってきましたよ。
本編が佳境に入り短編集もこれにて最後ですが、本当に素晴らしい一冊でした。。
やっぱりあざの耕平さんの作品は最高です。

:: 2008/6/29 日曜日::

■[ラノベ]昼と夜の世界の脈動「BLACK BLOOD BROTHERS9 黒蛇接近」

BLACK BLOOD BROTHERS9 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 黒蛇接近― (富士見ファンタジア文庫 96-15)
著者/訳者:文庫
出版社:富士見書房( 2008-06-20 )
定価:¥ 693
文庫
ISBN-10 : 482913299X
ISBN-13 : 9784829132999

物語が進むほどに面白さが増してくるあざの耕平さんのBBB
全世界を股に掛けた吸血鬼と人間の調停をテーマにした物語は、
クライマックスを控え素晴らしい盛り上がりを見せています。

今や「乙女」として全世界に影響力を持つほどになったミミコが、
痛々しいほどに頑張る中、ミミコを九龍の血統とする計画を立てるザザ。
喉元に迫るカーサたち一行に戦慄を走らせるアンヌ・ウォーロックの来訪から物語は動き始めます。

アンヌとの短い邂逅から自分を取り戻し、肩の荷が下りるミミコと、
夜の世界を相手に実直に語りかけるジローと奮闘する姿が頼もしく清々しいです。
吸血鬼同士のバトルも熱く、迫力と緊迫感が伝わってくるかのようです。

クライマックスが近付いてきて、次回は10年前、香港での出来事が描かれそうです。
もうこれ以上ないほどに熱く素晴らしい作品なので多くを語りませんが、
富士見ファンタジア文庫の作品の中でも一二を争う名作なので是非読んで欲しいです。
メディアミックスに恵まれなかったのが本当に不幸な作品です…

:: 2008/3/8 土曜日::

■[ラノベ]束の間の休息を「BLACK BLOOD BROTHERS」 S 5

BLACK BLOOD BROTHERS S 5―ブラック・ブラッド・ブラザーズ短編集 (5) (富士見ファンタジア文庫 96-14)
著者/訳者:あざの 耕平
出版社:富士見書房( 2008-02-20 )
定価:¥ 588
文庫
ISBN-10 : 482913254X
ISBN-13 : 9784829132548

時系列で言えば第二部と第三部の途中。
ミミコがフリーの調停屋を改行し、クイーンM騒動を経て、
地道に弱小血族を支え始めた頃の物語。

第二地区の下町で吸血鬼と人間が争い事は絶えないながらも、
曲がりなりにも共存している―
そんな場所で、儲からないがやり甲斐はある仕事をミミコたちが持ち前の行動力で、
悪戦苦闘しながらもこなしていくのが頼り甲斐があり微笑ましいです。

そしてCHRONICLEの方では第二次世界大戦以降から香港聖戦までの歴史を、
次々と視点を変えながら語っていってます。
「豪王フォワード」の誕生や名前だけは出てきていた「南の朱姫」の話まで、
興味深いものばかりでした。

中でもあとがきであざのさんが書いていたようにとある老女のエピソードが良かったなぁ。
まさかこんな形でフォローされるとは思わなかった。
いやはや、やはり短編集と言っても侮れない面白さです。
面白い作品ですよ、BBB

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