■[ラノベ]恋と空戦の物語、再び「とある飛空士への恋歌」
とある飛空士への恋歌 (ガガガ文庫 い 2-6)
著者/訳者:犬村 小六
出版社:小学館( 2009-02-19 )
定価:¥ 620
文庫
ISBN-10 : 4094511210
ISBN-13 : 9784094511215
絵師サイト:ALL GREEN
昨年、その切ない恋物語の素晴らしさで一世を風靡した「とある飛空士への追憶」
本作はその世界観のみ踏襲し、新たな舞台、新たな人物で描かれています。
まず初めに断っておきますが「とある飛空士への恋歌」は1巻完結ではありません。
この「恋歌」では主人公であるカルエルこと「風の革命」で両親も家も身分も失った、
元皇子カール・ラ・イールの生い立ちとミハエルに引き取られた先でのアルバス一家との出会い、
そして文字通り島流し先の空飛ぶ島・イスラでのクレアとの邂逅。
そんな物語の序盤とも言えるべき所までしか書かれていません。
それでも充分に面白かったです。
カルエルはヘタレでマザコンでナルシストで、冒頭の陰鬱な雰囲気から復讐劇かと思ったけど、
中盤からは剛胆で快活な義父ミハエルといつも優しく甘えさせてくれる義姉のマヌエルとノエル、
そしていつも厳しく容赦なく叱る義妹のアリエルとの出会いは心温まるものがあったし、
終盤でのクレアと出会い、雲海を自転車で二人乗りをするシーンはグッとくるものがありました。
全てを奪った「風の革命」の旗印であるニナ・ヴィエントへの憎しみは尽きないけど、
アルバス一家と過ごした6年間のお陰で元皇子としてのプライドと意地が多少残っているものの、
義妹のアリエルに騒がしくも支えられ、母の最期の言葉を理解できる程に健やかに育ち、
空を飛ぶことに魅了されているカルエルがイスラで出会った仄かな恋心。
カルエル、アリエル、クレアの恋が今後どのような彩りを魅せてくれるのか興味が尽きません。
しかし1巻完結だとばかり思ってただけにこの焦らしプレイにはヤキモキするなぁ。(笑
正直まだまだ序盤なのでこの作品に対する評価を下すことはできないけど、
「とある飛空士」で重要な手に汗握る空戦のシーンもまだまだこれからだし、
これからの展開に期待を抱かないわけにはいかないです。
あー、早く続きが出ないかなー
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