■[ラノベ]音楽で出会い、傷付き、通じ合うボーイ・ミーツ・ガール「さよならピアノソナタ」
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変人な音楽評論家を父に持つ、オーディオ製品を直すのが趣味の主人公ナオが、
粗大ごみに囲まれた中で魂を震わすかのようなピアノを弾く真冬と出会うことで始まる物語。
音楽界から姿を消した天才ピアニストの真冬は転校生として再会するも傲然で、
ナオが自分用に整備し無断使用していた空き教室を占拠し、
ピアノ曲を何故かギターで超速弾きばかりするようになる。
ナオは神楽坂先輩の助言の押し売りもあり、部屋を取り戻すためという口実のもと、
ベースでギターと対決するという奇妙な衝突をしながらも二人の距離も縮まっていく―。
計算し尽くされた楽譜のようにそれぞれのキャラが絡まりあいながら一つの曲を作り出しています。
始まりと終わりが繋がってたり、途中で転調したりとまるで音楽のようで面白い。
爽やかで透き通っているかのような印象を受ける素晴らしく綺麗な作品で、
全体を通して見ると一つの完成された楽曲のような形を感じることができます。
主人公のナオが思春期の若者らしい未熟なとこがあり好感が持てました。
ヒロインの真冬も結構間の抜けたトコもあるんだけど、そこもまた魅力的に感じられ、
その刺々しい態度も事情を知ると愛おしくなってきます。
そしてラストでナオ宛に送ってきた曲に込められたメッセージとか最高です。
青春している二人を軸に神楽坂先輩や哲郎といった個性的な脇キャラを配置し、
この1冊で非常に綺麗にまとまった作品となっています。
作品内で音楽を扱っていますが、知識がそれほどなくても充分面白いです。
“文学少女”シリーズが文学を知らなくても面白いのと似ていますね。
ボーイ・ミーツ・ガールとして非常によく出来た作品の1巻でしたが、
来月発売の2巻がどうなるのか興味深いです。
今回あまり出番がなかった千晶の活躍にも期待したいトコロ。
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