■[ラノベ]イザヤの空 飛行艦の夏「プロペラオペラ」
プロペラオペラ
出版社:小学館
作者名:犬村小六
作者twitter:犬村小六 (@inumura569) | Twitter
絵師名:雫綺一生
絵師サイト:Heaven Help Us?
絵師twitter:めふぃすと♦︎雫綺一生 (@MEPHIST0216) | Twitter
Kindle版:プロペラオペラ 1
DMM電子書籍:プロペラオペラ 1
皇家第一王女にして飛行駆逐艦「井吹」艦長のイザヤ(18)
ガメリア合衆国との戦争中に乗艦してきた黒之クロトは、
かつて王籍剥奪された一族の一人でありイザヤの幼馴染み。
ガメリアで投資家として成功していたはずのクロトが、
なぜ日之雄に帰国し、軍人になっているのかイザヤは聞き出す(拷問する)と…
報われない幼馴染みを書くことに定評のある犬村小六さんの新作です。
平和のためにアホ王子と政略結婚したり、
想いを告げず、恋敵と結ばれるのをサポートしたり、
故国のために戦死したため未亡人になったり、
家族のために国を裏切り国賊となって別れたり、
貧乏と極悪官吏のせいで凍死したり、
本当に、今までの幼馴染みの末路は碌なもんじゃなかっただけに、
この新作でもどうなることかと思いましたが、
今のところは幼馴染みの悲恋にはなっていないので安心しました。
まぁ、安心して油断したところをグサッと刺してきそうなんですけどね!
作中の戦争のモチーフはどう考えても太平洋戦争でしょう。
白人国家の傲慢さと大国として不遜さの結晶であるハルノート、もといガルノートとか、
他人を蹴落として資産を奪い取るのが当然のウォール街、もといフォール街とか、
色々な固有名詞はすぐに元ネタがわかるくらいに鮮明ですが、
セラス粒子によって上空1200メートルを浮遊する飛行艦隊とか、
恋と空戦好きの犬村小六さんらしいファンタジー要素もあったりします。
まぁ、それでこそ犬村小六さんって感じですよね。
それにしても作中での白人による黄色人種差別とかヒドイものでしたが、
まぁ、当時の欧米諸国だとこれくらいあっただろうなぁ、という感じがあります。
また、国民の血税の結晶を不勉強な驕りで一瞬で無に帰する無能な参謀とか日本的で、
何ともやるせない気持ちになるシーンはありました。
ですが、イザヤとクロトの掛け合いと、夜戦シーンの面白さは半端なかったです。
特に無能な参謀のせいで次々と死地に飛び込む同僚に追随せず、
クロトを信じて戦線離脱するイザヤには幼馴染みの絆を感じましたね。
無駄に殉職するのを尊びそうな軍人が出そうなもんだけど、
日頃からイザヤとリオの二人の姫宮が「井吹」乗員を鼓舞しているのと、
傲岸不遜ながら意外と乗員と上手くやっているクロトのお陰で、
最後まで練度を保って戦ってくれてとても頼もしかったです。
そして夜戦での活躍は素晴らしかった!
クロト発案のチャフによって敵のレーダーを撹乱したとはいえ、
機銃掃射でボロボロにされながらも空雷発射を敢行する乗員たちの練度と、
その練度を十全に活かせるクロトの頭脳が格好良かったです。
クロトとイザヤは良いカップルだと思うんですが、
国内世論は元より、ガメリアの怪物カイルが一番の難敵ですよね。
はたしてこの幼馴染みカップルは幸せになれるのか!?
犬村小六作品だしかなり難しいと思うのですが、
何とかここで既存の犬村小六作品から脱却(幼馴染みハッピーエンド)をお願いしたいものであります。
そのためにもまずは続刊をお願いしますね!
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